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取りに行ったら空っぽ、をなくす「配布物チェック空振り防止システム -改-」|AIなしで郵便物の棚をのぞくIoT

紹介した作品: 配布物チェック空振り防止システム -改-ProtoPedia での反響: 閲覧 750+ ・ ♥ 10

ProtoPedia の作品「配布物チェック空振り防止システム -改-」を2人のMCが初心者目線で紹介。職場の郵便物の棚に何か入っているかを、カメラ付きの小さな基板 Spresense が1日5回のぞき、回収の時間に何かあればグループ全員のLINEに通知します。AIを使わず、写真の明るさの数字4つだけで「ある/ない」を判定するシンプルさ、電源もネットも無い場所で動かすための省電力の工夫、そして一度お役御免になった作品が「職場にも置いてほしい」と頼まれて復活した物語まで。

チャプター

文字起こし(86行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、配布物チェック空振り防止システム -改-。
BANNO
空振り防止?野球の素振りの話ですか?
HIGEDARUMA
いえいえ、郵便物の話なんです。職場の郵便物の棚に、何か入っているかを機械がのぞいてくれるんですよ。
HIGEDARUMA
入っていたら、スマホのLINEで知らせてくれる。そんな仕組みなんです。
BANNO
作ったのは、S.Shimizuさん。名前の最後の「改」は、改良版という意味なんですね。
BANNO
でもこれ、分かります。郵便物を取りに行ったのに、棚が空っぽだったときのがっかり感。
HIGEDARUMA
まさにその「空振り」をなくすための作品なんです。作者さんの職場には、メール室という郵便物の部屋があるんですよ。
BANNO
メール室。そこには、どんなルールがあるんですか?
HIGEDARUMA
郵便物は、午前9時から12時の間に届いて、届いた順に棚へ入れられます。
HIGEDARUMA
お昼の12時から3時半までは、部屋に入れなくて、電気も消えてしまうんです。
HIGEDARUMA
取りに行くのは、午後3時半から5時の間。職場の6人が、当番で回っているそうです。
BANNO
6人で当番。自分の番で行ったのに空っぽだと、ちょっと悔しいですね。
HIGEDARUMA
しかも、急ぎの郵便は午前中に取りに行ってもいいんですが、いつ届くかは分からないんですよ。
BANNO
つまり、行ってみるまで中身が分からない。そこが問題の正体なんですね。
BANNO
じゃあ、このシステムがあると、どう変わるんですか?
HIGEDARUMA
回収の時間になると、棚に何か入っていたときだけ、グループ全員のLINEに通知が届きます。
HIGEDARUMA
通知は午後3時35分と4時45分の2回。1回目のあとに誰かが回収していれば、2回目は届きません。
BANNO
偉い!もう取りに行ったのに、また通知が来たら困りますもんね。
BANNO
午前中に急ぎの郵便を待っている人は、どうするんですか?
HIGEDARUMA
LINEのボット、つまり自動で返事をしてくれるアカウントに話しかけるんです。
HIGEDARUMA
すると、その時点の最新の状況を教えてくれて、「写真で確認する」ボタンで棚の写真まで見られるんですよ。
BANNO
行く前に中が見えるなら、無駄足はゼロ。これは助かりますね。
BANNO
その棚には、どんな機械が置いてあるんですか?
HIGEDARUMA
ソニーのSpresenseという、手のひらサイズの小さなコンピューターの基板です。
HIGEDARUMA
そこにカメラと、携帯の電波でつながるボードを付けて、ケースに入れています。
BANNO
携帯の電波?職場のWi-Fiじゃないんですね。
HIGEDARUMA
前の作品を置いた場所には、コンセントもネットも無かったんです。だから電池で動いて、電波も自分で持つ必要がありました。
HIGEDARUMA
使っているのはLTE-Mという、電池で動く機械向けの、電気をあまり使わない携帯の電波です。
BANNO
でも電池だと、ずっと動かしていたら、すぐ切れてしまいませんか?
HIGEDARUMA
そこで、写真を撮るのは1日5回だけ。午前に3回、午後に2回です。
HIGEDARUMA
午前は9時半、10時半、11時半。午後は3時32分と4時半。電気が消えるお昼は撮りません。
HIGEDARUMA
撮り終えたら、次の時刻まで「DeepSleep」、つまり深い眠りに入って、電気を節約するんですよ。
BANNO
必要なときだけ起きて、あとは寝ている。なんだか猫みたいですね。
BANNO
ところで、写真を見て「入っている」か「空っぽ」かを判断するのって、AIですか?
HIGEDARUMA
それが、AIは使っていないんです。ここが面白いところなんですよ。
HIGEDARUMA
まず写真を小さくして、白黒にします。そして、明るさを数字にするんです。
HIGEDARUMA
取り出す数字は4つ。明るさの平均、ばらつき、いちばん明るい所、いちばん暗い所です。
BANNO
たった4つの数字で、中身があるかどうか分かるんですか?
HIGEDARUMA
何も無い棚と、郵便物が入った棚では、写真の明るさの具合が変わりますよね。その違いを数字で見分けるんです。
