三角形の板180枚で作った光る地球儀「180面体球形LEDディスプレイ」|1000本の線をはんだ付けした数の暴力
ProtoPedia の作品「180面体球形LEDディスプレイ」を2人のMCが初心者目線で紹介。LEDキューブは内側の光が外側に邪魔されてもったいない。だったら表面だけに光の粒を並べて球にしよう。部品1万円分の支援に当選してネタ帳から救出されたアイデアを、サッカーボールを三角形に分けて真ん中を持ち上げる工夫で、三角形の基板180枚の球に。ジャンパー線1000本以上・2週間の組み立て、ホットプレートで焼いた光の粒、完成直前のノイズ、展示初日の故障まで。地球が回り、ビンゴや時計にもなる丸い画面と、作り方の公開から生まれた兄弟や32面の弟分まで。
チャプター
0:00オープニング0:20光る地球儀のような丸い画面1:00きっかけは「もったいない」2:33ヒントはサッカーボール3:54キーワードは「数の暴力」7:10システム構成8:32展示初日のピンチ9:58開発素材10:49エンディング
文字起こし(96行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、180面体球形LEDディスプレイ。
- BANNO
- 名前だけ聞くと、ちょっと難しそうですね。
- HIGEDARUMA
- 一言でいうと、光る地球儀みたいな、丸い画面なんです。
- HIGEDARUMA
- 三角形の小さな板180枚に、LEDという光の粒を1つずつ載せて、ボールの形に組み上げているんですよ。
- BANNO
- このボールの上で、地球が回ったり、ビンゴの数字が出たりするんですね。
- BANNO
- そもそも、なぜ丸い画面を作ろうと思ったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 少し前に、LEDキューブというものがはやったんです。光の粒を、箱の形に立体的にぎっしり並べた飾りなんですよ。
- BANNO
- サイコロみたいな箱が、中までまるごと光るんですね。きれいそう。
- HIGEDARUMA
- ところが作者は、内側の光は外側の光に邪魔されて、よく見えなくてもったいない、と感じたんです。
- HIGEDARUMA
- だったら表面だけに、たくさん並べればいい。どうせやるなら、球にしてみたい、と。
- BANNO
- なるほど。見えない光は並べずに、ぜんぶ表面に出しちゃうわけですね。
- HIGEDARUMA
- ただ、光の粒がいくつ要るか計算すると、部品代がかなりかかる。
- HIGEDARUMA
- それで一度あきらめて、アイデアをネタ帳に眠らせていたんです。
- BANNO
- ネタ帳、わかります。いつかやりたいことリストですね。そこから、どう動き出したんですか?
- HIGEDARUMA
- 電子部品の通販会社マウザーの、ものづくり支援キャンペーンに当選したんです。部品1万円分がもらえました。
- BANNO
- 1万円分!それは、うれしいですね。
- HIGEDARUMA
- 作者の言葉では、ネタ帳から無事に救出されました、なんです。
- HIGEDARUMA
- 光の粒200個と、電気を安定させる小さな部品200個で、約9300円。1万円の枠に、ほぼぴったりでした。
- BANNO
- アイデアを温めておいたから、チャンスが来たときにすぐ動けたんですね。
- BANNO
- でも、ひげだるまさん。平らな板を並べて、本当にボールの形になるんですか?
- HIGEDARUMA
- ヒントはサッカーボールなんです。サッカーボールは、五角形と六角形を組み合わせてできていますよね。
- BANNO
- 黒い五角形と、白い六角形ですね。
- HIGEDARUMA
- でも、あれが丸いのは、空気を入れて膨らませているからなんです。平らな板は、膨らみませんよね。
- HIGEDARUMA
- そこで、五角形と六角形を、それぞれ三角形に分けます。
- HIGEDARUMA
- そして真ん中を少しだけ持ち上げて、低いテントのような形にする。すると、ぐっと球に近づくんです。
- BANNO
- 平らなパネルを、ちょっとだけ膨らませるわけですね。賢い!
- HIGEDARUMA
- 五角形は三角形5枚、六角形は6枚。数えると、五角形用が60枚、六角形用が120枚です。
- BANNO
- 合わせて180枚。それで180面体なんですね。名前の意味が、やっとわかりました。
- HIGEDARUMA
- 180枚もあると手作りではやっていられないので、板そのものを自分で設計して、工場に注文しています。
- HIGEDARUMA
- この板を基板といいます。電子部品を載せて、電気の通り道を印刷した板のことなんです。
- BANNO
- 部品がそろったら、あとは組み立てるだけですか?
- HIGEDARUMA
- ここからが本当の戦いなんです。キーワードは、数の暴力。
- HIGEDARUMA
- 隣り合う板と板は、針金を小さく曲げた線で、1か所ずつはんだ付けしてつなぎます。
- HIGEDARUMA
- はんだ付けは、金属を溶かして部品や線をくっつける作業です。
- BANNO
- その線は、全部で何本くらいあるんですか?
- HIGEDARUMA
- なんと、千本以上。作者は、ひたすらしんどい、とにかく数の暴力、と書いています。
- BANNO
- 千本!聞いただけで、手が痛くなりそうです。
- HIGEDARUMA
- 五角形と六角形のパネルを少しずつ作って、お椀の形に組み上げていきます。
- HIGEDARUMA
- 週末を越えても、180枚のうち35枚。間に合うのか、とつぶやきながら、組み立て完了まで2週間かかりました。
- BANNO
- ひとりで2週間、ひたすらはんだ付け。根性ですね。
- BANNO
- 光の粒への配線は、どうなっているんですか?180個それぞれに線を引くんですか?
