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取りに行ったら空っぽ、をなくす「配布物チェック空振り防止システム -改-」|AIなしで郵便物の棚をのぞくIoT
ProtoPedia の作品「配布物チェック空振り防止システム -改-」を2人のMCが初心者目線で紹介。職場の郵便物の棚に何か入っているかを、カメラ付きの小さな基板 Spresense が1日5回のぞき、回収の時間に何かあればグループ全員のLINEに通知します。AIを使わず、写真の明るさの数字4つだけで「ある/ない」を判定するシンプルさ、電源もネットも無い場所で動かすための省電力の工夫、そして一度お役御免になった作品が「職場にも置いてほしい」と頼まれて復活した物語まで。
チャプター
0:00オープニング0:20取りに行く前に、中身が分かる1:02行ってみたら、空っぽ…2:01何か入っていたら、LINEに通知2:52Spresense+LTEボード+HDRカメラ4:06AIで判定?5:15見る → 数える → 知らせる6:33前作は2023年8:30使った道具9:39エンディング
文字起こし(86行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、配布物チェック空振り防止システム -改-。
- BANNO
- 空振り防止?野球の素振りの話ですか?
- HIGEDARUMA
- いえいえ、郵便物の話なんです。職場の郵便物の棚に、何か入っているかを機械がのぞいてくれるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 入っていたら、スマホのLINEで知らせてくれる。そんな仕組みなんです。
- BANNO
- 作ったのは、S.Shimizuさん。名前の最後の「改」は、改良版という意味なんですね。
- BANNO
- でもこれ、分かります。郵便物を取りに行ったのに、棚が空っぽだったときのがっかり感。
- HIGEDARUMA
- まさにその「空振り」をなくすための作品なんです。作者さんの職場には、メール室という郵便物の部屋があるんですよ。
- BANNO
- メール室。そこには、どんなルールがあるんですか?
- HIGEDARUMA
- 郵便物は、午前9時から12時の間に届いて、届いた順に棚へ入れられます。
- HIGEDARUMA
- お昼の12時から3時半までは、部屋に入れなくて、電気も消えてしまうんです。
- HIGEDARUMA
- 取りに行くのは、午後3時半から5時の間。職場の6人が、当番で回っているそうです。
- BANNO
- 6人で当番。自分の番で行ったのに空っぽだと、ちょっと悔しいですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、急ぎの郵便は午前中に取りに行ってもいいんですが、いつ届くかは分からないんですよ。
- BANNO
- つまり、行ってみるまで中身が分からない。そこが問題の正体なんですね。
- BANNO
- じゃあ、このシステムがあると、どう変わるんですか?
- HIGEDARUMA
- 回収の時間になると、棚に何か入っていたときだけ、グループ全員のLINEに通知が届きます。
- HIGEDARUMA
- 通知は午後3時35分と4時45分の2回。1回目のあとに誰かが回収していれば、2回目は届きません。
- BANNO
- 偉い!もう取りに行ったのに、また通知が来たら困りますもんね。
- BANNO
- 午前中に急ぎの郵便を待っている人は、どうするんですか?
- HIGEDARUMA
- LINEのボット、つまり自動で返事をしてくれるアカウントに話しかけるんです。
- HIGEDARUMA
- すると、その時点の最新の状況を教えてくれて、「写真で確認する」ボタンで棚の写真まで見られるんですよ。
- BANNO
- 行く前に中が見えるなら、無駄足はゼロ。これは助かりますね。
- BANNO
- その棚には、どんな機械が置いてあるんですか?
- HIGEDARUMA
- ソニーのSpresenseという、手のひらサイズの小さなコンピューターの基板です。
- HIGEDARUMA
- そこにカメラと、携帯の電波でつながるボードを付けて、ケースに入れています。
- BANNO
- 携帯の電波?職場のWi-Fiじゃないんですね。
- HIGEDARUMA
- 前の作品を置いた場所には、コンセントもネットも無かったんです。だから電池で動いて、電波も自分で持つ必要がありました。
- HIGEDARUMA
- 使っているのはLTE-Mという、電池で動く機械向けの、電気をあまり使わない携帯の電波です。
- BANNO
- でも電池だと、ずっと動かしていたら、すぐ切れてしまいませんか?
- HIGEDARUMA
- そこで、写真を撮るのは1日5回だけ。午前に3回、午後に2回です。
- HIGEDARUMA
- 午前は9時半、10時半、11時半。午後は3時32分と4時半。電気が消えるお昼は撮りません。
- HIGEDARUMA
- 撮り終えたら、次の時刻まで「DeepSleep」、つまり深い眠りに入って、電気を節約するんですよ。
- BANNO
- 必要なときだけ起きて、あとは寝ている。なんだか猫みたいですね。
- BANNO
- ところで、写真を見て「入っている」か「空っぽ」かを判断するのって、AIですか?
- HIGEDARUMA
- それが、AIは使っていないんです。ここが面白いところなんですよ。
- HIGEDARUMA
- まず写真を小さくして、白黒にします。そして、明るさを数字にするんです。
- HIGEDARUMA
- 取り出す数字は4つ。明るさの平均、ばらつき、いちばん明るい所、いちばん暗い所です。
- BANNO
- たった4つの数字で、中身があるかどうか分かるんですか?
