人が時計になる電子工作「腕de時計」|両腕に光る棒、一番明るい角度が今の時刻
ProtoPedia の作品「腕de時計」を2人のMCが初心者目線で紹介。人文字や手旗信号はあるのに、人が時計になっているのは見たことがない——そんな発想から生まれた、両腕に光る棒を1本ずつ持って自分の体をアナログ時計の針にする電子工作です。腕で時計のまねをしても、今の角度は自分では分かりません。棒の中の加速度センサーが腕の傾きを測り、インターネットから取った正確な時刻と比べて、矢印のランプで「もう少し右・左」を案内。一番明るく光った角度が今の時刻です。見た目はアナログ、中身は正確な時計というギャップや、合わせるのが難しいからこそ生まれる遊び、そして「誰も作らない、それが電子工作の醍醐味」という作者の姿勢まで。
チャプター
0:00オープニング0:20人が時計になる0:58きっかけ1:56腕で時計、やってみると…2:43光で角度を案内3:44システム構成5:06合わせるのが難しい=楽しい6:33その後の広がり7:59作者: TakSan8:37エンディング
文字起こし(88行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、腕de時計。
- BANNO
- 写真の男性、大きな文字盤と光る棒で、ポーズを決めてますね。
- HIGEDARUMA
- 実はこれ、両腕に1本ずつ光る棒を持って、自分の体を時計の針にする電子工作なんです。
- BANNO
- えっ、人が時計になるんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。作ったのは、TakSanさん。2018年に発表された作品なんですよ。
- BANNO
- そもそも、なんで時計になろうと思ったんでしょうか。
- HIGEDARUMA
- 作者は、人文字や手旗信号を例に出しているんです。
- BANNO
- 人文字って、運動会で、みんなで並んで文字を作るあれですね。
- HIGEDARUMA
- はい。人の体で文字や合図を伝える方法は、昔からあるんですよね。
- HIGEDARUMA
- でも、人そのものが時計になっているのは見たことがない。
- BANNO
- たしかに、見たことないですね。
- HIGEDARUMA
- 作者いわく、見たことない、イコール斬新、と勝手に勘違いして作り始めました、だそうです。
- BANNO
- 勘違いって、自分で言っちゃうんですね。そこがいいですね。
- HIGEDARUMA
- さらに、写真を1分ごとに切り替えるだけの時計では、時計の気持ちが分からない、とも書いています。
- BANNO
- 時計の気持ち。急に哲学っぽくなりましたね。
- HIGEDARUMA
- ご本人も、勝手な言い分、と書き添えているんですけどね。
- BANNO
- でも、腕で時計のまねをするだけなら、道具はいらなくないですか?
- HIGEDARUMA
- いい質問です。ばんのさん、いま両腕で、今の時刻を作ってみてください。
- BANNO
- 右腕が長い針で、左腕が短い針、ですね。えーっと……。
- BANNO
- あれ、ちょうど何分の角度なのか、自分では全然分からないです。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。しかも自分から見ると、時計を裏側から見ていることになるんですよ。
- BANNO
- 右と左が逆になるんですね。これは頭がこんがらがります。
- HIGEDARUMA
- 作者も、今何時何分の位置に針を傾けているかは自分では判りません、と書いています。
- HIGEDARUMA
- そこで、この光る棒が、腕の角度を案内してくれるんです。
- BANNO
- 案内って、どうやって教えてくれるんですか?
