釣った食べ物を、その場で食べる「空想釣り堀バイキング」|引っ張られていないのに引かれる「牽引力錯覚」で、釣りの引きも噛みごたえも
ProtoPedia の作品「空想釣り堀バイキング」を2人のMCが初心者目線で紹介。VRの釣り堀で魚の代わりにステーキやグミ、架空のドラゴン肉まで釣り上げ、釣り竿がフォークに変わったら、噛むたびに咀嚼音と硬さ・弾力が返ってくる体験作品です。手に持つ触覚デバイス「ふしぎな石ころ後継機」が、引っ張っていないのに引かれる感じがする「牽引力錯覚」で、釣りの引きと食べ物の手ごたえの両方を出す仕組み、食品名から見た目・噛む音・6項目の食感をAIで作るYummyVerse、石ころ1台でやりきれなかった壁の乗り越え方まで。ふしぎな石ころ後継機で体験アプリをつくるハッカソン 優秀賞。
チャプター
0:00オープニング0:20釣って、そのまま食べる1:05VRの釣り堀2:17手に伝わる「引き」3:42釣り竿がフォークに4:51システム構成6:30チーム なんでも水産カンパニー7:55見るだけ → 釣って噛める8:47エンディング
文字起こし(87行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、空想釣り堀バイキング。
- BANNO
- 釣り堀なのに、バイキングなんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。釣れるのは魚じゃなくて、食べ物なんですよ。
- HIGEDARUMA
- しかも釣った食べ物を、その場で食べられるんです。
- BANNO
- 食べ放題の釣り堀ですか。お腹がすいてきますね。
- HIGEDARUMA
- 流れは、注文する、放流する、探す、釣る、食べる。この5つがひとつながりになっているんです。
- BANNO
- ハッカソンで優秀賞もとった作品なんですよね。
- BANNO
- まず、どこで釣りをするんですか?
- HIGEDARUMA
- VRの中です。ゴーグルをかけて入る、作りものの世界ですね。
- HIGEDARUMA
- 湖に浮かんだボートに乗って、釣り竿を持って釣りを始めるんです。
- BANNO
- のどかな湖ですね。で、何が釣れるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- ステーキ、グミ、ケーキ、果物。それに、現実には無い食べ物まで釣れるんですよ。
- HIGEDARUMA
- たとえば、これ。ドラゴン肉です。
- BANNO
- ドラゴン肉!ゲームの中でしか聞かない食べ物ですね。
- BANNO
- でも、そんな食べ物、誰が用意するんですか?
- HIGEDARUMA
- 自分で注文するんです。食べたい食べ物の名前を入れるんですよ。
- HIGEDARUMA
- するとAIが、その食べ物の見た目と、噛んだときの音と、硬さや弾力を作ってくれるんです。
- HIGEDARUMA
- このしくみはYummyVerseといって、チームが前から作っていたものなんです。
- BANNO
- そうして作った食べ物を、釣り堀に放すんですね。
- BANNO
- 決まった魚を釣るんじゃなくて、自分が食べたいものを放流する。そこから遊びが始まるのがいいですね。
- BANNO
- でもVRの釣りって、手には何も感じないですよね?
- HIGEDARUMA
- そこがこの作品の主役なんです。手に、ふしぎな石ころ後継機という小さな機械を持つんですよ。
- HIGEDARUMA
- この機械は、特別な振動で、手がぐいっと引っ張られているように感じさせるんです。
- BANNO
- 本当に引っ張っているわけじゃないんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。引っ張っていないのに、引っ張られている気がする。牽引力錯覚と呼ばれる錯覚なんです。
- BANNO
- 脳がだまされるんですね。それで、釣りの何が変わるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- まず探すときです。なんとなく、こっちに引っ張られる。その向きを手がかりに、釣れそうな場所を探すんです。
- BANNO
- 目だけじゃなく、手の感覚で探すんですね。宝探しみたいです。
- HIGEDARUMA
- そして食べ物がかかると、引きが一気に変わるんです。
- HIGEDARUMA
- 左右に逃げる。奥へ引っ張る。急に向きが変わる。水の中で暴れている感じを出しているんですよ。
- BANNO
- ステーキが暴れるんですか。想像すると、ちょっと笑っちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- 最後は、本物のリールを手で巻いて引き寄せるんです。
- HIGEDARUMA
- 巻く速さを測っていて、決めた速さ以上でしばらく巻き続けると、釣れた、になるんですよ。
- BANNO
- ちゃんと頑張って巻かないと、釣れないんですね。そこが本物の釣りっぽいです。
- BANNO
- 釣れたら、いよいよ食べるんですよね。どうやって食べるんですか?
