鏡なのに文字が反転しない「InfiniFlow Mirror」|光が奥へ流れ込むインフィニティミラーの仕組み
ProtoPedia の作品「InfiniFlow Mirror」(工作記録帳さん)を2人のMCが紹介。合わせ鏡で光のトンネルを作るインフィニティミラーは、鏡に映ると光の動きが逆向きになるため、奥へ光を流す表現ができませんでした。LED の列を2組に分けて鏡の映り方ごとに担当させるアイデアで、光が奥へ吸い込まれ、文字も反転しない表示を実現。直径5cm・LED 6個から始めて432個まで育てた作り方、鏡選びのこだわりまで紹介します。
チャプター
0:00オープニング0:20光が奥へ流れ込む鏡1:18インフィニティミラーとは?3:23反転しない仕組み5:52最初は直径5cm8:32厚さ4cmなのに、タイムトンネル9:33手鏡2枚で、トンネルをのぞく10:39エンディング
文字起こし(98行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、InfiniFlow Mirror。
- BANNO
- わあ、丸い枠の中に、光の輪がずーっと奥まで続いてますね。
- BANNO
- 思わずのぞき込みたくなります。これは何なんですか?
- HIGEDARUMA
- 鏡を使って、光のトンネルを作る装置なんです。しかも、光が奥へ奥へと吸い込まれるように流れるんですよ。
- HIGEDARUMA
- さらに、鏡に映っているのに、文字が反転しないで読めるんです。
- BANNO
- え、鏡なのに反転しない? 鏡って、文字が逆になるものですよね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そこが、この作品のいちばんの面白さなんですよ。作ったのは、工作記録帳さんです。
- BANNO
- 今日はその秘密を、ゆっくりひも解いていきましょう。
- BANNO
- まず、インフィニティミラーって、そもそも何でしょうか?
- HIGEDARUMA
- 洋服屋さんの試着室で、鏡を2枚向かい合わせると、鏡の中に鏡がずーっと続いて見えますよね。
- BANNO
- ありますね。自分がどこまでも並んで見える、あれですね。
- HIGEDARUMA
- それです。合わせ鏡っていいます。インフィニティミラーは、その合わせ鏡で、光のトンネルを作る飾りなんです。
- HIGEDARUMA
- 手前には、半分だけ光を通す鏡を置きます。ハーフミラーといって、マジックミラーみたいなものです。
- HIGEDARUMA
- 奥には普通の鏡。その間に、小さな電球みたいな光る部品、LEDを並べるんですよ。
- BANNO
- 光が鏡と鏡の間を行ったり来たりして、奥まで続いて見えるわけですね。
- HIGEDARUMA
- そのとおりです。ただ、ここに鏡ならではの困ったことがあったんです。
- BANNO
- 困ったこと、ですか?
- HIGEDARUMA
- 鏡の前で右手を上げると、鏡の中の自分は左手を上げているように見えますよね。
- BANNO
- はい。鏡の中では、左右が逆になりますね。
- HIGEDARUMA
- 同じことが、奥行きでも起きるんです。光を手前から奥へ動かすと、鏡に映った光は、奥から手前に動いちゃうんですよ。
- BANNO
- あ、本物と映った光が、反対向きに動いてしまうんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。作者さんも、「鏡ですもんね」と書いています。
- BANNO
- ふふ、鏡だから仕方ない、ということですね。
- HIGEDARUMA
- だから今までは、トンネルの奥へ光を流し込むような見せ方が、できなかったんです。
- BANNO
- でも作者さんは、そこで諦めなかったんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。奥へ光を流せないのか、という疑問が、ぼんやり頭にあったそうです。
- HIGEDARUMA
- そこで、反転しないように光を置けばいいのでは、とひらめいたんです。そうなると、作って確かめたくなる、と。
- BANNO
- いいですね。その「確かめたくなる」気持ち、すごく分かります。
- BANNO
- では、どうやって反転しないようにしたんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 光は、鏡で跳ね返るたびに裏返るんです。だからトンネルの中には、まっすぐの像と裏返しの像が、交互に並んでいるんですよ。
- BANNO
- まっすぐの像と、裏返しの像が、代わりばんこに並んでいるんですか。
- HIGEDARUMA
- そうです。裏返しの像では、光が逆向きに動いて見えます。これが、流れがそろわない原因なんです。
- HIGEDARUMA
- そこで作者さんは、LEDの列を、偶数の列と奇数の列の2組に分けました。
- HIGEDARUMA
- まっすぐの像で見える列と、裏返しの像で見える列を、分けておくんです。
- BANNO
- あ、鏡の映り方ごとに、担当のLEDを決めてあるんですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。担当ごとに光らせる順番を合わせると、どの像でも、光が同じ向きに流れるんですよ。
- BANNO
- だから、トンネルの奥へ、一方向に吸い込まれていくんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。同じ考え方で、文字も鏡文字にならずに表示できるんです。
- BANNO
- 見て分かるのがいいですね。その光らせ方は、何が決めているんですか?
- HIGEDARUMA
- 切手くらいの大きさの小さなコンピューター、エムファイブ アトム ライトが1つで、全部のLEDに命令しているんです。
- HIGEDARUMA
- LEDは、1個ずつ色と明るさを指定できるタイプです。1本の線で数珠つなぎになっていて、最初の試作では144個がつながっています。
- BANNO
- 144個を、1つのコンピューターで動かしているんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。それから、鏡選びにもこだわっています。
- HIGEDARUMA
- 奥の鏡は、アルミミラーです。表面で光を跳ね返すので、普通の鏡のような透明な層がなくて、像のつながりがきれいなんです。
- HIGEDARUMA
- 跳ね返す光の割合も80%以上あって、より奥まで像が続くんですよ。
- BANNO
- 欲しい形の鏡は、売っていたんですか?
