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手を振るだけで最速の反撃! 大学教授が作った「さいきょうのいんぱくとぼたん」

紹介した作品: おじ教授のかんがえたさいきょうのいんぱくとぼたんProtoPedia での反響: 閲覧 3,300+ ・ ♥ 14

ProtoPedia の作品「おじ教授のかんがえたさいきょうのいんぱくとぼたん」を2人のMCが初心者目線で紹介。ストリートファイター6で0.43秒しかない反撃を、パソコン画面の端のボタンと同じ「フィッツの法則」で押しやすくした栗原式インパクトボタン。電気を通すプラスチックの3Dプリントや、小指の観察から生まれた簡易版、プロゲーマーの反応まで。作者は津田塾大学の栗原一貴教授です。

チャプター

文字起こし(81行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、おじ教授のかんがえたさいきょうのいんぱくとぼたん。
BANNO
ひらがなのタイトル、かわいいですね。でも、さいきょうのボタンって何なんでしょう。
HIGEDARUMA
ゲーム用のボタンなんです。年齢で遅くなった反応を、ボタンの形で取り戻そうという作品で。
BANNO
ボタンの形で、ですか。作ったのは、どんな方なんですか?
HIGEDARUMA
大学の先生、栗原一貴教授です。自分も困っていたおじさんの悩みを、科学で解決したんですよ。
BANNO
先生が本気で作ったボタン。これは続きが気になります。
BANNO
まず、悩みのほうから聞かせてください。ゲームに詳しくない私でも分かりますかね?
HIGEDARUMA
大丈夫です。ストリートファイター6という、1対1で戦う格闘ゲームの話なんです。
HIGEDARUMA
この中に、ドライブインパクトという大技があります。ガードで防げない、強い一撃です。
BANNO
防げないなんて、ずるいですね。やられたら、どうしようもないんですか?
HIGEDARUMA
手はあります。相手が出した瞬間に、こちらも同じ技を出せば、逆にこちらが大ダメージを与えられるんです。
BANNO
やられる前に、同じ技でやり返すんですね。その瞬間って、どれくらいなんですか?
HIGEDARUMA
相手の技を見てから、ボタンを押すまでの猶予は、26フレーム。秒に直すと、0.43秒なんです。
BANNO
0.43秒!まばたき1回ちょっと、くらいですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。フレームは、ゲームの画面が切り替わる単位で、1秒に60回。その26回ぶんしかありません。
BANNO
それは若い人でも大変そうです。おじさんには、なおさらですね。
HIGEDARUMA
ええ。反応の速さは年齢とともに落ちるので、おじさんには返せない技、と若者にからかわれているそうで。
BANNO
言われると悔しいやつですね。作者の先生も、困っていたんですか?
HIGEDARUMA
はい。作品ページには、おじさんだってドライブインパクトに反撃したい!と書いてあるんです。気持ちが伝わりますよね。
BANNO
でも、反応の速さは鍛えるしかない気がします。ボタンで、どうにかなるものですか?
HIGEDARUMA
そこで一つ質問です。パソコンで、画面の端にあるボタンって、押しやすいと思いませんか?
BANNO
端のボタン…。Windowsのスタートボタンや、Macのりんごマークのことですか?
HIGEDARUMA
そうです。マウスを思い切り端へ動かしても、矢印は画面の外へ行かず、端でぴたっと止まりますよね。
BANNO
たしかに!狙わなくても、勢いだけで押せちゃいます。
HIGEDARUMA
これを説明するのが、フィッツの法則です。人がボタンを押すまでの時間を予想する、有名な決まりなんです。
BANNO
どういう決まりなんですか?
HIGEDARUMA
ボタンが遠いほど、そして小さいほど、押すのに時間がかかる。言っているのは、それだけなんです。
BANNO
なるほど。じゃあ画面の端のボタンは、どうして速いんですか?
HIGEDARUMA
端で必ず止まるので、どれだけ行きすぎても押せる。つまり、実質、無限に大きいボタンなんです。
BANNO
無限に大きいボタン!言われてみると、そういうことですね。
HIGEDARUMA
普通のボタンを押すときは、手を速く動かしたあと、行きすぎないように、最後にブレーキをかけますよね。
HIGEDARUMA
そのブレーキが、時間のロスなんです。栗原式は、コントローラーの端に壁を立てて、そこにボタンを付けました。思い切り手を振れば、必ず押せるんです。
BANNO
壁にぶつければ止まるから、ブレーキがいらない。画面の端と同じ仕組みですね!
BANNO
ここからは作り方ですね。その壁のボタン、どうやって作ってるんですか?
HIGEDARUMA
コントローラーの右上に、壁の形をした部品を付けて、そこに触れると入力される仕組みです。
BANNO
