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三角形の板180枚で作った光る地球儀「180面体球形LEDディスプレイ」|1000本の線をはんだ付けした数の暴力

紹介した作品: 180面体球形LEDディスプレイProtoPedia での反響: 閲覧 3,900+ ・ ♥ 43

ProtoPedia の作品「180面体球形LEDディスプレイ」を2人のMCが初心者目線で紹介。LEDキューブは内側の光が外側に邪魔されてもったいない。だったら表面だけに光の粒を並べて球にしよう。部品1万円分の支援に当選してネタ帳から救出されたアイデアを、サッカーボールを三角形に分けて真ん中を持ち上げる工夫で、三角形の基板180枚の球に。ジャンパー線1000本以上・2週間の組み立て、ホットプレートで焼いた光の粒、完成直前のノイズ、展示初日の故障まで。地球が回り、ビンゴや時計にもなる丸い画面と、作り方の公開から生まれた兄弟や32面の弟分まで。

チャプター

文字起こし(96行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、180面体球形LEDディスプレイ。
BANNO
名前だけ聞くと、ちょっと難しそうですね。
HIGEDARUMA
一言でいうと、光る地球儀みたいな、丸い画面なんです。
HIGEDARUMA
三角形の小さな板180枚に、LEDという光の粒を1つずつ載せて、ボールの形に組み上げているんですよ。
BANNO
このボールの上で、地球が回ったり、ビンゴの数字が出たりするんですね。
BANNO
そもそも、なぜ丸い画面を作ろうと思ったんでしょう?
HIGEDARUMA
少し前に、LEDキューブというものがはやったんです。光の粒を、箱の形に立体的にぎっしり並べた飾りなんですよ。
BANNO
サイコロみたいな箱が、中までまるごと光るんですね。きれいそう。
HIGEDARUMA
ところが作者は、内側の光は外側の光に邪魔されて、よく見えなくてもったいない、と感じたんです。
HIGEDARUMA
だったら表面だけに、たくさん並べればいい。どうせやるなら、球にしてみたい、と。
BANNO
なるほど。見えない光は並べずに、ぜんぶ表面に出しちゃうわけですね。
HIGEDARUMA
ただ、光の粒がいくつ要るか計算すると、部品代がかなりかかる。
HIGEDARUMA
それで一度あきらめて、アイデアをネタ帳に眠らせていたんです。
BANNO
ネタ帳、わかります。いつかやりたいことリストですね。そこから、どう動き出したんですか?
HIGEDARUMA
電子部品の通販会社マウザーの、ものづくり支援キャンペーンに当選したんです。部品1万円分がもらえました。
BANNO
1万円分!それは、うれしいですね。
HIGEDARUMA
作者の言葉では、ネタ帳から無事に救出されました、なんです。
HIGEDARUMA
光の粒200個と、電気を安定させる小さな部品200個で、約9300円。1万円の枠に、ほぼぴったりでした。
BANNO
アイデアを温めておいたから、チャンスが来たときにすぐ動けたんですね。
BANNO
でも、ひげだるまさん。平らな板を並べて、本当にボールの形になるんですか?
HIGEDARUMA
ヒントはサッカーボールなんです。サッカーボールは、五角形と六角形を組み合わせてできていますよね。
BANNO
黒い五角形と、白い六角形ですね。
HIGEDARUMA
でも、あれが丸いのは、空気を入れて膨らませているからなんです。平らな板は、膨らみませんよね。
HIGEDARUMA
そこで、五角形と六角形を、それぞれ三角形に分けます。
HIGEDARUMA
そして真ん中を少しだけ持ち上げて、低いテントのような形にする。すると、ぐっと球に近づくんです。
BANNO
平らなパネルを、ちょっとだけ膨らませるわけですね。賢い!
HIGEDARUMA
五角形は三角形5枚、六角形は6枚。数えると、五角形用が60枚、六角形用が120枚です。
BANNO
合わせて180枚。それで180面体なんですね。名前の意味が、やっとわかりました。
HIGEDARUMA
180枚もあると手作りではやっていられないので、板そのものを自分で設計して、工場に注文しています。
HIGEDARUMA
この板を基板といいます。電子部品を載せて、電気の通り道を印刷した板のことなんです。
BANNO
部品がそろったら、あとは組み立てるだけですか?
HIGEDARUMA
ここからが本当の戦いなんです。キーワードは、数の暴力。
HIGEDARUMA
隣り合う板と板は、針金を小さく曲げた線で、1か所ずつはんだ付けしてつなぎます。
HIGEDARUMA
はんだ付けは、金属を溶かして部品や線をくっつける作業です。
BANNO
その線は、全部で何本くらいあるんですか?
HIGEDARUMA
なんと、千本以上。作者は、ひたすらしんどい、とにかく数の暴力、と書いています。
BANNO
千本!聞いただけで、手が痛くなりそうです。
HIGEDARUMA
五角形と六角形のパネルを少しずつ作って、お椀の形に組み上げていきます。
HIGEDARUMA
週末を越えても、180枚のうち35枚。間に合うのか、とつぶやきながら、組み立て完了まで2週間かかりました。
BANNO
ひとりで2週間、ひたすらはんだ付け。根性ですね。