- HIGEDARUMA
- 何も無い棚と、郵便物が入った棚では、写真の明るさの具合が変わりますよね。その違いを数字で見分けるんです。
- BANNO
- なるほど。目で見て「何かあるな」と感じるのを、数字でやっているんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんは最初、AIを使うつもりだったそうです。でも、この単純な計算で出来てしまった。
- HIGEDARUMA
- 送るのは数字4つなので、データも小さくて済む。電池にも通信料にもやさしいんです。
- BANNO
- 難しいことをしなくても、ちゃんと役に立つ。これは勇気が出ますね。
- BANNO
- 撮った写真や数字は、そのあとどこへ行くんですか?
- HIGEDARUMA
- 全体は「見る、数える、知らせる」の3段です。まず基板が、数字と写真を電波で送ります。
- HIGEDARUMA
- 途中でSORACOM Beamという中継サービスが、データをクラウドが受け取れる形に変えてくれます。
- BANNO
- 中継してくれる人がいるんですね。受け取るのは、どこなんですか?
- HIGEDARUMA
- kintoneです。表やアプリを手軽に作れる業務用のサービスで、ここで「ある・なし」を判定します。
- BANNO
- なるほど。じゃあ、LINEに知らせるのは誰の役目なんですか?
- HIGEDARUMA
- そこは、アマゾンのクラウド、AWSの出番です。決まった時刻になると、目覚まし役のサービスが動きます。
- HIGEDARUMA
- すると、必要なときだけ動くプログラムがkintoneを確認して、何かあればLINEに知らせるんです。
- BANNO
- 最初から、AWSを使うつもりだったんですか?
- HIGEDARUMA
- 実は最初、Makeという、プログラムを書かずにサービス同士をつなぐ道具を使っていたんです。
- HIGEDARUMA
- でも、kintoneから写真を取り出せなくて、AWSに切り替えたそうです。
- BANNO
- うまくいかなかったら、道具を変えてみる。試行錯誤が見えますね。
- BANNO
- ところで、名前の「改」。ということは、前のバージョンがあったんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。最初の作品は2023年。作者さんが、労働組合の担当になったのがきっかけです。
- HIGEDARUMA
- 組合の配布物を定期的に取りに行くのに、行ったら何もない。その空振りが嫌で作ったんです。
- BANNO
- 自分の困りごとから生まれたんですね。
- HIGEDARUMA
- ハッカソンの期間中は、写真を撮ることすらうまくいかなかったそうです。それでも必要に迫られて、作り続けたんですよ。
- BANNO
- ところが2024年の8月、作者さんは担当を外れて、システムは「お役御免」に。
- BANNO
- 供養するつもりだったところに、「職場のメールボックスにも置いてほしい」と頼まれたんです。
- HIGEDARUMA
- 自分のために作った物が、周りに求められて復活する。作り手として、これはうれしいですよ。
- BANNO
- しかも今回は、前の作品でできなかったことにも挑戦したんですよね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。前の作品では、写真を送るのを諦めていました。
- BANNO
- 今回は、どうやって送れるようにしたんですか?
- HIGEDARUMA
- 写真のままでは送れなかったので、BASE64という方法で、画像を文字だけの形に置き換えて送ったんです。
- BANNO
- 一度あきらめたことに、もう一回挑む。かっこいいですね。
- BANNO
- この作品は、ヒーローズ・リーグ2024で、SPRESENSEヒーロー賞と、Amulet賞をダブル受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 前の作品も、2023年に賞をもらっているので、2年連続の受賞なんですよ。
- BANNO
- 審査員の方は、週1回の出社が基本で、郵便受けに何か届いたら、回収のためだけに出社することもあるそうです。
- BANNO
- 「在宅ワークを守るアイデア」と評価されていました。分かる人、多そうですね。
- HIGEDARUMA
- 使った道具を、まとめておきますね。
- BANNO
- 作ったのは、S.Shimizuさん。一人で全部作っています。
- BANNO
- 前の作品のページも、ProtoPediaで見られますよ。
- BANNO
- さて、この作品を見て、自分もやってみたいと思った人へ。今日できる最小の一歩は、何でしょう?
- HIGEDARUMA
- まず、あなたの「行ってみたら空振りだった」場所を、1つ書き出してみてください。郵便受けでも、駐輪場でも。
- HIGEDARUMA
- 次に、スマホのカメラで、その場所を「何かある時」と「何も無い時」で撮り比べてみるんです。
- BANNO
- 写真を並べるだけなら、今日からできますね。違いが見えたら、それが判定の第一歩なんですね。
- HIGEDARUMA
- ちなみに、この作品で使われたLINE Notifyは、今はサービスが終わっています。
- HIGEDARUMA
- 真似するときは、LINEのボットなど、別の方法で通知してくださいね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、行く前に棚の中身が分かる、配布物チェック空振り防止システム -改-でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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