- HIGEDARUMA
- 棒の根元に、左右の矢印のランプが付いているんです。
- HIGEDARUMA
- もう少し右、もう少し左、と、腕を動かす向きを光で教えてくれます。
- HIGEDARUMA
- 大きくずれているとき、正確には角度が90度以上ずれていると、両方の矢印が赤く光ります。
- BANNO
- まずは赤信号で、全然違うよ、と。
- HIGEDARUMA
- そうです。そこから正しい角度に近づくと、矢印はだんだん暗くなって、針の光がだんだん明るくなるんです。
- HIGEDARUMA
- そして、ぴったり合うと矢印は消えて、針が一番明るく光ります。
- BANNO
- 宝探しの、あったかい、つめたい、みたいですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。一番明るくなった角度が、今の時刻なんですよ。
- BANNO
- 短い針用と長い針用の2本がそろえば、人がまるごと時計になって、周りに時刻を知らせられるんですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、棒の中はどうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 1本の中に、大きく3つの役目の部品が入っているんです。
- HIGEDARUMA
- 1つ目は、Wi-Fiにつながる小さなコンピューター、マイコンです。
- HIGEDARUMA
- スマホの時計が勝手に正しく合うのと同じで、インターネットから正確な時刻をもらってきます。
- BANNO
- だから、棒の時計はいつも正確なんですね。
- HIGEDARUMA
- 2つ目が、加速度センサー。傾きを感じる部品です。
- HIGEDARUMA
- スマホを横にすると画面がくるっと回りますよね。あれと同じ仲間の部品で、腕の角度を測ります。
- BANNO
- あ、それなら毎日お世話になってます。
- HIGEDARUMA
- 3つ目が、小さなライトが一列に並んだ光る帯、LEDバーです。
- HIGEDARUMA
- 作者の言葉では、目立たなければ意味がありません、だそうです。
- BANNO
- 時計ですもんね。見てもらってなんぼです。
- HIGEDARUMA
- マイコンが、今の時刻なら針は何度か、を計算して、センサーで測った腕の角度との差で光り方を変えているんです。
- BANNO
- つまり、正解の角度と今の腕の角度を、ずっと比べ続けているんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。見た目は思いっきりアナログなのに、中身は正確な時計。作者はこのギャップがいい、と書いています。
- BANNO
- 実際に使ってみると、どうなんでしょう。
- HIGEDARUMA
- 作者いわく、結構きっちり合わせるのが難しくて、そこに遊びの要素がある、と。
- HIGEDARUMA
- 一人で時計になると、写真を撮るのも難しいそうです。
- BANNO
- 両手がふさがってますもんね。
- HIGEDARUMA
- ものづくりのコンテスト、マッシュアップアワードの審査会で体験した人も、記事を書いているんです。
- HIGEDARUMA
- 手だけでツイスターをしているようで地味に難しい、でも謎の達成感がある、と書いていました。
- BANNO
- 謎の達成感! ぴったり光った瞬間、絶対うれしいですよね。
- HIGEDARUMA
- 中身もすごいんですよ。部品は全部手作りで、小さなケースにぎっしり押し込んでいます。
- HIGEDARUMA
- 本当はケースを3Dプリンターで作りたかったそうなんですが、3D CADとの闘いに敗れました、と。
- BANNO
- 負けちゃったんですね。でも正直に書いてあるのが、なんだか親近感わきます。
- HIGEDARUMA
- それから注意書きもあって、ビームサーベルではありません、振り回さないでください、だそうです。
- BANNO
- 光る棒を持ったら、振りたくなりますもんね。
- BANNO
- 使いどころとしては、どうでしょう。
- HIGEDARUMA
- 作者は、展示に向いているかも、子供が楽しみながらアナログ時計を学習できるかも、と書いています。
- BANNO
- 針の角度を体で覚えられたら、時計の読み方も身につきそうですね。
- BANNO
- この作品、そのあとはどうなったんでしょうか。
- HIGEDARUMA
- そのマッシュアップアワードには、2018年の大会に応募していたんです。
- HIGEDARUMA
- そして、IoT部門の決勝審査会に進んだ10作品のひとつに選ばれたんです。
- BANNO
- ちなみにIoTって、インターネットにつながるモノ、ですよね。
- HIGEDARUMA
- そうです。作者は、一応IoTかも、と控えめに書いていますけどね。
- HIGEDARUMA
- 2020年には、もっと小さなマイコンのM5StickCで作り直した版も出しているんです。
- HIGEDARUMA
- そのときの言葉が、時計になりたい一心で作りました。
- BANNO
- 2年たっても、まだ時計になりたいんですね。
- HIGEDARUMA
- プロトペディアの時間という配信番組で紹介されたり、ものづくりのイベントで展示されたりもしています。
- BANNO
- 作品ページには、こんな言葉もありましたね。
- BANNO
- 誰も作らないですよね。作ろうとも思わないですよね。わざわざ労力とお金をかけてまで。
- HIGEDARUMA
- それが電子工作の醍醐味。わかります。役に立つかより、やってみたい、が先なんですよね。
- BANNO
- そういえば、時計の気持ちは分かったんでしょうか。
- HIGEDARUMA
- 分かってきたそうです。でも、どう分かったかは秘密。実際になってみて感じることが大切、だそうです。
- BANNO
- そこは、自分で時計になって確かめるしかないですね。
- BANNO
- 作者は、TakSanさん。
- BANNO
- 今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- いま、両腕で今の時刻を作ってみてください。答え合わせは、スマホの時計で。
- HIGEDARUMA
- そのあと、身の回りで、まだ誰もやっていないこと、をひとつメモしてみてください。
- HIGEDARUMA
- 見たことない、が、作り始める理由になる。腕de時計が教えてくれたことなんです。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、人が時計の針になる電子工作、腕de時計でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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