料理の名前だけで“食べられる”VRレストラン「Yummyverse(ヤミバース)」|生成AIで見た目・噛む音・噛みごたえを作る
ProtoPedia の作品「なんでも食感生成VR レストラン 「Yummyverse(ヤミバース)」」を2人のMCが初心者目線で紹介。食べたい料理の名前を入れると、生成AIがその料理の見た目・噛んだときの音・噛みごたえのデータを作り、VRゴーグルと顔まわりの装置(骨伝導イヤホン・振動スピーカー・筋電刺激・咀嚼計)で“食べている感じ”を体験できる仮想レストラン。料理ごとに実測していた従来の方法との違い、食感を6項目10段階で採点する中間の設計図、キャットフードを入れたら猫が出てきた失敗、ヒーローズ・リーグ2025 未来創造賞まで。
チャプター
0:00オープニング0:20料理の名前だけで“食べられる”1:09① 料理の名前を注文2:42顔まわりの装置4:49なぜ作ったのか6:18料理ができるまで7:47キャットフードの事件8:59展示と受賞10:01今日できる最小の一歩10:57エンディング
文字起こし(96行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、なんでも食感生成VR レストラン、ヤミバース。
- BANNO
- レストランなのに、VRなんですね。どんなお店なんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 食べたい料理の名前を入れると、AIがその料理の見た目と、噛んだときの音と、噛みごたえを作ってくれるんです。
- HIGEDARUMA
- それをVRで、実際に口を動かして“食べる”んですよ。
- BANNO
- えっ、本物の食べ物は無いのに、食べた気になれるってことですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。しかも、この世に無い料理まで食べられるんですよ。その仕掛けを、ひとつずつ見ていきましょう。
- BANNO
- まずは、お客さんとして行ったら何をするのか、教えてください。
- HIGEDARUMA
- 最初に、スマホやパソコンのフォームに、食べたい料理の名前を入れるんです。
- HIGEDARUMA
- すると注文番号が出て、AIが料理を作り始めます。できあがって順番が来たら、呼ばれるんですよ。
- BANNO
- 本当にレストランで注文するみたいですね。
- BANNO
- 呼ばれたら、どうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- VRゴーグルをかぶります。目の前いっぱいに映像が広がるゴーグルですね。それと、顔のまわりにいくつか装置を付けるんです。
- BANNO
- テーブルの上には、高級レストランみたいな、銀色のふたをかぶせたお皿があるんですよね。
- HIGEDARUMA
- ふたを開けると、お皿の上に、注文した料理が立体で現れるんですよ。
- BANNO
- エビフライや、カレーライス、ハンバーグが、テーブルにのっていますね。
- BANNO
- これを、どうやって食べるんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 使い捨ての木のスプーンで料理をすくって、口に入れて、そのまま噛むんです。
- HIGEDARUMA
- 噛んだ瞬間に、サクッという音と、歯ごたえのような振動が返ってくるんですよ。
- BANNO
- ちょっと待ってください。じゃあ、味もするんですか?
- HIGEDARUMA
- いい質問です。味とにおいは、この作品では出していないんです。
- HIGEDARUMA
- そのかわりに、目と耳と、歯ごたえと、噛む筋肉で、食感を作っているんですよ。
- BANNO
- 味じゃなくて食感。それで本当に食べた気になれるのか、気になります。
- BANNO
- 顔のまわりに付けている装置、見せてもらえますか?
- HIGEDARUMA
- はい。この写真に、それぞれの名前が書いてあります。
- HIGEDARUMA
- まずは耳です。耳の前に、骨伝導イヤホンを付けています。
- BANNO
- 骨伝導って、どういうイヤホンですか?
- HIGEDARUMA
- 耳をふさがずに、骨をふるわせて音を伝えるイヤホンです。ここから、噛んだときのパリッ、もちっ、という音が鳴るんです。
- BANNO
- 次は、口のまわりですね。
- HIGEDARUMA
- はい。噛む音の中から、低い音だけを取り出して、振動に変えているんです。
- HIGEDARUMA
- その振動を、頬と、口に入れるスプーンから伝えます。歯や顎の骨に響いて、サクサク、ザクザクという歯ごたえになるんですよ。
- BANNO
- スプーンも、ただのスプーンじゃないんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。舌圧子という、お医者さんが舌を押さえる平たい木の棒に、振動を出す小さな装置を付けているんです。
- BANNO
- そして、頬に貼ってあるのが、筋電刺激装置ですね。
- HIGEDARUMA
- はい。噛むときに使う顎の筋肉に、弱い電気を流して、少しだけ縮ませるんです。
- HIGEDARUMA
- 硬いものを噛んだときの、ぐっと押し返される感じを作っているんですよ。
- BANNO
- 電気って聞くと、ちょっと怖いですね。痛くないんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- そこはちゃんと考えられていて、医療機器の安全基準に合わせて、電圧を20ボルト以内にしているんです。
- BANNO
- 最後に、顎の下に付いているのが、咀嚼計ですね。
- HIGEDARUMA
- はい。咀嚼は、噛むことです。曲げると反応するセンサーで、顎が動いたことを見つけるんです。
- HIGEDARUMA
- 噛んだ、と分かった瞬間に、音と振動と電気を、同時に出す。この合図の役なんですよ。
- BANNO
- ひとつずつは小さな刺激でも、同時に来るから、脳が食べているとだまされるんですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそこなんです。体験した人からも、食感がリアルだと評価されたそうです。
- BANNO
- そもそも、どうしてこんな作品を作ろうと思ったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- きっかけは、食べることに困っている人が増えていることなんです。
- HIGEDARUMA
- たとえば、食べ物を飲み込む力が弱くなった人や、病気で食事を制限されている人ですね。
- BANNO
- 好きなものを、好きなだけ食べられない人たちですね。食べる楽しみは、毎日の元気のもとですもんね。
- HIGEDARUMA
- VRで食べる体験の研究は前からあったんです。ただ、これまでは本物の料理を用意して、3Dスキャナーで形を撮って、マイクで噛む音を録って、筋肉のセンサーで噛む動きを測っていたんです。
- BANNO
- 料理ひとつごとに、それを全部やるんですか?大変そうですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。だから再現できるのは、測ることができた、特定の料理だけだったんです。
- HIGEDARUMA
- ヤミバースは、そこを生成AIで置きかえました。言葉から、絵や音や立体を作れるAIのことです。
- HIGEDARUMA
- 料理の名前さえあれば、測らなくても、見た目と音と歯ごたえのデータが作れるんですよ。
- BANNO
- 名前さえあればいいなら、この世に無い料理でもいけるんですか?