BANNO
なるほど。目で見て「何かあるな」と感じるのを、数字でやっているんですね。
HIGEDARUMA
作者さんは最初、AIを使うつもりだったそうです。でも、この単純な計算で出来てしまった。
HIGEDARUMA
送るのは数字4つなので、データも小さくて済む。電池にも通信料にもやさしいんです。
BANNO
難しいことをしなくても、ちゃんと役に立つ。これは勇気が出ますね。
BANNO
撮った写真や数字は、そのあとどこへ行くんですか?
HIGEDARUMA
全体は「見る、数える、知らせる」の3段です。まず基板が、数字と写真を電波で送ります。
HIGEDARUMA
途中でSORACOM Beamという中継サービスが、データをクラウドが受け取れる形に変えてくれます。
BANNO
中継してくれる人がいるんですね。受け取るのは、どこなんですか?
HIGEDARUMA
kintoneです。表やアプリを手軽に作れる業務用のサービスで、ここで「ある・なし」を判定します。
BANNO
なるほど。じゃあ、LINEに知らせるのは誰の役目なんですか?
HIGEDARUMA
そこは、アマゾンのクラウド、AWSの出番です。決まった時刻になると、目覚まし役のサービスが動きます。
HIGEDARUMA
すると、必要なときだけ動くプログラムがkintoneを確認して、何かあればLINEに知らせるんです。
BANNO
最初から、AWSを使うつもりだったんですか?
HIGEDARUMA
実は最初、Makeという、プログラムを書かずにサービス同士をつなぐ道具を使っていたんです。
HIGEDARUMA
でも、kintoneから写真を取り出せなくて、AWSに切り替えたそうです。
BANNO
うまくいかなかったら、道具を変えてみる。試行錯誤が見えますね。
BANNO
ところで、名前の「改」。ということは、前のバージョンがあったんですか?
HIGEDARUMA
はい。最初の作品は2023年。作者さんが、労働組合の担当になったのがきっかけです。
HIGEDARUMA
組合の配布物を定期的に取りに行くのに、行ったら何もない。その空振りが嫌で作ったんです。
BANNO
自分の困りごとから生まれたんですね。
HIGEDARUMA
ハッカソンの期間中は、写真を撮ることすらうまくいかなかったそうです。それでも必要に迫られて、作り続けたんですよ。
BANNO
ところが2024年の8月、作者さんは担当を外れて、システムは「お役御免」に。
BANNO
供養するつもりだったところに、「職場のメールボックスにも置いてほしい」と頼まれたんです。
HIGEDARUMA
自分のために作った物が、周りに求められて復活する。作り手として、これはうれしいですよ。
BANNO
しかも今回は、前の作品でできなかったことにも挑戦したんですよね。
HIGEDARUMA
そうなんです。前の作品では、写真を送るのを諦めていました。
BANNO
今回は、どうやって送れるようにしたんですか?
HIGEDARUMA
写真のままでは送れなかったので、BASE64という方法で、画像を文字だけの形に置き換えて送ったんです。
BANNO
一度あきらめたことに、もう一回挑む。かっこいいですね。
BANNO
この作品は、ヒーローズ・リーグ2024で、SPRESENSEヒーロー賞と、Amulet賞をダブル受賞しています。
HIGEDARUMA
前の作品も、2023年に賞をもらっているので、2年連続の受賞なんですよ。
BANNO
審査員の方は、週1回の出社が基本で、郵便受けに何か届いたら、回収のためだけに出社することもあるそうです。
BANNO
「在宅ワークを守るアイデア」と評価されていました。分かる人、多そうですね。
HIGEDARUMA
使った道具を、まとめておきますね。
BANNO
作ったのは、S.Shimizuさん。一人で全部作っています。
BANNO
前の作品のページも、ProtoPediaで見られますよ。
BANNO
さて、この作品を見て、自分もやってみたいと思った人へ。今日できる最小の一歩は、何でしょう?
HIGEDARUMA
まず、あなたの「行ってみたら空振りだった」場所を、1つ書き出してみてください。郵便受けでも、駐輪場でも。
HIGEDARUMA
次に、スマホのカメラで、その場所を「何かある時」と「何も無い時」で撮り比べてみるんです。
BANNO
写真を並べるだけなら、今日からできますね。違いが見えたら、それが判定の第一歩なんですね。
HIGEDARUMA
ちなみに、この作品で使われたLINE Notifyは、今はサービスが終わっています。
HIGEDARUMA
真似するときは、LINEのボットなど、別の方法で通知してくださいね。
BANNO
さて、今日紹介したのは、行く前に棚の中身が分かる、配布物チェック空振り防止システム -改-でした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
配布物チェック空振り防止システム -改-
作者: S.Shimizu
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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