- HIGEDARUMA
- そこが面白いところで。この光の粒は、数珠つなぎで使うんです。
- HIGEDARUMA
- 1番目の粒が色の指示を受け取って、自分の分を取ったら、残りを2番目に渡す。伝言ゲームみたいに、順番に送っていくんですよ。
- BANNO
- なるほど。それなら、指示を送る線は1本で済むんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。ただ、180個を一筆書きでつなぐ順番を決めるのが大変で、球の表面にらせん状に通しています。
- HIGEDARUMA
- そこで作者は、どの向きでも板をつなげて、組み立てた後で入口と出口を決められる仕掛けを、板に作り込みました。
- HIGEDARUMA
- 作者は、これが無かったら経路が複雑すぎて、多分完成しなかった、と書いているんです。
- BANNO
- 先回りの工夫が、完成を救ったんですね。
- BANNO
- 途中で、失敗はなかったんですか?
- HIGEDARUMA
- ありました。部品を板に付けるのに、ホットプレートで豪快に温めたら、熱に弱い光の粒が傷んで、赤が出なくなったんです。
- HIGEDARUMA
- 結局、8個ほど交換する羽目に。
- HIGEDARUMA
- さらに、部品のサイズを注文で間違えて、0.6ミリ×0.3ミリという、ごま粒より小さい部品が届いたそうです。
- BANNO
- ごま粒より小さい部品を、180個も付けたんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。泣く泣く根性でつけ切ったぞ、だそうです。
- BANNO
- ホットプレートで焼いちゃうあたり、ちょっと親近感がわきますね。
- HIGEDARUMA
- 極めつけは完成直前。数珠の後ろのほうの光が、ちかちか点滅して、色が化けてしまったんです。
- HIGEDARUMA
- オシロスコープという、電気の揺れを目で見る測定器をつないだら、すぐ原因がわかりました。
- HIGEDARUMA
- 電気の基準になる線が、ノイズという余計な電気の揺れで、ふらついていたんです。その線を何か所か補強して解決しました。
- BANNO
- 道具を持っていたから、すぐ見つけられたんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者も、測定器大事ですね、無かったら応募できていなかったかも、と書いています。
- BANNO
- 完成した球には、どうやって絵を描くんですか?
- HIGEDARUMA
- 頭脳は、M5 ATOM Liteという、親指くらいの小さなコンピュータです。5ボルトの電源につないで、180枚に色の指示を送ります。
- HIGEDARUMA
- 地球や星などの光らせ方は、この小さなコンピュータに組み込んであるので、電源を入れるだけで動くんです。
- BANNO
- じゃあ、新しい絵を描きたいときは、どうするんですか?
- HIGEDARUMA
- そこが球の難しいところで。丸いと、どの粒が何番なのか、すごく分かりにくいんです。
- HIGEDARUMA
- そこで作者は、パソコン用の制御ソフトも作りました。展開図の上で色を塗ると、その色がすぐに球に映るんです。
- BANNO
- 地図を塗ると、地球儀の色が変わるイメージですね。それならデザインしやすそう。
- HIGEDARUMA
- つなぎ方は、ケーブルでも、インターネット経由でもいけます。MQTTという、ネット越しに短いメッセージを送る仕組みを使っているんです。
- BANNO
- 実際、どんな絵が出せるんですか?
- HIGEDARUMA
- 地球がくるくる回ったり、花火が上がったり。ハロウィンのかぼちゃに、きらきらの星。
- HIGEDARUMA
- ビンゴの数字や、じゃんけんの手。時計にもなるんですよ。
- BANNO
- 部屋に1つあったら、ずっと眺めちゃいますね。お店の飾りにもよさそうです。
- BANNO
- 展示会でも、たくさんの人が足を止めたそうですね。
- HIGEDARUMA
- ただ、大阪での展示初日、180個のうち12番目の粒が壊れてしまって。
- BANNO
- 12番目だと、伝言ゲームがそこで止まっちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そこから先が、ほぼ全部消えてしまった。でも作者は、ほかのブースからはんだごてを借りて、その場で修理したんです。
- BANNO
- その場で手術!ものづくりの人たちの助け合い、いいですね。
- BANNO
- そしてこの作品は、マウザーメイクアワード2023で、特別賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 審査員からは、基板の発注からフルカラーLEDを光らせるまでの熱量がすごい、と評価されたそうです。
- HIGEDARUMA
- さらに作者は、作り方の記事と、基板の設計データを公開しました。
- HIGEDARUMA
- イベントで基板をもらった人が、1か月半かけて同じ球を完成させて、光るサッカーボールにアレンジしたんです。
- BANNO
- 兄弟が生まれたんですね。作者もうれしかったでしょうね。
- HIGEDARUMA
- ただ、180面体はさすがにハードルが高い、という声も多くて。
- HIGEDARUMA
- そこで作者は、32面の小さな弟分も作りました。こちらは製作時間が3日ほどで、キットも販売されています。
- BANNO
- 2週間が3日に。それなら、私にも手が届きそうです。
- HIGEDARUMA
- 使われている道具は、この6つです。
- BANNO
- 作者は、TakSanさん。
- BANNO
- 今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- まずは作品ページから、デモ動画を見てみてください。180個の光が地球になる瞬間は、必見です。
- HIGEDARUMA
- 作ってみたくなったら、光の粒をひとつ、小さなコンピュータにつないで、好きな色に光らせてみてください。そこから、180個への道が始まります。
- BANNO
- 1個から始めて、いつか180個。夢がありますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、三角形の板180枚で作った光る地球儀、180面体球形LEDディスプレイでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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