思い出の場所を五文字に、五文字を歌に「和座標」|頭の文字を縦に読むと、場所が見つかる短歌
ProtoPedia の作品「和座標 — 場所を五文字で表し、歌につなぐ」を2人のMCが初心者目線で紹介。地図のピンを送れば場所は伝わりますが、「なぜその場所が大切か」までは渡せません。和座標は、地図の上の場所に自分で選んだ五文字の言葉を付け、その五文字を各行の頭に置いた短歌(折句)を残せる Web サービスです。歌として読めば景色が伝わり、頭の文字を拾えば地図でその場所が探せる。AI は五文字や歌の候補を出すだけで、言葉を選ぶのは人。一度付けた五文字は付け替えない設計や、半年前に作った「日本語5文字の座標」から育った背景まで。
チャプター
0:00オープニング0:20場所を五文字に、五文字を歌に1:01住所では渡せないもの1:51実際の画面の歌3:15使い方は3ステップ4:51システム構成6:01前身は「日本語5文字の座標」7:45開発素材8:35エンディング
文字起こし(75行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、和座標。場所を五文字で表し、歌につなぐ。
- BANNO
- 場所を五文字で?しかも歌に?ちょっと想像がつかないですね。
- HIGEDARUMA
- 地図の上の思い出の場所に、五文字の言葉を名札みたいに付けるんです。
- HIGEDARUMA
- そして、その五文字を使って短歌を残せる。そういうウェブサービスなんですよ。
- BANNO
- 作ったのは、ひでさん。前にこの番組で紹介した、地域の三選図鑑の作者さんですね。
- BANNO
- みなさん、思い出の場所ってありますよね。
- BANNO
- 初めて誰かと待ち合わせた場所とか、子どもと何度も歩いた川沿いとか。
- HIGEDARUMA
- ありますね。でも、その場所を人に伝えるとき、どうしてます?
- BANNO
- 地図アプリでピンを送っちゃいますね。それで場所は伝わりますし。
- HIGEDARUMA
- そう、場所は伝わるんです。でも、なぜそこが大切なのかは、ピンには乗らないんですよね。
- HIGEDARUMA
- 作者のひでさんも、住所を伝えれば場所はわかる、でも大切に思う理由まで渡せるだろうか、と書いているんです。
- BANNO
- たしかに。ピンだけ届いても、ただの点ですもんね。
- HIGEDARUMA
- そこで和座標は、場所に言葉を残して、その言葉を読んだ誰かが、もう一度そこへ向かう。そんな体験を目指しているんです。
- BANNO
- じゃあ実際に、どんな歌が残っているんですか?
- HIGEDARUMA
- アプリの画面に載っている歌を、一行ずつ読んでみますね。
- HIGEDARUMA
- 史跡めく、村雲のごと、町屋根に。
- HIGEDARUMA
- 森の色差す、林の陰に。
- BANNO
- 古い町並みに、雲がかかって、森の影が落ちている。景色が浮かびますね。
- HIGEDARUMA
- では、各行の一文字目だけを、上から縦に読んでみてください。
- BANNO
- えーっと、史、村、町、森、林。あっ、これがその場所の五文字なんですか!
- HIGEDARUMA
- そうなんです。こういう歌を、おりく、と言います。
- HIGEDARUMA
- 各行の頭の文字を縦に読むと、言葉が隠れている歌。あいうえお作文の短歌版ですね。
- BANNO
- あいうえお作文なら、学校でやりました。それの、五七五七七版なんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。歌として読めば、その人が見た景色が伝わる。頭の文字を拾えば、地図でその場所が探せるんです。
- BANNO
- 一首で二役なんですね。歌を読んだ人が、そのまま場所を訪ねられる。
- HIGEDARUMA
- しかも五文字なら、手紙の一節にも、旅のメモにも、本のしおりにも書けますよね。
- BANNO
- 紙で受け取った五文字から、地図を開いて会いに行ける。ロマンがありますね。
- BANNO
- 使い方は、どんな流れなんですか?
- HIGEDARUMA
- まず、地図で気になる場所をタップします。すると、まわりに付いた五文字と、公開された歌が読めるんです。五文字で検索もできますよ。
- BANNO
- 自分で五文字を付けたいときは?
