1万8千件の地域データから「トップ3」を作る「地域の三選図鑑」|AIに順位を決めさせない
ProtoPedia の作品「地域の三選図鑑」を2人のMCが初心者目線で紹介。自治体が公開しているオープンデータは1万8千件を超えますが、表のファイルの山で、なかなか読まれません。作者は、それを「和歌山県の棚田の枚数トップ3」のような三件の読み物に変え、どの三件にも根拠と元データへのリンクを付けました。AIは比べ方を提案するだけ、プログラムが全件を計算し直し、別のAIが審査し、最後は人が承認する分業。元データを勝手にきれいにしない設計、原点になった秘境駅ランキングの話まで。
チャプター
0:00オープニング0:20データでめぐる、地域の三選1:39オープンデータ=誰でも使える公開データ3:04AIに順位を決めさせない5:38元データまでたどれる7:46原点は「旅旅」の秘境駅ランキング9:39自分の県のトップ3を1つ見る10:29エンディング
文字起こし(93行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、地域の三選図鑑。
- BANNO
- さんせん、というと、日本三景みたいに、三つ選ぶ、の三選ですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。全国の町のデータから、トップ3や三選を作って紹介する、ウェブの図鑑なんですよ。
- BANNO
- 例えば、どんなトップ3があるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 例えば、和歌山県の棚田の枚数トップ3。山の斜面に、階段みたいに並んだ田んぼが、何枚あるかを比べたものです。
- HIGEDARUMA
- 和歌山県が認定した14か所の棚田を比べると、1位は308枚、2位は270枚、3位は226枚でした。
- BANNO
- 300枚超え!一つの場所に田んぼが300枚って、見に行きたくなりますね。
- HIGEDARUMA
- しかもこのページ、下まで見ると、どこの何というデータから選んだのかまで載っているんです。
- BANNO
- へえ、ランキングの証拠まで付いているんですね。
- HIGEDARUMA
- そこがこの作品の、一番のこだわりなんです。今日はその仕組みまで、じっくり見ていきましょう。
- BANNO
- そもそも、そのデータって、どこから来ているんですか?
- HIGEDARUMA
- 自治体が公開している、オープンデータです。誰でも自由に使っていいですよ、と公開されたデータのことなんです。
- HIGEDARUMA
- 人口、観光客の数、公園の広さ、文化財。
- HIGEDARUMA
- いろんなデータが、BODIKという、全国の自治体のデータを集めた大きな棚に並んでいます。
- BANNO
- その棚には、どれくらいの量があるんですか?
- HIGEDARUMA
- 1万8千件を超えるデータが入っているんです。
- BANNO
- 1万8千件!ぜんぶ見ていたら、一生かかっても終わりませんね。
- HIGEDARUMA
- しかも中身は、数字がずらっと並んだ表のファイルなんです。開いても、どこが面白いのか、すぐには分からないんですよね。
- BANNO
- たしかに。表がずらっと並んでいたら、私ならそっと閉じちゃいそうです。
- HIGEDARUMA
- 作者も、データが公開されていることと、実際に読まれることは別の話だ、と書いています。
- BANNO
- なるほど。だから三つに絞って、読み物にしたんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。ただ、三つに絞るのは、残りを全部見せないという、思い切った選び方でもあるんです。
- BANNO
- たしかに。なんでその三つなのか、気になっちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- だから、なぜこの三つなのかを、きちんと説明できる作りにしているんですよ。
- BANNO
- でも1万8千件ですよね。誰が三つを選んでいるんですか?やっぱりAIですか?
- HIGEDARUMA
- AIも使っています。ただ、AIに順位を決める権限は、あえて渡していないんです。
- BANNO
- えっ、どうしてですか?AIに任せたほうが、楽そうですけど。
- HIGEDARUMA
- 作者は、全部をAIに任せるのは危ない、と考えたんです。AIは、もっともらしい間違いをすることがありますからね。
- BANNO
- たしかに。順位が間違っていたら、紹介された町の人も困りますね。
- HIGEDARUMA
- そこで、AIとプログラムと人の三者で、仕事を分けているんです。
- HIGEDARUMA
- まずAIは、データを読んで提案するだけ。この表なら比べられそう、この列で比べよう、合計の行は外そう、という具合です。
- BANNO
- AIは、調べて提案する、リサーチャー役なんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。次に、PHPという言語で書いたプログラムが、その提案を確かめます。言われた列が本当にあるか、を見るんです。
- BANNO
- プログラムって、AIとは何が違うんですか?
- HIGEDARUMA
- プログラムは、同じ材料を入れたら、何度やっても同じ答えを出す計算係なんです。気分で答えが変わらないんですよ。
- HIGEDARUMA
- そのプログラムが、単位や書き方をそろえてから、全部のデータで計算し直して、上位の三つを出し直します。
- BANNO
- AIの言うことをそのまま信じないで、計算でもう一度確かめるんですね。
- HIGEDARUMA
- さらに、別のAIが、比べる範囲はそろっているか、結果はおかしくないか、をもう一度審査します。
- BANNO
- ダブルチェックまで!それでも条件がそろわないデータは、どうなるんですか?
