誰も触っていないのにキーが動く「リモートdeキー暴動?」|叩かれるだけのキーボードが、ネットに打って出る
ProtoPedia の作品「リモートdeキー暴動?」を2人のMCが初心者目線で紹介。キーボードの裏から釣り糸で小さなモーターがキーを引っ張り、離れた場所の入力・声・ツイート・LINEで本物のキーボードがひとりでに文字を打ちます。81万円の自動演奏の仕掛けの代わりに選んだ糸の工夫、モーター1個で2つのキーを動かすアイデア、ネット上の伝言板(MQTT)の仕組み、基板が燃えたハプニング、ツイートで動かす体験デモまで。
チャプター
0:00オープニング0:20キーボードが、暴動を起こす?1:08キーボードだけ、リモート操作の対象外2:22自動演奏の仕掛け → 差額81万6千円4:59声 → 文字 → ローマ字 → 1文字ずつ7:26タグ「技術の無駄遣い」9:00エンディング
文字起こし(79行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、リモートdeキー暴動?
- BANNO
- キー暴動。キーボードと「暴動」をかけているんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。誰も触っていないのに、キーボードのキーが、ひとりでにカタカタ沈むんですよ。
- BANNO
- ええっ、ちょっと怖いです。お化けですか?
- HIGEDARUMA
- 作者も、まるで透明人間がキーを叩いているみたい、と言っています。
- HIGEDARUMA
- しかも、離れた場所のパソコンからの入力や、声、SNSの投稿でも動かせるんです。
- BANNO
- 今日は、キーボードが勝手に動き出す理由と、その仕組みを見ていきましょう。
- BANNO
- そもそも、なんでキーボードを動かそうと思ったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 作者の言い分が面白いんです。キーボードは、速さも手軽さも最強の入力の道具なのに、最近いまいち成長しない、と。
- BANNO
- たしかに今は、スマホのフリック入力や、声で入力する人も増えましたもんね。
- HIGEDARUMA
- しかも、照明やエアコン、テレビは、ネットにつながって、離れた場所から操作できるようになりましたよね。
- HIGEDARUMA
- なのにキーボードだけは、リモート操作の対象外。動画では、壁の向こうでハミゴにされているんです。
- BANNO
- ハミゴって、仲間はずれですか。かわいそう!
- BANNO
- でも、どうしてキーボードだけ、置いていかれたんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 作者の答えは「受け身だから」。いつも人に叩かれて、命令されるだけなんです。
- HIGEDARUMA
- 「いつまでも人に叩かれてなっている場合ではありません。ネットの世界に打って出なければ」。そういうノリで作ったそうです。
- BANNO
- キーボードの気持ちになって考えたんですね。発想が、もう面白いです。
- HIGEDARUMA
- きっかけは、作者のネタ帳に書いてあった「キーボードをピアノの自動演奏みたいに動かす」という一文だったそうです。
- BANNO
- でも、キーボードって、どうやって勝手に押させるんですか?
- HIGEDARUMA
- 最初に考えたのは、自動演奏ピアノ。でも、いちばん安いランクでも、自動演奏の仕掛けだけで、値段が81万6千円も上がるんです。
- BANNO
- 81万!キーボードひとつのために、それは出せないですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、キーの大きさは縦横15ミリほど。この小さなキーに収まる仕掛けが必要でした。
- BANNO
- それで、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- キーの裏に釣り糸を付けて、キーボードの裏側から引っ張るんです。
- BANNO
- 糸で引っ張る!あやつり人形みたいですね。
- HIGEDARUMA
- 引っ張るのは、サーボモーター。指示した角度まで、腕をくいっと回せる小さなモーターなんです。
- HIGEDARUMA
- 腕が回ると糸が引かれて、キーがすっと沈む。指で押したのと同じように、パソコンに文字が入るんですよ。
- BANNO
- なるほど。作者が言う「闇の組織が裏で糸を引いている」って、そういう意味だったんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。表では軽快に動きながら、裏で糸を引いている。作者いわく「まさにこのキーボードのイメージ通り」だそうです。
- BANNO
- でも、キーの数だけモーターが要るとしたら、すごい数になりませんか?
- HIGEDARUMA
- そこが工夫なんです。モーターの腕の右と左に、それぞれ別のキーの糸をつなぐんです。
- HIGEDARUMA
- 腕を右に回せばこっちのキー、左に回せばあっちのキー。これで、モーターの数が半分で済むんですよ。
- BANNO
- 一台で二役。お財布にもやさしいですね。
- BANNO
- じゃあ、離れた場所からの指示は、どうやってキーボードまで届くんですか?
- HIGEDARUMA
- 流れはこうです。まず、操作する側のパソコンで、押されたキーを見張ります。
- HIGEDARUMA
- 押されたら「このキーを押して」という指示を、インターネット上の伝言板に貼るんです。
- BANNO
- 貼った指示は、誰が取りに行くんですか?