触れるだけで、ですか。ボタンなのに、押し込まなくていいんですね。
HIGEDARUMA
最初の版は、電気を通すプラスチックを、3Dプリンターで印刷して作っています。
BANNO
プラスチックなのに電気を通す。そんな材料があるんですね。
HIGEDARUMA
はい。指が触れると電気が流れて、押したことになるんです。指には、スマホゲーム用の、電気を通す指サックを付けます。
BANNO
電子工作は難しそうですけど、配線とか、たいへんじゃないですか?
HIGEDARUMA
そこがうまいところで。追加の電気回路はいらず、普通のボタンを付け替えるのと同じ作業で使えるんです。
BANNO
付け替えるだけ!それなら、私でもできそうです。
HIGEDARUMA
材料は、3Dプリンターと、Tinkercadという、ブラウザで使える無料の設計ツールです。
BANNO
でも、3Dプリンターを持っていない人は、どうするんですか?
HIGEDARUMA
それで作ったのが簡易版です。先生は、自分がボタンを押す手の動きを、じっくり観察したんですよ。
BANNO
自分の手を観察、ですか。何か気づいたんですか?
HIGEDARUMA
右上に手を伸ばすと、中指より先に、小指の右側の面が、壁にぶつかっていたんです。
BANNO
小指の横!そこが先に当たるなら、そこにボタンがあればいいわけですね。
HIGEDARUMA
その通り。市販のゲーム用ボタンを、横向きに立てて付ける部品を作りました。両面テープで貼れるんです。
BANNO
身近な観察から、誰でも試せる形にしたんですね。偉い!
BANNO
実際に使ってみて、どうだったんでしょう。
HIGEDARUMA
先生は自分で使い込んで、これはいいぞ、と確信。そこで有名なプロゲーマー、ときど選手にSNSで連絡したんです。
HIGEDARUMA
すると返事が来て、ときど選手のYouTube番組に呼ばれたんですよ。
BANNO
自分から連絡したんですね。プロの反応は、どうでしたか?
HIGEDARUMA
ときど選手は、今まで、狙って押すために、無意識にブレーキをかけていたと気づいた、と話したそうです。
BANNO
プロでもブレーキをかけていた。まさに、さっきの話ですね。
HIGEDARUMA
しかも、無限大を感じた、と。番組でもかなり盛り上がったんですよ。
BANNO
数字で見ても、速くなっているんですか?
HIGEDARUMA
先生が自分で測ると、いつもの右下のボタンを小指で押すより、約2.9フレーム速く押せました。
BANNO
26フレームの勝負で、約3フレーム。1割以上の差ですね。それは大きいです。
HIGEDARUMA
番組が公開されると、印刷を代わりに請け負うサービスに、一晩で100件を超える注文が来ました。
BANNO
一晩で100件!みんな、返したかったんですね。
HIGEDARUMA
さらに先生は、設計データを無料で公開しました。すると、ゲーマーたちが、自分で作り始めたんです。
BANNO
自分で、ですか。どんなふうに?
HIGEDARUMA
100円ショップのリング型のフックに、ボタンがぴったりはまると見つけた人もいて。名刺入れで作った人もいます。
HIGEDARUMA
ゲーマーの工夫で、どんどん広がったんです。手が不自由な方から、これなら操作できる、という声も届いたそうです。
BANNO
ゲームの悩みから始まって、誰かの助けにもなった。ぐっときますね。
BANNO
最後に、作者の栗原先生について、もう少し教えてください。
HIGEDARUMA
津田塾大学の教授で、人とコンピュータの関わりを研究しています。おしゃべりを邪魔する装置で、イグノーベル賞も受賞しているんです。
BANNO
イグノーベル賞!笑えて、考えさせられる研究に贈られる賞ですよね。納得です。
HIGEDARUMA
この作品も、ProtoPedia Award 2025で、ProtoPedia賞を受賞しました。
BANNO
おめでとうございます。作り方や番組を見たい人向けのリンクも、あるんですよね?
HIGEDARUMA
はい。ときど選手の番組と、試作品が届く支援コミュニティを、概要欄にまとめておきますね。
BANNO
では、今日の一歩です。パソコンのマウスを、画面の端へ、思い切り動かしてみてください。
HIGEDARUMA
狙わなくても止まる、無限に大きいボタンを、1秒で体感できますよ。
BANNO
そして、毎日つい手間取るボタンを、端に寄せられないか考えてみる。それが発明の入口ですね。
BANNO
さて、今日紹介したのは、おじさんの反撃を科学で助ける、おじ教授のかんがえたさいきょうのいんぱくとぼたんでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
おじ教授のかんがえたさいきょうのいんぱくとぼたん
作者: 栗原 一貴
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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