黒電話を背負って外で通話!昭和育ちの2人が黒電話を携帯電話にした話|ラズパイ×Twilio
ProtoPedia の作品「昭和育ちなおっさんたちは黒電話を携帯する夢を実現する...」を2人のMCが初心者目線で紹介。たった2本の線で全部をやりとりする黒電話を解析し、Arduino・ラズパイ・Twilio・SORACOM で外でも話せる携帯電話に。竹の背負子に載せたデモ、ネットの電話で2か月以上迷走した3つの壁と突破まで。Twilioオンラインコンテスト2021 8月月間賞、ヒーローズ・リーグ 2021 ゴンディ賞・となりのカインズさん賞。
チャプター
0:00オープニング0:20黒電話を持ち歩く夢1:05ダイヤルを回す昔の電話2:38スマホから電話→ベルが鳴る4:03黒電話の線はたった2本6:54Twilioはド初心者9:10黒電話もおじさんも大満足10:16エンディング
文字起こし(103行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、昭和育ちなおっさんたちは黒電話を携帯する夢を実現する...
- BANNO
- えっ、写真の人、麦わら帽子でバイクに乗って、背中に黒電話を背負ってますね?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。しかもこの黒電話、外でちゃんと電話がかけられるんですよ。
- BANNO
- 飾りじゃなくて、本当に話せるんですか!
- HIGEDARUMA
- はい。スマホから電話をかけると、背中の黒電話のベルが鳴るんです。
- BANNO
- 絵面だけで笑っちゃいます。どうしてこうなったのか、じっくり見ていきましょう。
- BANNO
- まず、若い方のために。黒電話って、どんな電話でしたっけ?
- HIGEDARUMA
- 昔はどの家にもあった、黒くて重たい電話なんです。
- HIGEDARUMA
- 数字の穴に指を入れて、ダイヤルをぐるっと回してかけるんですよ。
- BANNO
- ジーコ、ジーコって回すやつですね。懐かしいです。
- HIGEDARUMA
- 作者は、この黒電話がスマホに比べて「何もかも圧倒的」だと書いているんです。
- BANNO
- 圧倒的?スマホの方が便利そうですけど、何がですか?
- HIGEDARUMA
- まず、ダイヤルを回す手ごたえ。それに、どんな時でも聞こえる、けたたましいベルの音量です。
- HIGEDARUMA
- コードを引っ張られてもびくともしない重さ。中の機械が感じられる見た目。形の美しさ。
- BANNO
- たしかに、電話のマークって今でも黒電話の形ですよね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。なのに使われなくなっていくのが「本当に理解不能」だと。
- HIGEDARUMA
- それで昭和育ちの2人が、ジャンク屋で黒電話を見つけて、迷わず買ったんです。
- BANNO
- 迷わず!その思い切り、好きです。でも、買ってから持ち歩くまでが遠くないですか?
- HIGEDARUMA
- 作者の理屈はこうです。手に入れたら動かしたくなる。動いたら話したくなる。
- HIGEDARUMA
- 話せたら自分の電話番号が欲しくなる。番号ができたら、持ち歩きたくなる。
- BANNO
- そして「それが当然の流れです」と。気持ちの階段を、一段ずつ登っちゃったんですね。
- BANNO
- では、実際にどう使うのか、見せてもらえますか?
- HIGEDARUMA
- デモ動画では、屋外でスマホから黒電話の番号に電話をかけます。
- HIGEDARUMA
- すると、背中の黒電話が、ジリリリンと鳴り響くんです。
- BANNO
- 外であの音が鳴ったら、周りの人みんな振り向きますね。
- HIGEDARUMA
- 受話器を取ってそのまま話せます。もちろん、黒電話からかけることもできるんですよ。
- BANNO
- かけるときは、ダイヤルを回すんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。スマホの番号をダイヤルで回すと、相手のスマホが鳴るんです。
- HIGEDARUMA
- 動画では「今、仕事終わりましたので、これからお伺いします」と、普通に会話していました。
- BANNO
- 会話の中身がすごく日常的で、逆に面白いですね。
- BANNO
- ところで、背中の木の枠は何でできてるんですか?
- HIGEDARUMA
- 竹の棒と麻ひもで編んだ、手作りの背負子です。肩ひもは、麻ひもと古いタオルで編んだそうです。
- HIGEDARUMA
- 電源は、使い終わった停電用のバッテリー。黒電話は、磁石で付けたり外したりできます。
- BANNO
- 黒電話そのものは、壊したり改造したりしていないんですか?
- HIGEDARUMA
- そこがこだわりなんです。別の黒電話にも差し替えられるよう、本体には手を入れていません。
- BANNO
- コレクションが増えても大丈夫、と。愛を感じます。
- BANNO
- ここからは仕組みです。昔の電話が、どうやってスマホとつながるんですか?
- HIGEDARUMA
- 作者が最初に驚いたのが、黒電話の線なんです。たった2本しかないんですよ。
- BANNO
- 2本だけ?電源もないんですか?
- HIGEDARUMA
- ないんです。その2本で、声を話すのも聞くのも、番号も、ベルも、全部やりとりしているんです。
- BANNO
- 2本の線に全部が詰まってるんですね。昔の人の工夫、すごいです。
- HIGEDARUMA
- でも、今のコンピューターにつなぐには、それを一つずつ取り出す通訳が必要なんです。
- HIGEDARUMA
- そこで、2台の電話をつなぐ内線電話のキットを改造して、通訳役にしました。
- BANNO
- キットがあるなら、すぐできそうな気もしますけど?