- HIGEDARUMA
- キーボードの側にいる、画面つきの手のひらサイズのコンピューター、M5Stackです。伝言板をこまめに見に来るんです。
- HIGEDARUMA
- 指示を見つけたら、担当のモーターを回す。これで、遠くのキーが沈むんですよ。
- BANNO
- 伝言板を通すから、会社と自宅みたいに離れていても、ちゃんと届くんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。この伝言板の仕組みはMQTTと呼ばれていて、電子工作でネットにつなぐときの定番なんですよ。
- BANNO
- 動画を見ると、キーボードで打つ以外の動かし方もあるんですよね?
- HIGEDARUMA
- はい。実は「まだキーボードが叩かれてる」というクレームが、突然入ったそうなんです。
- BANNO
- あっ、操作する人のほうで、結局キーボードを叩いてますもんね。
- HIGEDARUMA
- そこで、声でも動かせるようにしました。話した言葉を文字にして、ローマ字にして、1文字ずつキーを押すんです。
- HIGEDARUMA
- ただ、声を文字にするサービスが、お節介にも漢字で返してくる。読みに戻す仕組みを足すのに、土日の7割を使ったそうです。
- HIGEDARUMA
- さらに、動画を撮る直前には、電源を逆に差してしまって、基板が燃えたそうなんです。
- BANNO
- 燃えた!?大事件じゃないですか。
- HIGEDARUMA
- モーターを動かす基板が、2つのうち1つ、うんともすんとも言わなくなった、と作者は書いています。
- BANNO
- そんなトラブルを越えて、作品になったんですね。
- BANNO
- 大会はオンラインだったんですよね。実物を触ってもらえないのは、つらくないですか?
- HIGEDARUMA
- 作者もそこで悩みました。そこで選んだのが、当時のTwitter、今のXなんです。
- HIGEDARUMA
- 決まったハッシュタグをつけてつぶやくと、その言葉で、遠くのキーボードが動く。その様子を、配信の画面で見てもらったんです。
- BANNO
- 自分のつぶやきで、知らない場所のキーボードが動く。それは参加したくなりますね!
- HIGEDARUMA
- 作者は「沢山の人に体験して楽しんでもらえたようで何よりでした」と書いています。
- HIGEDARUMA
- そのあと、LINEの勉強会では、LINEのトークで動かすデモにも広げました。
- BANNO
- キーボードに、パソコンをつなぐと、どうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- デモでは、声で「ヒーローズリーグ」と話すと、キーボードがひとりでに打って、そのままネット検索までしてしまうんです。
- BANNO
- キーボードが、自分で調べ物をしている。もう立派な一人前ですね。
- BANNO
- この作品は、大会で賞もとっているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。ヒーローズ・リーグ オンライン2020の「Internet of Awesome Things賞」です。すごいモノのインターネット、という意味なんです。
- HIGEDARUMA
- 審査員の言葉は「IoTとしては素直だけれど、実現する世界感がぶっ飛んでいる」。
- BANNO
- 仕組みは基本に忠実なのに、やっていることがぶっ飛んでいる。最高のほめ言葉ですね。
- BANNO
- 作者は、使いみちもいろいろ考えているんですよね。
- HIGEDARUMA
- たとえば、会社に置いておいて、自宅からも「がんばってるんだぞ」とアピールする使い方です。
- BANNO
- カタカタ鳴っていたら、働いている気配は伝わりますね。ちょっとずるいですけど。
- BANNO
- 見た人から「技術の無駄遣い」というタグを提案されて、作者は「その手があったか」とすぐ付けたそうですね。
- HIGEDARUMA
- さらに、キーボードが動くならマウスも、ということで、続編の「リモートdeマウスも暴動?」まで作っているんです。
- BANNO
- 作ったのは、チーム「キーボードを動かし隊」の、TakSanさんとナッキィーさんです。
- HIGEDARUMA
- アイデアとソフトがTakSanさん、メカと電子回路の設計がナッキィーさん。得意をかけ合わせた、いいチームなんです。
- BANNO
- 作品ページと、続編のマウスのページは、概要欄に置いておきますね。
- BANNO
- では、今日の一歩。身の回りの道具をひとつ選んで「この道具の立場だったら何が不満かな」と考えてみてください。
- HIGEDARUMA
- 作ってみたい人は、小さなモーターに糸を結んで、何かを引っ張ってみるのがおすすめです。ネットにつなぐのは、そのあとで大丈夫なんです。
- BANNO
- くだらないと思うアイデアほど、本気で作ると、人を笑顔にできる。この作品が教えてくれますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、叩かれるだけだったキーボードがネットに打って出る、リモートdeキー暴動?でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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