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1万8千件の地域データから「トップ3」を作る「地域の三選図鑑」|AIに順位を決めさせない

紹介した作品: 地域の三選図鑑ProtoPedia での反響: 閲覧 280+ ・ ♥ 1

ProtoPedia の作品「地域の三選図鑑」を2人のMCが初心者目線で紹介。自治体が公開しているオープンデータは1万8千件を超えますが、表のファイルの山で、なかなか読まれません。作者は、それを「和歌山県の棚田の枚数トップ3」のような三件の読み物に変え、どの三件にも根拠と元データへのリンクを付けました。AIは比べ方を提案するだけ、プログラムが全件を計算し直し、別のAIが審査し、最後は人が承認する分業。元データを勝手にきれいにしない設計、原点になった秘境駅ランキングの話まで。

チャプター

文字起こし(93行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、地域の三選図鑑。
BANNO
さんせん、というと、日本三景みたいに、三つ選ぶ、の三選ですか?
HIGEDARUMA
そうなんです。全国の町のデータから、トップ3や三選を作って紹介する、ウェブの図鑑なんですよ。
BANNO
例えば、どんなトップ3があるんでしょう?
HIGEDARUMA
例えば、和歌山県の棚田の枚数トップ3。山の斜面に、階段みたいに並んだ田んぼが、何枚あるかを比べたものです。
HIGEDARUMA
和歌山県が認定した14か所の棚田を比べると、1位は308枚、2位は270枚、3位は226枚でした。
BANNO
300枚超え!一つの場所に田んぼが300枚って、見に行きたくなりますね。
HIGEDARUMA
しかもこのページ、下まで見ると、どこの何というデータから選んだのかまで載っているんです。
BANNO
へえ、ランキングの証拠まで付いているんですね。
HIGEDARUMA
そこがこの作品の、一番のこだわりなんです。今日はその仕組みまで、じっくり見ていきましょう。
BANNO
そもそも、そのデータって、どこから来ているんですか?
HIGEDARUMA
自治体が公開している、オープンデータです。誰でも自由に使っていいですよ、と公開されたデータのことなんです。
HIGEDARUMA
人口、観光客の数、公園の広さ、文化財。
HIGEDARUMA
いろんなデータが、BODIKという、全国の自治体のデータを集めた大きな棚に並んでいます。
BANNO
その棚には、どれくらいの量があるんですか?
HIGEDARUMA
1万8千件を超えるデータが入っているんです。
BANNO
1万8千件!ぜんぶ見ていたら、一生かかっても終わりませんね。
HIGEDARUMA
しかも中身は、数字がずらっと並んだ表のファイルなんです。開いても、どこが面白いのか、すぐには分からないんですよね。
BANNO
たしかに。表がずらっと並んでいたら、私ならそっと閉じちゃいそうです。
HIGEDARUMA
作者も、データが公開されていることと、実際に読まれることは別の話だ、と書いています。
BANNO
なるほど。だから三つに絞って、読み物にしたんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。ただ、三つに絞るのは、残りを全部見せないという、思い切った選び方でもあるんです。
BANNO
たしかに。なんでその三つなのか、気になっちゃいますね。
HIGEDARUMA
だから、なぜこの三つなのかを、きちんと説明できる作りにしているんですよ。
BANNO
でも1万8千件ですよね。誰が三つを選んでいるんですか?やっぱりAIですか?
HIGEDARUMA
AIも使っています。ただ、AIに順位を決める権限は、あえて渡していないんです。
BANNO
えっ、どうしてですか?AIに任せたほうが、楽そうですけど。
HIGEDARUMA
作者は、全部をAIに任せるのは危ない、と考えたんです。AIは、もっともらしい間違いをすることがありますからね。
BANNO
たしかに。順位が間違っていたら、紹介された町の人も困りますね。
HIGEDARUMA
そこで、AIとプログラムと人の三者で、仕事を分けているんです。
HIGEDARUMA
まずAIは、データを読んで提案するだけ。この表なら比べられそう、この列で比べよう、合計の行は外そう、という具合です。
BANNO
AIは、調べて提案する、リサーチャー役なんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。次に、PHPという言語で書いたプログラムが、その提案を確かめます。言われた列が本当にあるか、を見るんです。
BANNO
プログラムって、AIとは何が違うんですか?
HIGEDARUMA
プログラムは、同じ材料を入れたら、何度やっても同じ答えを出す計算係なんです。気分で答えが変わらないんですよ。
HIGEDARUMA
そのプログラムが、単位や書き方をそろえてから、全部のデータで計算し直して、上位の三つを出し直します。
BANNO
AIの言うことをそのまま信じないで、計算でもう一度確かめるんですね。
HIGEDARUMA
さらに、別のAIが、比べる範囲はそろっているか、結果はおかしくないか、をもう一度審査します。
BANNO
ダブルチェックまで!それでも条件がそろわないデータは、どうなるんですか?
HIGEDARUMA
無理に三つにしないんです。要確認や利用不可として理由を残して、正式なランキングにはしません。
BANNO
無理やりランキングにしない。そこ、誠実ですね。
HIGEDARUMA