- HIGEDARUMA
- 欲しい大きさの丸い鏡は、売っていなかったそうです。それで、鏡の加工会社のコーワさんに特別に切ってもらっています。
- HIGEDARUMA
- 手前のハーフミラーは、いろいろ取り寄せて比べたそうです。
- HIGEDARUMA
- その結果、厚さ0.5ミリのポリカーボネートというプラスチックの板が、いちばん奥まで映ったんです。
- BANNO
- 取り寄せて比べるって、地道ですけど大事なところですね。
- BANNO
- これって、いきなり完成品を作ったんですか?
- HIGEDARUMA
- いえ、すごく小さく始めているんです。まず、直径5センチを目標にしました。
- HIGEDARUMA
- 奥へ向かう方向に、LEDを6個だけ、1列に並べたんです。
- HIGEDARUMA
- 本体は、家の3Dプリンターで作っています。黒い材料が切れていたので、灰色で作ったそうです。
- BANNO
- ふふ、あるもので作っちゃうのがいいですね。
- HIGEDARUMA
- 光らせてみると、作者さんいわく「お!思ったとおりに動いている!」。
- BANNO
- 頭の中のアイデアが、6個のLEDで本当になったんですね。
- HIGEDARUMA
- 次は、LEDをぐるっと一周に並べます。周りに24列、それぞれ6個なので、LEDは144個になりました。
- BANNO
- 144個を、手でつなぐんですか?
- HIGEDARUMA
- それは無理なので、部品をつなぐ配線を印刷した板、基板を、初めて自分で設計したんです。
- HIGEDARUMA
- 作者さんいわく、「なかなかエグい形状」。それでも、なんとか動いてくれたそうです。
- HIGEDARUMA
- しかも、LEDの取り付けは、「よせばいいのに」手作業のハンダ付け。金属を溶かして部品をくっつける作業です。
- BANNO
- 144個を手作業で! それは気合いが入っていますね。
- HIGEDARUMA
- そして光らせたとき、「頭の中にあった原理が実際に現実になった瞬間です!」と書いています。
- BANNO
- うわあ、その瞬間は、本当にうれしかったでしょうね。
- BANNO
- 基板の作りにも、工夫があるんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。奥へ向かう1列、6個のLEDを、1枚の基板にまとめています。
- HIGEDARUMA
- 基板どうしは3本の線でつなぐだけで、いくらでも数珠つなぎに増やせるんですよ。
- HIGEDARUMA
- ただ、たくさん光らせると電気が流れすぎて、燃えそうだったそうで。電気は基板6枚ごとに別に送っています。
- BANNO
- 増やせるけど、安全もちゃんと考えてあるんですね。
- HIGEDARUMA
- そのあと、部品の取り付けまで業者さんに頼めるLEDに変えて、大きくしていきました。
- HIGEDARUMA
- 周りに30列、180個のMサイズ。72列、432個のLサイズです。
- HIGEDARUMA
- 丸くなくても同じ効果が出るので、四角い形も作りました。1辺を基板1枚にまとめられて、組み立てがとても楽になったそうです。
- BANNO
- 6個から始めて、432個まで。作るたびに、作り方まで楽にしているのがすごいですね。
- BANNO
- 実際に見た人の反応は、どうだったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 鏡を特別に切ってくれたコーワさんの広報の方が、会社のブログで紹介しているんです。
- HIGEDARUMA
- 横から見た厚さは4センチほどなのに、のぞき込むと、まるでタイムトンネルのようだ、と書いています。
- HIGEDARUMA
- それから、鏡に映っているはずなのに文字が反転していない、と驚いているんですよ。
- BANNO
- 鏡のプロが驚くって、すごいことですね。
- HIGEDARUMA
- はい。ものづくりの展示会、メイカーフェア東京2024にも出展しています。
- HIGEDARUMA
- そして、ヒーローズ・リーグ2024では、オンラインヒーローという賞を受賞しました。
- BANNO
- 私がいいなと思うのは、「鏡ですもんね」で終わらせなかったところです。
- BANNO
- 仕事でも、そういうものだから、で止まっていることって、意外とありますよね。
- HIGEDARUMA
- ありますね。当たり前を一つ疑うだけで、今までなかった見せ方が生まれるんです。
- BANNO
- 使っている道具も見てみましょう。
- HIGEDARUMA
- 小さなコンピューター、光る部品、3Dプリンター、そして2種類の鏡。どれも手に入るものなんですよ。
- BANNO
- 作ったのは、工作記録帳さんです。
- BANNO
- 作品ページには、作り方の写真や、仕組みの解説動画も載っていますね。
- BANNO
- では、見ている人が今日できることは何でしょうか?
- HIGEDARUMA
- 手鏡を2枚、向かい合わせにしてのぞいてみてください。鏡の中に、トンネルが続いて見えます。
- HIGEDARUMA
- その間で指をゆっくり奥へ動かして、映った指がどっちへ動くか、見てみるんです。
- BANNO
- 今日の話が、自分の目で確かめられますね。
- BANNO
- そして、頭の中の「なんでだろう」は、小さく作って確かめてみる。6個のLEDから始めたみたいに、ですね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、光が奥へ流れ込み、文字が反転しない鏡、InfiniFlow Mirrorでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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