話しかけると卵から動物が生まれる「デジたま2 the AI」|言葉の数だけ、AIが新しい動物を描く
ProtoPedia の作品「デジたま2 the AI」を2人のMCが初心者目線で紹介。手のひらの卵に話しかけると、その言葉に合った動物をAIが選んで絵を描き、卵の小窓が開いて楕円の画面に動物が生まれます。シカ・ニワトリ・タカの実例、声が絵になるまでの4段リレー、前作で10種類程度が限度だった悩みを生成AIで解き直した物語、唯一見つけた楕円の液晶と卵型の自作基板という本気のハードまで。
チャプター
0:00オープニング0:20話しかけると、卵から動物が生まれる1:15持ち上げるだけで、スタート3:36前作:手作りの動物は、10種類程度が限度5:22卵 / スタンドのパソコン / ネットのAI7:07楕円の画面は、探して見つかった唯一の製品9:30ヒーローズ・リーグ 2024 ダブル受賞10:53エンディング
文字起こし(99行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、デジたま2 the AI。
- BANNO
- デジたま。卵、なんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。手のひらに乗る卵に話しかけると、その言葉に合った動物が、卵の中に生まれるんですよ。
- BANNO
- えっ、何が生まれるかは、話しかけた言葉しだいなんですか?
- HIGEDARUMA
- まさにそこです。作ったのは、卵育て隊というチームの5人なんです。
- BANNO
- 卵育て隊。名前からして楽しそうですね。
- HIGEDARUMA
- ちなみに、お金をがっぽがっぽ儲けてね、と話しかけたら、生まれたのは……あとでお話しします。
- BANNO
- ええっ、気になります。今日はその不思議な卵の話ですね。
- BANNO
- まず、どうやって遊ぶのか教えてもらえますか?
- HIGEDARUMA
- はい。卵はふだん、専用のスタンドに乗っています。それを手で持ち上げるところから始まるんです。
- BANNO
- 持ち上げたら、どこかのボタンを押すんですか?
- HIGEDARUMA
- それが、持ち上げるだけでいいんです。スタンドから離すと、中のスイッチが入る作りなんですよ。
- BANNO
- 説明書を読まなくても始められるのは、いいですね。
- HIGEDARUMA
- そのまま卵に話しかけます。すると答えが出るまでの間、卵の中の明かりがピカピカ光るんです。
- BANNO
- 光って待つんですね。ちょっとドキドキしますね。
- HIGEDARUMA
- 作者も、ドキドキ感を演出するため、と書いています。そして最後に、卵の小窓がパカッと開くんです。
- BANNO
- 窓の中には何があるんですか?
- HIGEDARUMA
- 卵の形に合わせた、楕円の画面です。そこに、生まれた動物の絵が映るんですよ。
- BANNO
- 本当に卵から生まれたみたいですね。どんな動物が出てきたんですか?
- HIGEDARUMA
- 卵の機械を作る前に、パソコンの画面の卵で試した発表がありまして。その時の例を紹介しますね。
- HIGEDARUMA
- 穏やかで優しい子供になってね、と話しかけたら、生まれたのはシカでした。
- BANNO
- シカ。たしかに穏やかで優しそうです。
- HIGEDARUMA
- では最初の予告です。お金をがっぽがっぽ儲けて、親に散々贅沢させてね、と話しかけると。
- BANNO
- お金持ちっぽい動物……なんでしょう?
- HIGEDARUMA
- なぜか、ニワトリでした。作者も、いまいち金持ちっぽくないんですけど、と笑っていました。
- BANNO
- ニワトリ!でも毎日卵を産むから、ある意味お金持ちかも。
- HIGEDARUMA
- さらに、世界征服を企んでくれ、と頼んだら、怪しいタカが生まれたんです。世界はタカに征服されるらしいです、と作者。
- HIGEDARUMA
- 皆さん気をつけましょう、と締めて、会場は笑いに包まれていました。
- BANNO
- 思い通りでも、ちょっと外れても楽しい。次は何かな、ってつい話しかけたくなりますね。
- HIGEDARUMA
- 審査員の方も、生まれるまでのワクワクが、音楽のサビを待つ感覚に似ている、と評価していました。
- BANNO
- ところで、名前に2とついているということは、1もあるんですか?
- HIGEDARUMA
- あるんです。2019年に、同じリーダーのチームが作った、前作のデジたまです。
- HIGEDARUMA
- 前作は、温度などを測るセンサーの値で、生まれる動物を変えていたんですよ。
- BANNO
- センサーの値で決めるのも、面白そうに聞こえますけど。
- HIGEDARUMA
- それが、何度ならこの動物、というルールが、なかなか決まらなかったそうなんです。
- HIGEDARUMA
- しかも動物の絵は、3DCGまで全部手作り。1つ作るのに膨大な時間がかかったんです。
- BANNO
- 手作りだと、何種類くらい用意できたんですか?
- HIGEDARUMA
- 作者いわく、10種類程度が限度。開発には、1人なら9か月かかるほどの作業量を注ぎ込んだそうです。
- HIGEDARUMA
- それに、温める卵と、画面のある卵が別々で、温めている感じが薄れていた、とも書いています。
- BANNO
- そこから、どうして2を作ろうとなったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 数年たって、AIに頼めば動物選びも、絵を描くのも簡単な時代になったんです。
- HIGEDARUMA
- 作者は、今ならAIを使えば圧倒的に楽に作れるのでは?と考えたんですよ。
- BANNO
- 昔あきらめた悩みを、新しい道具で解き直したんですね。
- HIGEDARUMA
- まず1週間のハッカソンで、卵の機械は作らずに、ソフトの部分だけ2人で試しました。
- BANNO
- 結果はどうだったんですか?
