スマホの充電器から20V!「USB PD対応の小型マイコンボード XIAO CH32X035」|家の充電器が電子工作の電源になる
ProtoPedia の作品「USB PD対応の小型マイコンボード XIAO CH32X035」を2人のMCが初心者目線で紹介。最近のUSB-Cの充電器は、つないだ相手と相談して送る電気の強さを変えられます(USB PD)。この親指サイズのボードは、Arduino IDE から数行のプログラムを書き込むだけで、充電器に「20ボルトください」と頼み、電子工作でふだん使う5ボルトの4倍の電気を取り出せます。イベントの来場者の「あれも動かせる」という声から生まれ、試作4回・初めての4層基板で20V・3Aに対応。Mouser Make Awards 2024 で最優秀賞を受け、スイッチサイエンスで委託販売までされた道のりを、作者の言葉とともにたどります。
チャプター
0:00オープニング0:21充電器から、工作用の強い電気を1:01毎日使う、あの充電器2:43作者: スーザンワークスさん3:56XIAO = 親指ほどの小さなボード6:38作ったものは4点8:18Mouser Make Awards 2024 最優秀賞9:23作者10:32エンディング
文字起こし(81行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、USB PD対応の小型マイコンボード XIAO CH32X035。
- BANNO
- うーん、カタカナと英語がいっぱいで、正直ちょっと難しそうです。
- HIGEDARUMA
- ひとことで言うと、スマホの充電器から、工作に使える強い電気を取り出せる、小さな板なんです。
- BANNO
- 充電器から?それなら私にも身近な話ですね。順番に教えてください。
- BANNO
- スマホの充電器って、毎日使ってますけど、ただ充電するだけのものですよね?
- HIGEDARUMA
- それがですね、最近のUSB-Cの充電器は、つないだ相手と相談して、送る電気の強さを変えられるんです。
- HIGEDARUMA
- この相談の決まりを、USB PDと言います。ノートパソコンを急いで充電できるのも、この仕組みなんですよ。
- BANNO
- へえ、充電器とパソコンが、こっそり会話してるんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。電気の強さは、ボルトという単位で表します。水道で言うと、水を押し出す力ですね。
- HIGEDARUMA
- 電子工作では、ふだん5ボルトくらいを使います。ところがUSB PDの充電器は、相談すれば20ボルトまで出せるんです。
- BANNO
- 20ボルトだと、何がうれしいんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 5ボルトだと非力で動かないものが、動くようになるんです。パワフルなモーター、たくさんのLED、熱々のヒーター、大きなファンなどですね。
- BANNO
- なるほど。じゃあ、その相談をしてくれるのが、このボードなんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。しかも、やり方がとても簡単なんです。プログラムを書き込むだけで、充電器に「20ボルトください」と頼めるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 作品ページの冒頭にもコードが載っていて、中身は準備をして、1秒待って、20ボルトを頼む。ほぼそれだけなんです。
- BANNO
- えっ、たったそれだけで、ふだんの4倍の強さの電気が出るんですか!
- BANNO
- 専用の電源を買い足さなくても、家にある充電器が、そのまま工作の電源になるってことですね。
- BANNO
- 作ったのは、スーザンワークスさん。子育てをしながら電子工作をしている、個人の開発者さんです。
- HIGEDARUMA
- スーザンワークスさんは、このマイコンに可能性を感じて、「USB PDを誰でも自由に使えるようにしたい」と製作を始めたそうです。
- BANNO
- 誰でも自由に、っていうのがいいですね。でも、どうしてそこまで確信できたんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 実はその前に、電圧を表示する小さな機械を作って、ものづくりのイベントに出していたんです。
- HIGEDARUMA
- そうしたら、来場者から「24ボルトのモーターが動かせる」「鉄道模型いけますね」「ギターのエフェクターも」と、アイデアが次々に出てきたんですよ。
- BANNO
- 見に来た人のほうが、使い道を思いついちゃったんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者はそのときの様子を、「チビッコよりもメイカーおじさんの目が輝いてた」と書いています。
- BANNO
- あはは、大人のほうが夢中になっちゃった。目に浮かびます。
- HIGEDARUMA
- そして、「みんな高電圧&大電力を必要としてる!」と確信したそうです。
- BANNO
- 自分の思いつきじゃなくて、人の声で確かめたんですね。これはビジネスでも大事なところです。
- BANNO
- ところで、名前のXIAOって、何のことでしょうか?
- HIGEDARUMA
- シードという会社が作っている、親指の先ほどの小さなボードのシリーズなんです。作者は、この小さくてかわいいサイズが好きだったんですよ。
- HIGEDARUMA
- だから大きさも、ピンと呼ばれる足の並び方も、XIAOとそろえて作ったんです。
- BANNO
- 見慣れた形にそろえておけば、ほかの部品とも組み合わせやすそうですね。
- HIGEDARUMA
- ただ、ここまでたどり着くのに、試作を4回も重ねているんです。
- HIGEDARUMA
- 1回目は、部品どうしがやりとりする通信が、買ったマイコンでは動かないと分かりました。製造の時期によって、使えないものがあったんです。
- BANNO
- えっ、部品は合っているのに、たまたま外れを引いちゃったんですか。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。それでも作者は、この通信は絶対に入れたいと考えて、同じマイコンの別の形のものなら動くことを確かめて、先に進みました。
- HIGEDARUMA
- 2回目では、配線のつなぎ忘れがすぐに見つかって、すぐに3回目を作っています。作者いわく、「みんなも基板設計したらDRCかけようね!」。
- BANNO
- DRCって何ですか?
