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食券機を改造した電子楽器「ShockAndKeys」|ボタンを押すと、食券の代わりに音が出る

紹介した作品: 食券機型電子楽器 "ShockAndKeys"ProtoPedia での反響: 閲覧 2,800+ ・ ♥ 23

ProtoPedia の作品「食券機型電子楽器 "ShockAndKeys"」を2人のMCが初心者目線で紹介。中古の食券機を2万5千円で落札し、64個のボタンを押すとドラムやシンセが鳴る電子楽器に改造した作品です。ボタン→合図(MIDI)→音の流れ、64個のボタンを読み分けるための失敗と自作基板8枚での乗り越え、未完成のまま展示に出して4つの版まで育て続けた歩み、そして今日できる最小の一歩まで。

チャプター

文字起こし(83行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、食券機型電子楽器 "ShockAndKeys"。
BANNO
食券機って、お店の入り口で、うどんやそばの券を買うあの機械ですか?
HIGEDARUMA
そうなんです。本物の食券機を改造して、ボタンを押すと、食券の代わりに音が出るようにしたんですよ。
BANNO
じゃあ、ざるラーメンのボタンを押したら、ドラムがドン、と鳴るんですか?
HIGEDARUMA
まさにそれです。64個のボタンが光りながら、ドラムや電子楽器の音を鳴らすんです。
BANNO
見慣れた機械なのに、急に楽器になる。もう押してみたくなってきました。
BANNO
実際に展示したとき、見た人はどんな反応だったんでしょうか?
HIGEDARUMA
最初のお披露目は、2023年のNT東京という、作った物を持ち寄る展示会でした。
HIGEDARUMA
SNSで知って来た人は、笑いながら「本当に鳴るんだ!」とボタンを押していたそうです。
BANNO
わかります。食券機が鳴ったら、まず笑っちゃいますよね。
HIGEDARUMA
子どもは何分もボタンを連打して、音楽をやっている人は、あっという間に演奏し始めたそうなんです。
BANNO
子どもも大人も夢中になれる。説明がいらないのが強いですね。
HIGEDARUMA
ただ、展示物だと気づかずに通り過ぎる人も多かったそうで。
HIGEDARUMA
作者いわく、会場の雰囲気は「昭和末期の社員食堂の入り口」だったとか。
BANNO
あはは、本物すぎて、ただの券売機に見えちゃったんですね。
BANNO
そもそも、なぜ食券機を楽器にしようと思ったんでしょうか?
HIGEDARUMA
作者の言葉がいいんですよ。「ボタンが行列状に並べられた機械を見ると、コントローラにしか見えない病気なので」。
HIGEDARUMA
「改造するという荒療治により、心を落ち着かせることができました。助かりました」と書いているんです。
BANNO
病気って言い切るのが最高ですね。好きなものが、はっきりしている人なんだな。
BANNO
でも、食券機って、どこで手に入れたんですか?
HIGEDARUMA
ネットオークションです。8かける8のボタンが並んだ、動く保証のない中古品が、2万5千円で出ていて、即決で落札したそうです。
HIGEDARUMA
しかも、中に残っていた食券から、奈良県の生駒駅前にあった「う丼屋」というお店で使われていた機械だと分かったんですよ。
BANNO
うどん屋さんで働いていた機械が、第二の人生で楽器になった。ちょっと物語がありますね。
BANNO
ここからは仕組みです。ボタンを押すと、どうして音が出るんですか?
HIGEDARUMA
流れは3段なんです。まず、Arduinoという小さなコンピュータが、どのボタンが押されたかを読み取ります。
HIGEDARUMA
次に、それを「この高さの音を鳴らして」という合図に変えます。MIDIという、電子楽器どうしの共通の言葉なんですよ。
BANNO
ボタンが押されたら、楽器に「ドの音お願い」と伝言するわけですね。
HIGEDARUMA
そうです。最後に、その合図を受けた作曲ソフトが、実際の音を鳴らすんです。
BANNO
その作曲ソフトは、どこで動いているんですか?
HIGEDARUMA
最初の版では、外につないだノートパソコンで鳴らしていました。
HIGEDARUMA
作者は「動画を見て、かっこいい音だなと思ったそこのあなた、すみません」と書いていて。
BANNO
正直ですね。音は、パソコンのおかげだったと。
HIGEDARUMA
そこで2つ目の版では、Raspberry Piという手のひらサイズのパソコンを中に入れて、食券機だけで音が出せるようにしたんです。
HIGEDARUMA
画面の図は、作者が最初に描いた構成の予定図です。左上のreTerminalの場所に、実際はRaspberry Piが入りました。
BANNO
楽器って、押してから音が遅れると困りませんか?
HIGEDARUMA
そこもこだわっています。ボタンを押してから音が出るまでの遅れを、5ミリ秒、つまり1000分の5秒以内に抑えたそうです。
BANNO
それなら、叩いた瞬間に鳴る感覚ですね。
HIGEDARUMA
あと、「食券」と書かれた黄色い表示も、画面に作り替えてあるんです。
HIGEDARUMA