- HIGEDARUMA
- 賞は取れなかったんですが、いい感じだった、と。そこで本物の卵まで作り込んだんです。
- BANNO
- 小さく試して、手ごたえをつかんでから本番。いい進め方ですね。
- BANNO
- では、話しかけた声が動物の絵になるまで、中で何が起きているんですか?
- HIGEDARUMA
- 登場人物は3つです。卵と、スタンドに入った小さなパソコン、そしてネットの向こうのAIなんです。
- BANNO
- スタンドの中にも、パソコンが入っているんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。Raspberry Piという、手のひらサイズのパソコンです。卵とネットの橋渡し役なんですよ。
- HIGEDARUMA
- 流れはリレーのように4段です。1段目は、声を文字に書き起こすこと。Googleのサービスを使います。
- BANNO
- スマホの音声入力みたいなものですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。2段目で、その文字をChatGPTに渡して、この言葉に合う動物を1つ選んで、と頼むんです。
- BANNO
- 動物を選ぶのはAIのお仕事なんですね。
- HIGEDARUMA
- 3段目は、選ばれた動物の名前を、絵を描くAIのDALL-E 3に渡して、イラストを描いてもらいます。
- HIGEDARUMA
- 4段目で、その絵を卵の画面の大きさに縮めて、卵に送るんです。
- BANNO
- 待っている間に光るのは、どういう仕組みなんですか?
- HIGEDARUMA
- 処理の途中で、スタンドのパソコンが卵に、今ここまで進んだよ、と何回か知らせているんです。それで光り方が変わるんですよ。
- BANNO
- なるほど。前作で悩んでいたルール作りは、どうなったんですか?
- HIGEDARUMA
- そこがポイントです。言葉から動物を選ぶのはAI、絵を描くのも別のAI。役割を分けたので、ルールも絵の手作りもいらなくなったんです。
- BANNO
- つまり、話しかける言葉の数だけ、生まれる動物があるということですね。
- BANNO
- でも、見た目は可愛い卵ですよね。中身を作るのは大変だったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- ここからが、エンジニアとして一番グッとくるところなんです。
- HIGEDARUMA
- 卵の中に、なるべく大きな画面を入れたい。それで、卵の形に合う楕円の液晶画面を探したんです。
- BANNO
- 楕円の画面なんて、売っているんですか?
- HIGEDARUMA
- 探して、唯一見つかった製品を使ったそうです。ただ、これが大変でした。
- HIGEDARUMA
- つなぐための線が13本も必要で、最初に選んだ小さなコンピューター基板では、つなぎ口が足りなかったんです。
- BANNO
- つなぎ口が足りないと、どうするんですか?
- HIGEDARUMA
- 基板をRaspberry Pi Pico Wという別のものに変えて、一から設計し直しました。それでも足りず、つなぎ口を増やす部品まで足したんです。
- HIGEDARUMA
- 一からやり直したうえに、液晶と同じ形の、卵型の基板まで自分たちで作ったんですよ。卵にぴったり収まるように。
- BANNO
- 基板まで卵の形なんですね!
- HIGEDARUMA
- しかもこの画面、動かすためのお手本のプログラムが、まったく無かったんです。
- BANNO
- お手本が無いと、どうやって動かすんですか?
- HIGEDARUMA
- 部品の分厚い説明書を読み込んで、一から自分で書いたそうです。
- HIGEDARUMA
- 卵の中では、画面、光、通信、ネット、モーターの5つの仕事を、同時に進めているんですよ。
- BANNO
- 5つも同時に。人間だったら手が足りませんね。
- HIGEDARUMA
- 気がつくと、プログラムは全部で4800行ほどになっていたそうです。
- HIGEDARUMA
- 卵とスタンドの通信も、最初の無線ではトラブルの嵐で、最後はWi-Fiでつなぐ方法に切り替えたんです。
- HIGEDARUMA
- 聞くだけで苦労が伝わりますよね。試作を重ねて、手元が卵の殻でいっぱいになったそうです。組み立ても知恵の輪のようだったとか。
- BANNO
- 卵の殻でいっぱい。なんだか微笑ましいです。
- HIGEDARUMA
- リーダーのところから戻ってくる卵は、必ずバラバラになって帰ってくる、という話もありました。
- BANNO
- 分解好きのリーダーなんですね。でも、そこまでやるから、あの可愛い卵になるんですね。
- HIGEDARUMA
- 審査員も、可愛らしい見た目とは裏腹に、幅広い技術を詰め込んだ圧巻の力作、と評価していました。
- BANNO
- そして、この作品は賞を2つも取っているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。ヒーローズ・リーグ2024で、声を使った操作の工夫に注目するVUI賞と、ミュージックビジネス賞のダブル受賞です。
- BANNO
- 作ったのは、卵育て隊の5人。少ない人数で、ここまで作り込んだんですね。
- HIGEDARUMA
- チームは、次の展示に向けて開発を続けると書いていました。最新版は音も鳴らせて、鼓動の音のような演出もできそうだそうです。
- BANNO
- 昔あきらめた悩みも、新しい技術で解き直せる。勇気をもらえる作品ですね。
- BANNO
- じゃあ、見てくれた人が今日できることって、何でしょう?
- HIGEDARUMA
- ChatGPTに、好きな言葉を伝えて、この言葉に合う動物を1つ選んで、と頼んでみてください。
- HIGEDARUMA
- その動物の絵も描いて、と頼めば、デジたまの頭脳の部分を、スマホひとつで体験できるんです。
- BANNO
- それならすぐできますね。私は、ゆっくりしたい、で試してみます。
- BANNO
- 作品ページや前作、ハッカソン版へのリンクは、概要欄に置いておきますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、話しかけた言葉で動物が生まれる卵、デジたま2 the AIでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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