声の波形をおしゃぶりに「こえしゃぶり」|声→画像→3Dの型→シリコン、6ステップの妄想発明
ProtoPedia の作品「こえしゃぶり ~好きな子の声をしゃぶれる~」を2人のMCが初心者目線で紹介。動画編集中に声の波形を見て「しゃぶれそうだな」と思った作者が、声の波形を Processing で取り出し、SVG 画像にして Fusion360 で型を設計、3Dプリンターで印刷した型にシリコンを流して6時間。目に見えない声を、手に取れるおしゃぶりに変えるまでの6ステップを、デモ動画のコマで追います。前作コエチョコから続く「声の波形シリーズ」と、ヒーローズ・リーグ 2023 特別賞 by 一般社団法人MA の講評、今日できる最小の一歩まで。
チャプター
文字起こし(68行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、こえしゃぶり、好きな子の声をしゃぶれる。
- BANNO
- えっ、声を、しゃぶる?声って、口に入れられるものでしたっけ?
- HIGEDARUMA
- ふつうは無理ですよね。でもこの作品は、好きな人の声の形をした、おしゃぶりなんです。
- BANNO
- 声の形。もう、この時点で頭がついていかないです。
- HIGEDARUMA
- まずは実物を見てください。青いシリコンでできたおしゃぶりです。
- HIGEDARUMA
- 口に当たるところはハートの形。くわえる部分が、ギザギザに凸凹しているんです。
- BANNO
- あ、ほんとだ。山と谷が、不ぞろいに並んでいますね。
- HIGEDARUMA
- そのギザギザこそが、好きな子の声の形なんですよ。
- BANNO
- ちょっと待ってください。声に形なんて、あるんですか?
- HIGEDARUMA
- 動画を編集したことがあると、見たことがあると思います。音声のところに出る、ギザギザの線です。
- HIGEDARUMA
- 声が大きいと線は高く、小さいと低くなる。その上下を時間の順に並べたものを、波形と呼ぶんです。
- BANNO
- なるほど。声を、山と谷の線に描き直したものが、波形なんですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。作者は、まさに動画の編集中に、この波形を見ていたそうなんです。
- BANNO
- それで、何を思ったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 作者の言葉そのままに言うと、しゃぶれそうだな、と思ったそうです。
- BANNO
- あはは!毎日見ている画面の線を、そう見るんですか。
- BANNO
- でも、言われてみると、たしかにギザギザの棒に見えてきました。
- HIGEDARUMA
- 見慣れたものを、別の何かに見立てる。発明の種って、案外こういうところにあるんですよ。
- BANNO
- それで、声の線を、どうやって本物のおしゃぶりにしたんですか?
- HIGEDARUMA
- 作り方は、全部で6つのステップなんです。順番に見ていきましょう。
- HIGEDARUMA
- ひとつ目。プロセッシングという、絵や図をプログラムで描く無料のツールで、録音した声から波形を取り出します。
- HIGEDARUMA
- ふたつ目。その波形を、エスブイジーという画像にします。
- BANNO
- エスブイジー。ふつうの写真とは、違うんですか?
- HIGEDARUMA
- 線の形を、数字で覚えている画像なんです。だから、大きくしても線がガタガタになりません。
- HIGEDARUMA
- 形を作るソフトに読み込むには、この線のデータが都合がいいんですよ。
- BANNO
- 写真だと点の集まりだけど、こっちは線そのものを持っている、ということですね。
- HIGEDARUMA
- そのとおりです。そして三つ目。フュージョン360という、立体を設計するソフトに、その線を読み込みます。
- HIGEDARUMA
- ここで作るのは、おしゃぶりそのものではなく、型なんです。2つに割れる箱の内側に、波形の溝を彫ります。
- BANNO
- たい焼きの型みたいなものですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。四つ目で、その型を3Dプリンターで印刷します。
- HIGEDARUMA
- 3Dプリンターは、設計したデータどおりに、溶かした樹脂を少しずつ積み重ねて、立体を作る機械です。
- BANNO
- え、だったら、おしゃぶりを直接印刷すればいいんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- いい質問です。3Dプリンターの樹脂は、固まるとかたいんです。口に入れるものは、やわらかいほうがいいですよね。
- HIGEDARUMA
- だから型だけを印刷して、中身はやわらかいシリコンで作る。ここがうまい選択なんです。
- BANNO
- なるほど。かたい型で、やわらかいものを作るんですね。
- HIGEDARUMA
- 五つ目。2つの型を合わせて輪ゴムで留め、2種類の液を混ぜたシリコンを、上の穴からゆっくり流し込みます。
- HIGEDARUMA
- そして六つ目。6時間そのまま置いて、固まったら型から取り出します。
- BANNO
- 6時間待つと、声がおしゃぶりになって出てくる。ちょっと感動しますね。
- HIGEDARUMA
- 使った道具は、3Dプリンターと、2つのソフト。ソフトはどちらも、個人なら無料で始められるんです。
- BANNO
- 特別な機械は、3Dプリンターだけなんですね。
- BANNO
- ところで、この作者さん、声の波形で作ったのは、これが初めてじゃないそうですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。前の作品は、コエチョコ。推しの声を、チョコに変えて食べよう、という作品です。
- BANNO
- 声を食べる!同じように、波形で型を作って、チョコを流したんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。でもチョコは、食べたら消えてしまいますよね。
- BANNO
- たしかに。食べたら、推しの声がなくなっちゃいます。
- HIGEDARUMA
- そこで、ずっと楽しめるものを、と作ったのが、このおしゃぶりなんです。
- BANNO
- この作品は、ヒーローズ・リーグ2023というコンテストで、特別賞を受賞しています。
- BANNO
- 講評がまた最高で。2023年で一番の変態で、頭おかしい作品でした、と。もちろん、褒め言葉です。
- HIGEDARUMA
- 続きにはこう書かれているんです。作ったからこそ生まれた、次の欲求の先が、おしゃぶりだったことに感服しました。
- BANNO
- 作ってみたから、次にやりたいことが見えたんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。このあと、好きな人の声で体を洗おう、という、コエスポンジまで作っているんですよ。
- BANNO
- 食べて、くわえて、洗う。どんどん声との距離が近くなっていきますね。
- BANNO
- 作ったのは、妄想発明家ZAWAWORKSさんです。
- HIGEDARUMA
- ふだんは、電子機器のソフトを作る組み込みエンジニアなんだそうです。
- BANNO
- 発明を始めたのは、笑って辛いことを忘れさせたかったから、と自己紹介の記事に書かれていました。
- HIGEDARUMA
- 同じく、ものを作る人として、すごく分かります。笑ってもらえると、作ってよかったと思えるんですよね。
- BANNO
- 今日の作品から持ち帰れるのは、見慣れたものを、別の何かに見立てる目だと思います。
- HIGEDARUMA
- しかも作り方は、声、線の画像、型、シリコンの4段階。ひとつずつなら、どれも難しくないんです。
- BANNO
- では、今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- スマホの録音アプリで、自分の声を録ってみてください。画面に、ギザギザの波形が出ますよね。
- HIGEDARUMA
- その線を眺めて、何の形に見えるか、ひとつ考えてみてください。山脈でも、クッキーでも、なんでもいいんです。
- BANNO
- 私の声だと、たぶん、すごくにぎやかな山脈ですね。
- HIGEDARUMA
- それ、立体にしたら、けっこう面白いと思いますよ。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、好きな子の声の形をそのままくわえられる、こえしゃぶりでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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