普段は元の機械と同じ見た目なのに、ボタンを押すと、映像がわざと乱れる演出がかかるんですよ。
BANNO
見た目は昔のまま、でも押すとサイバーな感じになる。そのギャップが楽しいですね。
HIGEDARUMA
使った材料は、ボタン担当のArduino、画面を作るProcessing、音と画面の頭脳のRaspberry Piです。
BANNO
でも、ボタンが64個もあると、配線だけで大変そうです。
HIGEDARUMA
そこが、この作品の一番の山場なんです。
HIGEDARUMA
小さなコンピュータには、線をつなぐ差し込み口が限られていて、1個ずつつなぐと、まず足りなくなるんですよ。
BANNO
じゃあ、最初はどうしたんですか?
HIGEDARUMA
1列8個のボタンを、電気を流れにくくする「抵抗」という部品でつないで、押されたボタンごとに電気の強さが少しずつ変わるようにしたんです。
HIGEDARUMA
電気の強さを見れば、どのボタンか分かる。これで、8本の線で64個を読めるようにしました。
BANNO
なるほど、賢い!それで解決ですか?
HIGEDARUMA
それが、そう甘くなくて。同時に押すと、雑音や電気の弱まりで見分けがつかず、1列で1個しか認識できなかったんです。
BANNO
楽器なのに和音が弾けないのは、つらいですね。
HIGEDARUMA
そこで3つ目の版で、部品を載せる専用の板、基板を8枚、自分で作ったんです。
HIGEDARUMA
キバンには、たくさんのボタンの状態を、少ない線で順番に受け渡す部品が載っていて、1枚で横1段の8個を担当します。
HIGEDARUMA
それを8枚、数珠つなぎにして、バケツリレーのように64個分の状態を運ぶんですよ。
BANNO
それなら、全部のボタンを同時に押しても大丈夫なんですね。
HIGEDARUMA
はい。しかも、ボタンごとの「販売中」と「売り切れ」のランプまで、1つずつ光らせられるようになりました。
BANNO
売り切れランプまで演出に使うって、食券機への愛を感じます。
BANNO
審査の言葉にも、「一度に一つしか押せない、当たり前のルールから解き放たれた食券機」とあったそうですね。
BANNO
それにしても、最初から完成形だったわけじゃないんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。最初の展示の前、作者はSNSに「まだ全然未完成だけど、時間ないのでこのまま出しますね」と書いていました。
BANNO
完成を待たずに、まず見せちゃう。それで反応をもらえたのが大きいですね。
HIGEDARUMA
そこから展示のたびに作り直して、2025年までに4つの版になりました。
HIGEDARUMA
パソコンなしで鳴るようにして、プロのDJが使う音楽ソフトとつなげて、演奏モードも増やして。
BANNO
金沢の展示では、徹夜に近い作業もあったとか。
HIGEDARUMA
初日の夜、深夜までかけて、ボタンのメニューの紙を透明なシートに作り替えたそうです。
HIGEDARUMA
メニューの文字は残したまま、鳴る音の高さも書き足して、後ろのLEDの光がよく透けるようにしたんです。2日目は3時間ほどしか寝られなかったとか。
BANNO
その会場には、音楽プロデューサーでDJのtofubeatsさんも来て、実際に触っていったそうですね。
HIGEDARUMA
作者もブログで、テンションが上がったと書いています。反響をたくさんもらえて嬉しかった、とも。
BANNO
受賞もしています。作品づくりのコンテスト、ヒーローズ・リーグ2023で、オンラインヒーローと品モノラジオ賞の2つです。
HIGEDARUMA
品モノラジオ賞の言葉は、「オークションで落札し、基板を起こし、展示には自家用車で運ぶ行動力に脱帽」でした。
BANNO
ネットのニュース記事でも、取り上げられたそうですね。
HIGEDARUMA
それでも作品ページには今も、「未完成なので、実装済みの点だけメモします」と書いてあるんですよ。
BANNO
未完成のまま、ずっと育て続けている。それが一番かっこいいかもしれません。
BANNO
作ったのは、うこさん。モノづくりと音楽が好きで、シンセサイザーも自作してきた人です。
HIGEDARUMA
デモ動画や作品ページのリンクは、概要欄に置いておきますね。
BANNO
では、今日の一歩。身の回りで、ボタンがずらっと並んでいるものを、ひとつ探してみてください。
BANNO
電卓でも、リモコンでも。それが楽器だったら、どんな音を鳴らしたいか、想像してみるんです。
HIGEDARUMA
作ってみたくなった人は、Arduinoとボタン1個から。押したら音が鳴る、それだけなら、週末でも試せるんですよ。
BANNO
64個は、そのあとでいいんですね。
BANNO
さて、今日紹介したのは、ボタンを押すと食券の代わりに音が出る、食券機型電子楽器 "ShockAndKeys" でした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
食券機型電子楽器 "ShockAndKeys"
作者: うこ
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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