カメラにだけ映るおばけが、本物の本棚を動かす「TRICK SCOOP」|技術を体験に溶かしきったARアトラクション
ProtoPedia の作品「TRICK SCOOP」を2人のMCが初心者目線で紹介。カメラ型の機械をのぞくと部屋におばけが見え、そのおばけに合わせて本物の本棚が動き、照明がチカチカする。ドーナツのふたを開けたり樽に声を吹き込んだりして、おばけを呼び出して写真に撮る体験型アトラクションです。カメラが司令塔になって仕掛けに合図を送る仕組みと、作者ユニット KATAKOTO の「技術を体験に溶かしきった」こだわりをひもときます。ヒーローズ・リーグ オンライン2020 アンズテック賞・ガジェット賞。
チャプター
0:00オープニング0:21おばけを撮るアトラクション1:20手に持つのはカメラ3:32カメラ・仕掛け・掲示板5:51技術を体験に溶かしきった6:472つの賞を受賞7:37社会人2人、休日の趣味8:46エンディング
文字起こし(85行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、TRICK SCOOP。カメラにだけ映るおばけを探して、写真に撮るアトラクションなんです。
- BANNO
- TRICK SCOOPって、どういう意味なんですか?
- HIGEDARUMA
- トリックは、いたずら。スクープは、新聞の特ダネ写真のことです。おばけのいたずらを特ダネとして撮る、と読めますね。
- BANNO
- おばけ探しの特ダネ!しかもこれ、私、ちょっと思い出があるんです。
- HIGEDARUMA
- おや、どんな思い出ですか?
- BANNO
- 作品ページに、「これどこに行ったらできますか、レベルだ」ってコメントしたんですよ。
- HIGEDARUMA
- 見た瞬間に、遊びに行きたくなったわけですね。
- BANNO
- はい。ユーチューブの「ProtoPediaの時間」でも紹介しました。今日は、その不思議をじっくりひもときましょう。
- BANNO
- まず、遊ぶ人は何を手に持つんですか?
- HIGEDARUMA
- こんなカメラです。昔のおもちゃのカメラみたいで、かわいいでしょう。
- BANNO
- かわいい!でも、ただのカメラじゃないんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。画面をのぞくと、本物の部屋の景色に、おばけが重なって見えるんです。
- BANNO
- それって、ポケモンGOみたいな感じですか?
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。AR、カメラ越しの景色に、そこには無いキャラクターを重ねて見せる技術なんです。
- BANNO
- 画面の中におばけがいる。でも、それだけなら、よくあるアプリですよね。
- HIGEDARUMA
- そこからが本番なんです。おばけが本棚のそばを通ると、本物の本が、ぐいっと引き出されるんですよ。
- BANNO
- えっ、画面の中じゃなくて、現実の本が動くんですか!
- HIGEDARUMA
- はい。電気スタンドも、おばけに合わせてチカチカ点いたり消えたりします。
- BANNO
- うわあ、それはドキッとしますね。本当に何かいるって思っちゃいます。
- HIGEDARUMA
- 作者はそれを、「何かのいる気配」と呼んでいるんです。
- BANNO
- 気配かあ。目に見えないのに、確かに感じる、あれですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、自分からおばけを呼び出せる仕掛けもあるんですよ。
- BANNO
- 呼び出す?どうやってですか?
- HIGEDARUMA
- 1つ目は、ドーナツです。ふたを開けると、甘い匂いにつられて、おばけが寄ってくるんです。
- BANNO
- かわいい!ふたを閉めたらどうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- 閉めると、おばけは見えなくなります。開け閉めで、出たり消えたりするんですね。
- BANNO
- 2つ目は?
- HIGEDARUMA
- 樽です。樽に向かって声を吹き込んで呼ぶと、中からおばけが出てくるんですよ。
- BANNO
- 子どもなら、絶対「おーい」って叫んじゃいますね。
- HIGEDARUMA
- そして見つけたおばけを、シャッターを押して撮る。これが「正体をカメラに収める」なんです。
- BANNO
- 撮った写真は、どうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- 部屋に置いた掲示板に、撮ったおばけの写真が、次々に貼り出されていきます。
- BANNO
- みんなで「こんなの撮れたよ」って見せ合えるわけですね。楽しそう!
- BANNO
- でも、ひげだるまさん。画面のおばけと、本物の本棚が、どうして息ぴったりに動くんですか?
- HIGEDARUMA
- タネ明かししましょう。全体は大きく3つ。手に持つカメラ、気配を出す仕掛け、そして掲示板です。
- BANNO
- その中で、司令塔はどれなんですか?