- HIGEDARUMA
- いけるんです。作者の論文には、ドラゴンの肉のような空想の料理でも、食べる体験を作れる、と書かれているんですよ。
- BANNO
- ドラゴンの肉!さっきの、この世に無い料理って、これのことなんですね。わたしも一度食べてみたいです。
- BANNO
- でも、名前だけで、どうやってそこまで作るんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 全体の流れがこの図です。注文を受け付けるインターネット上のコンピューターと、AIを動かす大学のコンピューターに分かれているんです。
- HIGEDARUMA
- 大学のほうから注文を取りに行く形にして、外から大学のネットワークに入らずに済むようにしているんですよ。
- BANNO
- なるほど。では、大学の中では、何が起きているんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- まず一つ目。AIが、料理の名前から、その料理の写真を描くんです。
- HIGEDARUMA
- 二つ目。その写真と名前を別のAIが読んで、食感を点数にするんです。
- HIGEDARUMA
- 硬さ、弾力、噛みごたえ、くっつきやすさ、もろさ、水分。この6つを、1から10の10段階でつけるんですよ。
- BANNO
- 料理の食感の、通知表みたいですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。噛んだらどんな音がするかの説明文も、ここで書くんです。
- HIGEDARUMA
- 三つ目。写真からは立体の料理を作って、説明文からは10秒くらいの噛む音を作るんです。
- HIGEDARUMA
- 四つ目。食感の点数を、振動や電気の強さに直します。このとき、装置ごとの安全な範囲からはみ出さないようにしているんです。
- BANNO
- 写真、点数、立体、音、強さ。注文ひとつで、こんなにいろいろ作っているんですね。
- BANNO
- ここまで来るのに、うまくいかなかったことはあったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- ありました。最初は、料理の名前をそのまま、それぞれのAIに渡していたんです。
- HIGEDARUMA
- すると、AIごとに受け取り方がずれたり、日本の料理のように、AIがあまり学んでいない料理で失敗したりしたんですよ。
- HIGEDARUMA
- 作品ページに書いてある例が、キャットフードです。入れてみたら、食べ物じゃなくて、猫そのものが出てきたそうなんです。
- BANNO
- 猫が出てきちゃった!それは食べられないですね。
- HIGEDARUMA
- そこで、名前から直接作るのをやめたんです。まず写真と、さっきの食感の点数を作って、それを設計図にしたんですよ。
- HIGEDARUMA
- 後ろのAIは、みんなその設計図を見て作る。料理の点数の見本と比べて、外れていないかも確かめます。
- BANNO
- レストランで、料理人みんなが同じ注文票を見て作るのと、同じ考え方ですね。
- HIGEDARUMA
- いい例えですね。振動や電気の強さも、AIに直接決めさせないで、安全な範囲の中で決めているんです。
- BANNO
- 口に入れるものだからこそ、安全を一番にしているんですね。
- BANNO
- この作品は、いろいろなところで体験されているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。学生のVRコンテストのIVRC 2025で、上のステージのLEAP STAGEに選ばれて、一般公開されたんです。
- HIGEDARUMA
- 作品ページによると、そこでやく50人に体験してもらったそうです。
- BANNO
- 展示の途中で、装置の調子が悪くなったこともあったそうですね。
- BANNO
- それでも、チーム一丸となって、最後までやり遂げたそうです。
- BANNO
- 作ったのは、東京農工大学の学生チーム、電脳レストランのみなさんです。
- BANNO
- そして、ヒーローズ・リーグ2025では、全国311作品の中から、未来創造賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 審査員の湯村翼さんは、食のVRは、この先の未来で確実に求められる技術です、と講評しているんです。
- BANNO
- 作品ページのコメント欄にも、すごすぎる、体験したい、と書いてくれていますね。わたしも体験したいです。
- BANNO
- 見ている人が、今日すぐにできることはありますか?
- HIGEDARUMA
- はい。今夜ごはんを食べるとき、ひと口だけ、目をつぶって噛んでみてください。
- HIGEDARUMA
- どんな音がして、どれくらい押し返してくるか。それだけに集中すると、食感が、目と耳と歯と筋肉でできているのが分かるはずです。
- BANNO
- それが分かると、ヤミバースが何をまねしているのかも、よく分かりますね。
- HIGEDARUMA
- そのあとで、AIが作った料理を公開しているページをのぞいてみてください。自分なら何を注文するか、考えるのも楽しいですよ。
- BANNO
- 食べられない人にも、この世に無い料理にも、食べる楽しみを届ける。すてきな挑戦ですね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、料理の名前だけで食感まで作り出すVRレストラン、ヤミバースでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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