- HIGEDARUMA
- 設計に、つなぎ忘れや作れない部分がないか、自動で調べてくれる機能です。失敗を笑って共有してくれるのが、いいですよね。
- HIGEDARUMA
- そして4回目のテーマは、「電流3A流したい!」でした。
- BANNO
- 電流、さっきの水道のたとえだと、何になりますか?
- HIGEDARUMA
- 流れる水の量です。アンペアという単位で表します。前の作品は、1アンペアを目安に作られていたんですよ。
- HIGEDARUMA
- 大きな電流を流すには、太い通り道が必要です。そこで作者は、配線の通り道が4枚重なった基板に、初めて挑戦しました。
- BANNO
- 親指サイズの板の中に、道路を4階建てにしたようなものですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそうです。その結果、20ボルトで3アンペアを流せるようになりました。前の作品の3倍の電流です。
- HIGEDARUMA
- 3アンペアのまま30分流し続けても、温度の上がり方は、およそ10度だったそうです。
- BANNO
- 小さいのに、ちゃんと我慢強いんですね。
- HIGEDARUMA
- 苦労話がもう一つあって、コンテストから提供された部品が、小さすぎて手で半田付けできなかったんです。
- HIGEDARUMA
- 作者は、「マジで小さすぎて半田付けムリだあ」と書いて、「マウザーさんごめんなさい」と部品を変えています。
- BANNO
- 正直で、人柄が出てますね。読んでいて応援したくなります。
- BANNO
- 完成したのは、このボードだけなんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- いえ、全部で4つです。ボード本体と、書き込み用の道具をつなぐ変換の板。それから、背中に重ねる拡張の板が2枚あります。
- HIGEDARUMA
- 1枚は、取り出した電気をプログラムでオン・オフするスイッチの板。もう1枚は、小さな画面の板です。
- BANNO
- プログラムは、どうやって書くんですか?
- HIGEDARUMA
- 電子工作でおなじみの、Arduino IDEという無料のソフトで書けるんです。動画では、パソコンから文字を送って、5ボルトと20ボルトを切り替えていました。
- BANNO
- パソコンからの一言で、電気の強さが変わるんですね。
- HIGEDARUMA
- 動画の最後には、この4つを組み合わせて、ヒーターを温めるデモもあります。構成図で見てみましょう。
- HIGEDARUMA
- まず、ボードが充電器に9ボルトを頼みます。その電気を、スイッチの板を通して、薄いフィルムのヒーターに送るんです。
- HIGEDARUMA
- ヒーターには温度を測るセンサーが貼ってあって、小さな画面に、電圧と温度と、オンかオフかが表示されます。
- BANNO
- 温度が分かるなら、熱くなりすぎたら止める、みたいなこともできそうですね。
- HIGEDARUMA
- その通りです。温度を見ながらオン・オフすれば、50度にキープするような使い方もできるんですよ。
- BANNO
- 保温の箱や、植物を温める台なんかにも使えそうです。
- HIGEDARUMA
- 使った道具は、Arduinoと、基板の設計ソフトのKiCadです。基板の形まで、自分で設計しているんですよ。
- BANNO
- この作品は、Mouser Make Awards 2024で、最優秀賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 電子部品の通販会社、マウザーのコンテストです。表彰は、Maker Faire Tokyo 2024の会場で行われました。
- HIGEDARUMA
- 審査員のあきちかさんは、「電子工作している人に響く作品」「DIY精神をくすぐるような作品で、自分自身使ってみたいと思いました」とコメントしています。
- BANNO
- 作る人が、思わず使ってみたくなる道具。最高のほめ言葉ですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、そのあと改良したボードは、電子部品のお店、スイッチサイエンスで委託販売されたんです。
- BANNO
- イベントで「欲しい」と言っていた人の手に、本当に届いたわけですね。
- HIGEDARUMA
- 回路図や基板のデータも、GitHubというサイトで公開されています。中身を見ながら学ぶこともできますよ。
- HIGEDARUMA
- ひとつだけ注意です。強い電気は、ショートさせると部品が熱くなって危ないので、最初は小さな電圧から試してくださいね。
- BANNO
- 改めて、作者はスーザンワークスさん。イベントで聞いた人の声を、親指サイズの道具にして届けてくれました。
- HIGEDARUMA
- エンジニアとして感じるのは、難しい電源の相談を、数行のコードの裏に隠してくれたことのすごさです。
- BANNO
- 今日できる最小の一歩は、手元の充電器の裏側を見てみることです。
- HIGEDARUMA
- 小さな文字で、出力9ボルト、20ボルトのように書いてあったら、それがUSB PDに対応した充電器の目印です。
- BANNO
- そして、その電気で何を動かしてみたいか、1つだけメモしてみましょう。私は、大きなファンで扇風機を作ってみたいです。
- HIGEDARUMA
- いいですね。家にある充電器が、工作の電源に変わる。その入口が、このボードなんです。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、家の充電器から20ボルトの電気を取り出せる、USB PD対応の小型マイコンボード XIAO CH32X035でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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