- HIGEDARUMA
- 手に持つカメラです。おばけが動いた瞬間に、カメラから各仕掛けへ、無線で「今だ!」と合図を送るんですよ。
- BANNO
- なるほど。おばけの動きに合わせて、カメラが号令をかけているんですね。
- HIGEDARUMA
- 本棚の裏には、決めた角度まで動かせるモーターが隠してあります。
- BANNO
- それを、誰が動かしているんですか?
- HIGEDARUMA
- Raspberry Piという、手のひらサイズの小さなコンピューターです。合図を受けて、モーターで本を押し出すんです。
- BANNO
- チカチカする電気も、同じ仕組みですか?
- HIGEDARUMA
- 照明は、スマホから操作できる電球、Philips Hueを使っています。合図で点けたり消したりするんですよ。
- BANNO
- ドーナツのふたは、開けたことをどうやって知るんですか?
- HIGEDARUMA
- ここが面白いんです。ふたのふちに、電気を通すインクを塗ってあるんですよ。
- BANNO
- インクで、電気が通るんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。閉まっているとつながって、開けると切れる。その変化を、小さなコンピューターが見張っているんです。
- BANNO
- ふたそのものが、スイッチになっているんですね。賢い!
- HIGEDARUMA
- 樽の中にはマイクがあって、声が入ったら合図を出します。
- BANNO
- カメラは、自分が部屋のどこにいるか、分かっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 最初に「写真を撮る練習をしましょう」と、目印の絵を撮ってもらうんです。それを基準に、部屋の中の位置を合わせるんですよ。
- BANNO
- 練習のふりをして、実は準備をしているんですね。うまい!
- HIGEDARUMA
- カメラの中身はiPod Touch、電話機能の無いiPhoneのような機械です。アプリは、ゲームを作る道具のUnityで作られています。
- BANNO
- 使っている部品を並べると、意外と身近なものばかりですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。一つ一つは身近でも、組み合わせ方で、こんなに不思議になるんですよ。
- BANNO
- 私が一番びっくりしたのは、遊んでいる間、機械の存在をまったく感じないところなんです。
- HIGEDARUMA
- そこが作者のいちばんのこだわりで、「技術を体験に溶かしきった」と書いているんです。
- BANNO
- 溶かしきった。いい言葉ですね。
- HIGEDARUMA
- たとえば、iPodを、3Dプリンターで作ったカメラ型のケースに入れて、色まで塗っています。
- BANNO
- スマホを渡されたら「アプリだな」って思いますけど、カメラなら、おばけを撮る道具になりますね。
- HIGEDARUMA
- 掲示板も、モニターに掲示板風の外装をかぶせているんですよ。
- BANNO
- 仕掛けを隠すから、おばけが本当にいる気がする。おばけ屋敷の作り方と同じですね。
- HIGEDARUMA
- 見た人からは、「これを見たら、一方通行のARが物足りなくなりそう」という声もありました。
- BANNO
- 画面を見るだけのARから、現実に手を出してくるARへ。分かります、その気持ち。
- HIGEDARUMA
- この作品は、ヒーローズ・リーグ オンライン2020で、賞を2つ受けているんです。
- BANNO
- どんなところが評価されたんですか?
- HIGEDARUMA
- アンズテック賞には、中学1年生の講評が付いています。カメラの形で誰でも気軽に遊べて、遊べる年代が広いのがいい、と。
- BANNO
- 子どもの目で見て、ちゃんと楽しいって、いちばん説得力がありますね。
- HIGEDARUMA
- 「撮ったおばけを掲示板に貼って、みんなで共有できるのがいい」という声もありました。
- BANNO
- ガジェット賞のほうは?
- HIGEDARUMA
- 豊田陽介さんが、いろんな機械を適材適所で組み合わせて、しかもそれを感じさせないデザインが素敵だ、と評価しています。
- BANNO
- 子どもには「楽しい」、作り手には「すごい」。両方に届いたんですね。
- BANNO
- 作ったのは、ものづくりユニットのKATAKOTO。エンジニアのkiyoさんと、デザイナーの松井瑞貴さんの2人組です。
- HIGEDARUMA
- 社会人2人が、休日の趣味で作っているそうなんですよ。
- BANNO
- 趣味で、ここまで!デジタルとアナログのいいところを合わせる、っていうのがテーマなんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。エンジニアとデザイナーが組むと、技術が見えなくなるくらい体験を磨ける。いいお手本です。
- BANNO
- では今日の一歩です。まずはProtoPediaの作品ページで、デモ動画を見てみてください。
- HIGEDARUMA
- そのあと、自分の部屋を見回して、「おばけがいたずらするなら、ここだな」という場所を、1つだけ探してみてください。
- BANNO
- 引き出し、カーテン、電気のスイッチ。見つかったら、それがもう作品のタネですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。動かすなら、小さなコンピューターとモーター1個から始められますよ。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、カメラにだけ映るおばけが現実にいたずらする、TRICK SCOOPでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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