- HIGEDARUMA
- 場所を選んで、ひらがなや簡単な漢字で五文字を登録します。半径1キロ以内にまだ登録が無ければ、新しく付けられるんです。
- BANNO
- でも、いきなり五文字って言われても、なかなか浮かばない気がします。
- HIGEDARUMA
- そこでAIの出番です。その場所の地形や地域の特徴から、五文字の候補を出してくれるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 歌も同じです。その場所で撮った写真と五文字を渡すと、写真の景色や季節を読み取って、短歌の候補を作ってくれます。
- BANNO
- えっ、じゃあAIが全部作っちゃうんですか?
- HIGEDARUMA
- そこがこの作品の大事なところで。AIは候補を出すだけで、勝手には登録しないんです。
- HIGEDARUMA
- 選ぶのも、ここは自分の言葉にしたいと直すのも、人。作者は、言葉を選ぶのは人、と書いています。
- BANNO
- AIは、迷ったときのきっかけ係なんですね。最後に決めるのは自分。それなら愛着もわきます。
- HIGEDARUMA
- それと、同じ場所に五文字をいくつも付けられるんです。
- BANNO
- ある人には家族との散歩道、別の人には新しい生活を始めた街。一つの場所に、人の数だけ意味が重なるんですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、裏側はどうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 画面はSvelteKitで作ったWebアプリで、地図はLeafletという地図を表示する部品です。スマホでもパソコンでも、ブラウザだけで使えます。
- HIGEDARUMA
- データを預かるサーバーはCloudflare、五文字や歌の候補はOpenAIのAIに頼んでいます。
- BANNO
- 五文字は、地図のどのくらいの広さに付くんですか?
- HIGEDARUMA
- 日本の地図を細かいマス目に区切った、9次地域メッシュという単位なんです。1マスは、だいたい15メートル四方です。
- BANNO
- 15メートル四方なら、公園のベンチのあたり、くらいの細かさですね。
- HIGEDARUMA
- もう一つ、僕が好きな設計があって。一度付けた五文字は、あとから別の場所に付け替えられないんです。
- BANNO
- え、不便じゃないですか?
- HIGEDARUMA
- 紙に書いた五文字が、何年たっても同じ場所を指すようにするためなんです。意味を変えたいときは、書き換えずに新しい五文字を足します。
- BANNO
- なるほど。手紙を十年後に開いても、ちゃんと同じ場所にたどり着けるんですね。
- BANNO
- それにしても、どうして五文字なんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 実はひでさん、半年前の2026年3月に、日本語5文字で位置を表す座標という作品を出しているんです。
- HIGEDARUMA
- 緯度と経度は正確だけど、数字の羅列で覚えられない。住所は分かりやすいけど、書き方がばらばら。そこが出発点でした。
- HIGEDARUMA
- そこで、ひらがな44字と漢字44字の、88種類の文字を5つ並べる。それで、およそ52億通りの場所を言い分けられるんです。
- BANNO
- 52億通り!五文字だけで、そんなに表せるんですね。
- HIGEDARUMA
- その仕組みは誰でも使える形で公開されていて。しかも当時から、場所を示すコードを、場所を感じる言葉へ、と書いていたんです。
- BANNO
- 半年かけて、その言葉の夢を、歌まで連れてきたんですね。
- HIGEDARUMA
- 以前にも、折句を使った旅の作品を作っているんですよ。言葉と場所へのこだわりが、ずっと一本の線でつながっているんです。
- BANNO
- 使い道として、ひでさんはこんな場面を思い描いているそうです。
- BANNO
- 旅先の歌を友だちに渡して、友だちがその場所を訪ね、今度は自分の歌を残す。
- BANNO
- 家族の思い出を、何年か後の子どもに渡す。商店街のお店ごとの歌で、いつもの街角で足を止めてもらう。
- HIGEDARUMA
- まだ開発中で、これから街で確かめたいことだそうです。五文字を人から人へ渡したとき、新しい物語や行動は生まれるのか。
- BANNO
- その答えを作るのは、使う私たち、なんですね。
- HIGEDARUMA
- 使われている道具は、この6つです。
- HIGEDARUMA
- 地図も、サーバーも、AIも、借りられるものは借りて、1人で形にしている。個人開発のお手本みたいな組み立てなんです。
- BANNO
- 作者は、ひでさん。
- BANNO
- 今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 和座標のサイトを開いて、いつもの散歩道を、ひとつタップしてみてください。
- HIGEDARUMA
- まわりの歌をのぞいたら、次は、あなたの思い出の場所に付ける五文字を、ひとつ考えてみてください。
- BANNO
- 私なら、どこにしようかな。考えるだけで、ちょっと胸があたたかくなりますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、場所を五文字で表し、歌につなぐ、和座標でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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