- HIGEDARUMA
- 手に持った石ころのボタンを押すと、釣り竿がフォークに変わるんです。
- HIGEDARUMA
- フォークの先には、さっき釣り上げた食べ物が刺さっているんですよ。
- BANNO
- 釣り竿がそのままフォークに!その切り替わり、気持ちいいですね。
- BANNO
- でも、VRの食べ物って、噛めないですよね?
- HIGEDARUMA
- そこで、お医者さんが喉を見るときに使う、平たい木のヘラを使うんです。
- HIGEDARUMA
- コントローラーに付けたこのヘラを、口に入れて噛むんですよ。
- BANNO
- 噛むと、どうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- 1回噛むたびに、その食べ物の噛む音が1回鳴るんです。グミならグミの音ですね。
- HIGEDARUMA
- しかも硬さや弾力は、さっきの石ころが手ごたえで返してくるんですよ。
- BANNO
- 釣りの引きを出していた機械が、今度は噛みごたえを出すんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。そして決めた回数噛むと、ごくんと飲み込む音がして、食べ終わりなんです。
- BANNO
- ごちそうさまの音まで!探して、釣って、食べ終わるまで、全部つながっているんですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、裏側ではどうつながっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 図の上の真ん中にあるのが、VRの釣り堀です。リールを巻く速さは、ここへ送られます。
- HIGEDARUMA
- 逆にVRからは、獲物の動きに合わせて、どっち向きにどれくらい引くかを、石ころへ送り続けるんです。
- BANNO
- 食べるときは、どうやってその食べ物の音を選ぶんですか?
- HIGEDARUMA
- 食べ物ごとに番号が振ってあって、見た目と噛む音と硬さが、同じ番号でひもづいているんです。
- HIGEDARUMA
- たとえば12番が届いたら、12番のグミの音と食感を選ぶ、という具合ですね。
- BANNO
- お店の注文番号みたいですね。分かりやすいです。
- HIGEDARUMA
- ちなみに食感は、硬さや弾力など6つの項目を、それぞれ1から10の10段階で数字にしているんですよ。
- BANNO
- 食感を点数にするんですか。作るときに、困ったことはなかったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- ありました。最初は石ころ1台で、噛む音の振動まで全部やろうとしたそうなんです。
- HIGEDARUMA
- でも今回使えた石ころのプログラムでは、好きな音をそのまま振動にして出すことができなかったんですよ。
- BANNO
- それで、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- 役割を分けたんです。石ころは、釣りの引きと、硬さや弾力。噛む音の細かい振動は、hapStakという振動スピーカーが受け持ちます。
- BANNO
- できないことは、得意な道具に任せる。チームの役割分担みたいですね。
- HIGEDARUMA
- 使っている素材は、こちらの3つです。
- BANNO
- 作ったのは、なんでも水産カンパニーというチームですね。
- HIGEDARUMA
- N JELLYさん、東京農工大学電脳サークル、森戸香帆さんのチームなんです。
- BANNO
- さっきのYummyVerseも、このチームの技術なんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。電脳サークルの学生さんたちが、前から作っていた、食べたいものの名前を入れると食感を作るVRのレストランなんです。
- HIGEDARUMA
- ただ、作る途中で面白い失敗があったそうなんですよ。
- BANNO
- どんな失敗ですか?
- HIGEDARUMA
- キャットフードと入れたら、食べ物じゃなくて、猫そのものが出てきてしまったんです。
- BANNO
- 猫そのもの!それは食べられないですね。
- HIGEDARUMA
- そこで、名前からいきなり作らずに、いったん食べ物の画像や食感の説明を作ってから、次へ渡すように直したそうです。
- BANNO
- YummyVerseには、遊び以外の狙いもあるんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。飲み込むのが難しい人や、食事に制限がある人にも、食べる楽しみを届けたい、という狙いなんです。
- BANNO
- 楽しい釣り堀の奥に、そんな思いもあるんですね。
- BANNO
- そしてこの作品は、ふしぎな石ころ後継機で体験アプリをつくるハッカソンで、優秀賞を受賞しました。
- HIGEDARUMA
- 前から持っていた食感の技術と、ハッカソンで出会った新しい機械。その掛け算で生まれた作品なんです。
- BANNO
- VRの食べ物は、見るだけのもの。そう思っていましたけど、釣って、噛めるものになったんですね。
- HIGEDARUMA
- 作品ページには、体験の流れや構成図がくわしく載っています。YummyVerseのページとあわせて見てみてください。
- BANNO
- じゃあ今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 次のおやつを食べるとき、硬さは10点中何点、弾力は何点、と点数をつけてみてください。
- HIGEDARUMA
- それが、食感を数字にする第一歩なんです。数字にできれば、機械で再現する道が見えてきますよ。
- BANNO
- 私はまず、ドラゴン肉を釣って、噛みごたえを確かめてみたいです。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、釣った食べ物をその場で食べられる、空想釣り堀バイキングでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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