- HIGEDARUMA
- それが、キットの頭脳の中身が公開されていなかったんです。言わば、ブラックボックスなんですよ。
- BANNO
- 中が見えないなら、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- 信号を横取りする道具を自作して、電気の波を見る測定器と、複数のカメラの録画で記録したんです。
- HIGEDARUMA
- どう操作すると、どこからどんな信号が出るか。それを徹底的に調べて、頭脳を作り直しました。
- BANNO
- 中身が分からないなら、外から観察して突き止める。探偵みたいですね。
- HIGEDARUMA
- 作り直した頭脳は、Arduinoという、部品を動かすための小さなコンピューターの板です。
- BANNO
- その板は、何を見張っているんですか?
- HIGEDARUMA
- たとえばダイヤル。回して指を離すと、戻るときにカチカチと電気の合図が出るんです。
- HIGEDARUMA
- その合図を数えて、0.5秒以内なら同じ数字、5秒空いたら番号が決まった、と判断します。
- BANNO
- カチカチを数えて数字にするんですね。耳で聞いて数えるのと同じ発想だ。
- HIGEDARUMA
- ベルも、1秒に16回打つ電気を作って、あのジリリリンを鳴らしているんですよ。
- BANNO
- そこから先、インターネットの電話には、どうつながるんですか?
- HIGEDARUMA
- 全体の図がこちらです。黒電話、通訳の板、ラズパイ、そしてネットの電話サービスとつながっています。
- HIGEDARUMA
- ラズパイは、手のひらサイズのコンピューターです。
- BANNO
- Twilioというのは、何ですか?
- HIGEDARUMA
- 電話番号を借りられる、ネットの上の電話会社のようなサービスなんです。
- BANNO
- 外で使えるのは、どうしてですか?
- HIGEDARUMA
- スマホと同じ電波でネットにつながる、SORACOMの通信カードを挿しているんです。
- HIGEDARUMA
- だから、電波さえ届けば、どこでも使えるんですよ。
- BANNO
- 黒電話の中身は昭和のまま、背中には最新の技術。その組み合わせがいいですね。
- HIGEDARUMA
- 使った道具はこちらです。
- BANNO
- これだけの物、作るのは大変だったんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- 一番苦労したのは、実はネットの電話の部分なんです。作者は、機械を動かすのが専門のエンジニアで。
- HIGEDARUMA
- 「ネットワーク系の技術は不得意。もちろんTwilioもド初心者です」と書いているんですよ。
- BANNO
- 得意分野の外に、飛び込んだんですね。
- HIGEDARUMA
- まずぶつかったのが、スマホからかけると、ベルが鳴る前にすぐつながっちゃう問題です。
- BANNO
- それだと、受話器を取る楽しみがなくなっちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- そこで、かかってきた電話をいったん待合室に入れておくことにしました。
- HIGEDARUMA
- 受話器を上げたら、待合室から呼び出してつなぐ。これで普通の電話と同じ流れになりました。
- BANNO
- お店の順番待ちみたいですね。なるほど。
- HIGEDARUMA
- 次は、つながってもすぐ切れる。さらに、声がまったく通らない、という壁です。
- BANNO
- それは困りますね。どう乗り越えたんですか?
- HIGEDARUMA
- Twilioに詳しい、エバンジェリストと呼ばれる案内役の人に、相談したんです。
- HIGEDARUMA
- 教わったのが、ラズパイの中のネット電話ソフトに電話を回して、声はそっちでやりとりする方法でした。
- HIGEDARUMA
- これで、受話器を置くまで、ちゃんと話し続けられるようになったんです。
- BANNO
- 分からないことは、詳しい人に聞く。大事なことですね。
- HIGEDARUMA
- 作者も「相談できるエバンジェリストの存在は貴重です」と書いています。
- HIGEDARUMA
- それでも、使いこなすまでに2か月以上かかったそうです。
- BANNO
- 2か月以上!でも、諦めなかったからこそ、あのデモがあるんですね。
- HIGEDARUMA
- この作品は、3つの賞を受賞しています。
- BANNO
- 審査員からは「とにかく動画が面白すぎる」という声も。
- HIGEDARUMA
- 「DIY魂を感じてビリビリしました」という感想もあったんですよ。
- HIGEDARUMA
- 作ったのは、チーム黒電話魂。ソフトと電子回路と動画を担当したTakSanさんと、
- HIGEDARUMA
- 通信と工作を担当した、古い電話の収集家でもあるyama_moto250Rさんです。
- BANNO
- チーム名まで黒電話魂。名前の通り、魂がこもってますね。
- HIGEDARUMA
- 作者は最後に、こう書いているんです。「役目を終えそうになっていた黒電話も、
- HIGEDARUMA
- 昭和育ちのおじさんたちも、共に大満足です」。
- BANNO
- 黒電話にも、もう一度出番ができたんですね。なんだか、ほっこりします。
- BANNO
- 見ている皆さんの家にも、使わなくなった古い道具、眠っていませんか?
- HIGEDARUMA
- 今日できる最小の一歩として、家にある古い道具を1つ選んでみてください。
- HIGEDARUMA
- そして「これがスマホやネットとつながったら、何がしたい?」を、一行だけメモしてみてください。
- BANNO
- うちなら、古いラジカセですね。それで何をしたいか、考えるだけで楽しいです。
- HIGEDARUMA
- その一行が、作者の言う「当然の流れ」の、最初の一段なんですよ。
- BANNO
- 作者の詳しい作り方の記事は、こちらから読めます。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、黒電話を背負って外で通話する、昭和育ちの2人の夢の作品でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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