- HIGEDARUMA
- 無理に三つにしないんです。要確認や利用不可として理由を残して、正式なランキングにはしません。
- BANNO
- 無理やりランキングにしない。そこ、誠実ですね。
- HIGEDARUMA
- そして最後に決めるのは人です。候補は、GitHubという、変更を確かめてから取り込むサービスに、承認待ちとして並びます。
- HIGEDARUMA
- 作者が、ランキングの名前、比べ方、上位の三つ、出典を確かめて、オーケーを出したものだけが公開されるんです。
- BANNO
- 人の目が、最後の関所になっているんですね。
- HIGEDARUMA
- 全体の流れは、この図の5ステップです。データを取る、候補を自動で作る、人が確かめる、ページを作る、公開する。
- BANNO
- さっきの棚田のページ、証拠まで付いているって話でしたよね。
- HIGEDARUMA
- はい。ページの下には、もとにしたデータの名前、提供した和歌山県、更新された日、それに元のファイルへのリンクがあるんです。
- BANNO
- 三つだけ見て楽しんでもいいし、気になったら証拠まで戻れるんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者はこれを、出典へ戻れる図鑑、と呼んでいます。
- HIGEDARUMA
- もう一つのこだわりが、元のデータを勝手にきれいにしないことなんです。
- BANNO
- えっ、きれいにしたほうが、見やすくないですか?
- HIGEDARUMA
- 例えば、年度の欄に、30、1、2、3、とだけ書かれたデータがあるんです。
- HIGEDARUMA
- おそらく平成30年の次が令和元年なんですが、データのどこにも、そうは書いていないんですよ。
- BANNO
- なるほど。勝手に直したら、元のデータと見比べられなくなっちゃうんですね。
- HIGEDARUMA
- その通りです。だから元のデータと、システムが読み取った結果を分けて、分からないものは分からないまま記録しているんです。
- BANNO
- きれいに見せるより、なぜその結果になったかを追えるほうが大事、ということですね。
- HIGEDARUMA
- もう一つ。見る人に届けるページは、前もって完成させておいたページを配るだけの、シンプルな作りなんです。
- BANNO
- それだと、何がいいんですか?
- HIGEDARUMA
- 見るときにAIもデータベースも動かないので、AIのサービスが止まっても、ページはそのまま見られるんです。
- HIGEDARUMA
- サーバーの費用も小さく済みます。
- BANNO
- 個人で長く続けるには、そこが大事ですね。
- HIGEDARUMA
- 使っている素材は、BODIK、GitHub Actions、Netlify、それにOpenAIのAPIです。
- BANNO
- それで、今どれくらいのランキングができているんですか?
- HIGEDARUMA
- 1万8千件を超えるデータを調べて、公開されたランキングは387件。125の地域に広がっています。
- BANNO
- 観光、文化、子育て、防災まで。自分の町が載っていないか、探したくなりますね。
- BANNO
- そもそも作者のひでさんは、どうしてこれを作ろうと思ったんですか?
- HIGEDARUMA
- 原点は、作者が以前作った旅のサービスの、秘境駅ランキングなんです。
- BANNO
- 秘境駅って、山奥にぽつんとある、なかなか行けない駅ですよね。
- HIGEDARUMA
- そうです。乗る人の数だけでなく、周りの人口や建物、電車や道路での行きにくさなど、五つの項目で全国の駅を分析したんです。
- HIGEDARUMA
- そのランキングが、テレビ番組の秘境駅の企画で参考データとして使われて、上位3駅が紹介されたんですよ。
- BANNO
- テレビで!データから選んだ三つが、人の心を動かしたんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者は、データを独自の目線で分析して三つに絞ると、知られていなかった場所に興味を持ってもらえる、と手応えを感じたそうです。
- BANNO
- それを、駅だけじゃなく、全国のいろんなデータに広げたのが、この図鑑なんですね。
- HIGEDARUMA
- しかも作者は、作り始めたとき、使ったPHPという言語を、ほとんど知らなかったそうなんです。
- BANNO
- えっ、知らない言語で作ったんですか?
- HIGEDARUMA
- AIを確かめるプログラムを、AIに手伝ってもらいながら、詳しくない言語で書く。
- HIGEDARUMA
- 作者自身、なかなか恐ろしい構図だ、と書いています。
- BANNO
- たしかに、ちょっとドキドキしますね。
- HIGEDARUMA
- だから先に、AIに任せること、プログラムで計算し直すこと、人が判断すること、その境目を決めてから作ったそうです。
- BANNO
- 言語に詳しいかどうかより、役割分担の設計が先。これは、エンジニアじゃない私にも響きます。
- HIGEDARUMA
- 作者は、ランキングを作ること自体が目的ではない、とも言っています。
- HIGEDARUMA
- こんな場所があったんだ、という発見のきっかけにしたいそうです。
- BANNO
- では、今日できる最小の一歩です。
- BANNO
- 地域の三選図鑑を開いて、自分の住んでいる県のトップ3を、一つ選んでみてください。
- HIGEDARUMA
- そして、ページの一番下にある、元データのリンクを押してみてください。それが、オープンデータとの最初の出会いになりますよ。
- BANNO
- 作る側の人は、どうでしょう?
- HIGEDARUMA
- AIの答えを、そのまま使わずに、プログラムでもう一度確かめる。この一手間を、自分の作品にも入れてみてください。
- HIGEDARUMA
- 作品ページとサイトのリンクは、画面に出しておきますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、自治体のデータから、根拠をたどれるトップ3を作る、地域の三選図鑑でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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