そして最後に決めるのは人です。候補は、GitHubという、変更を確かめてから取り込むサービスに、承認待ちとして並びます。
HIGEDARUMA
作者が、ランキングの名前、比べ方、上位の三つ、出典を確かめて、オーケーを出したものだけが公開されるんです。
BANNO
人の目が、最後の関所になっているんですね。
HIGEDARUMA
全体の流れは、この図の5ステップです。データを取る、候補を自動で作る、人が確かめる、ページを作る、公開する。
BANNO
さっきの棚田のページ、証拠まで付いているって話でしたよね。
HIGEDARUMA
はい。ページの下には、もとにしたデータの名前、提供した和歌山県、更新された日、それに元のファイルへのリンクがあるんです。
BANNO
三つだけ見て楽しんでもいいし、気になったら証拠まで戻れるんですね。
HIGEDARUMA
作者はこれを、出典へ戻れる図鑑、と呼んでいます。
HIGEDARUMA
もう一つのこだわりが、元のデータを勝手にきれいにしないことなんです。
BANNO
えっ、きれいにしたほうが、見やすくないですか?
HIGEDARUMA
例えば、年度の欄に、30、1、2、3、とだけ書かれたデータがあるんです。
HIGEDARUMA
おそらく平成30年の次が令和元年なんですが、データのどこにも、そうは書いていないんですよ。
BANNO
なるほど。勝手に直したら、元のデータと見比べられなくなっちゃうんですね。
HIGEDARUMA
その通りです。だから元のデータと、システムが読み取った結果を分けて、分からないものは分からないまま記録しているんです。
BANNO
きれいに見せるより、なぜその結果になったかを追えるほうが大事、ということですね。
HIGEDARUMA
もう一つ。見る人に届けるページは、前もって完成させておいたページを配るだけの、シンプルな作りなんです。
BANNO
それだと、何がいいんですか?
HIGEDARUMA
見るときにAIもデータベースも動かないので、AIのサービスが止まっても、ページはそのまま見られるんです。
HIGEDARUMA
サーバーの費用も小さく済みます。
BANNO
個人で長く続けるには、そこが大事ですね。
HIGEDARUMA
使っている素材は、BODIK、GitHub Actions、Netlify、それにOpenAIのAPIです。
BANNO
それで、今どれくらいのランキングができているんですか?
HIGEDARUMA
1万8千件を超えるデータを調べて、公開されたランキングは387件。125の地域に広がっています。
BANNO
観光、文化、子育て、防災まで。自分の町が載っていないか、探したくなりますね。
BANNO
そもそも作者のひでさんは、どうしてこれを作ろうと思ったんですか?
HIGEDARUMA
原点は、作者が以前作った旅のサービスの、秘境駅ランキングなんです。
BANNO
秘境駅って、山奥にぽつんとある、なかなか行けない駅ですよね。
HIGEDARUMA
そうです。乗る人の数だけでなく、周りの人口や建物、電車や道路での行きにくさなど、五つの項目で全国の駅を分析したんです。
HIGEDARUMA
そのランキングが、テレビ番組の秘境駅の企画で参考データとして使われて、上位3駅が紹介されたんですよ。
BANNO
テレビで!データから選んだ三つが、人の心を動かしたんですね。
HIGEDARUMA
作者は、データを独自の目線で分析して三つに絞ると、知られていなかった場所に興味を持ってもらえる、と手応えを感じたそうです。
BANNO
それを、駅だけじゃなく、全国のいろんなデータに広げたのが、この図鑑なんですね。
HIGEDARUMA
しかも作者は、作り始めたとき、使ったPHPという言語を、ほとんど知らなかったそうなんです。
BANNO
えっ、知らない言語で作ったんですか?
HIGEDARUMA
AIを確かめるプログラムを、AIに手伝ってもらいながら、詳しくない言語で書く。
HIGEDARUMA
作者自身、なかなか恐ろしい構図だ、と書いています。
BANNO
たしかに、ちょっとドキドキしますね。
HIGEDARUMA
だから先に、AIに任せること、プログラムで計算し直すこと、人が判断すること、その境目を決めてから作ったそうです。
BANNO
言語に詳しいかどうかより、役割分担の設計が先。これは、エンジニアじゃない私にも響きます。
HIGEDARUMA
作者は、ランキングを作ること自体が目的ではない、とも言っています。
HIGEDARUMA
こんな場所があったんだ、という発見のきっかけにしたいそうです。
BANNO
では、今日できる最小の一歩です。
BANNO
地域の三選図鑑を開いて、自分の住んでいる県のトップ3を、一つ選んでみてください。
HIGEDARUMA
そして、ページの一番下にある、元データのリンクを押してみてください。それが、オープンデータとの最初の出会いになりますよ。
BANNO
作る側の人は、どうでしょう?
HIGEDARUMA
AIの答えを、そのまま使わずに、プログラムでもう一度確かめる。この一手間を、自分の作品にも入れてみてください。
HIGEDARUMA
作品ページとサイトのリンクは、画面に出しておきますね。
BANNO
さて、今日紹介したのは、自治体のデータから、根拠をたどれるトップ3を作る、地域の三選図鑑でした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
地域の三選図鑑
作者: ひで
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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