BANNO
光の粒への配線は、どうなっているんですか?180個それぞれに線を引くんですか?
HIGEDARUMA
そこが面白いところで。この光の粒は、数珠つなぎで使うんです。
HIGEDARUMA
1番目の粒が色の指示を受け取って、自分の分を取ったら、残りを2番目に渡す。伝言ゲームみたいに、順番に送っていくんですよ。
BANNO
なるほど。それなら、指示を送る線は1本で済むんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。ただ、180個を一筆書きでつなぐ順番を決めるのが大変で、球の表面にらせん状に通しています。
HIGEDARUMA
そこで作者は、どの向きでも板をつなげて、組み立てた後で入口と出口を決められる仕掛けを、板に作り込みました。
HIGEDARUMA
作者は、これが無かったら経路が複雑すぎて、多分完成しなかった、と書いているんです。
BANNO
先回りの工夫が、完成を救ったんですね。
BANNO
途中で、失敗はなかったんですか?
HIGEDARUMA
ありました。部品を板に付けるのに、ホットプレートで豪快に温めたら、熱に弱い光の粒が傷んで、赤が出なくなったんです。
HIGEDARUMA
結局、8個ほど交換する羽目に。
HIGEDARUMA
さらに、部品のサイズを注文で間違えて、0.6ミリ×0.3ミリという、ごま粒より小さい部品が届いたそうです。
BANNO
ごま粒より小さい部品を、180個も付けたんですか?
HIGEDARUMA
はい。泣く泣く根性でつけ切ったぞ、だそうです。
BANNO
ホットプレートで焼いちゃうあたり、ちょっと親近感がわきますね。
HIGEDARUMA
極めつけは完成直前。数珠の後ろのほうの光が、ちかちか点滅して、色が化けてしまったんです。
HIGEDARUMA
オシロスコープという、電気の揺れを目で見る測定器をつないだら、すぐ原因がわかりました。
HIGEDARUMA
電気の基準になる線が、ノイズという余計な電気の揺れで、ふらついていたんです。その線を何か所か補強して解決しました。
BANNO
道具を持っていたから、すぐ見つけられたんですね。
HIGEDARUMA
作者も、測定器大事ですね、無かったら応募できていなかったかも、と書いています。
BANNO
完成した球には、どうやって絵を描くんですか?
HIGEDARUMA
頭脳は、M5 ATOM Liteという、親指くらいの小さなコンピュータです。5ボルトの電源につないで、180枚に色の指示を送ります。
HIGEDARUMA
地球や星などの光らせ方は、この小さなコンピュータに組み込んであるので、電源を入れるだけで動くんです。
BANNO
じゃあ、新しい絵を描きたいときは、どうするんですか?
HIGEDARUMA
そこが球の難しいところで。丸いと、どの粒が何番なのか、すごく分かりにくいんです。
HIGEDARUMA
そこで作者は、パソコン用の制御ソフトも作りました。展開図の上で色を塗ると、その色がすぐに球に映るんです。
BANNO
地図を塗ると、地球儀の色が変わるイメージですね。それならデザインしやすそう。
HIGEDARUMA
つなぎ方は、ケーブルでも、インターネット経由でもいけます。MQTTという、ネット越しに短いメッセージを送る仕組みを使っているんです。
BANNO
実際、どんな絵が出せるんですか?
HIGEDARUMA
地球がくるくる回ったり、花火が上がったり。ハロウィンのかぼちゃに、きらきらの星。
HIGEDARUMA
ビンゴの数字や、じゃんけんの手。時計にもなるんですよ。
BANNO
部屋に1つあったら、ずっと眺めちゃいますね。お店の飾りにもよさそうです。
BANNO
展示会でも、たくさんの人が足を止めたそうですね。
HIGEDARUMA
ただ、大阪での展示初日、180個のうち12番目の粒が壊れてしまって。
BANNO
12番目だと、伝言ゲームがそこで止まっちゃいますね。
HIGEDARUMA
そうなんです。そこから先が、ほぼ全部消えてしまった。でも作者は、ほかのブースからはんだごてを借りて、その場で修理したんです。
BANNO
その場で手術!ものづくりの人たちの助け合い、いいですね。
BANNO
そしてこの作品は、マウザーメイクアワード2023で、特別賞を受賞しています。
HIGEDARUMA
審査員からは、基板の発注からフルカラーLEDを光らせるまでの熱量がすごい、と評価されたそうです。
HIGEDARUMA
さらに作者は、作り方の記事と、基板の設計データを公開しました。
HIGEDARUMA
イベントで基板をもらった人が、1か月半かけて同じ球を完成させて、光るサッカーボールにアレンジしたんです。
BANNO
兄弟が生まれたんですね。作者もうれしかったでしょうね。
HIGEDARUMA
ただ、180面体はさすがにハードルが高い、という声も多くて。
HIGEDARUMA
そこで作者は、32面の小さな弟分も作りました。こちらは製作時間が3日ほどで、キットも販売されています。
BANNO
2週間が3日に。それなら、私にも手が届きそうです。
HIGEDARUMA
使われている道具は、この6つです。
BANNO
作者は、TakSanさん。
BANNO
今日できる、いちばん小さな一歩です。
BANNO
まずは作品ページから、デモ動画を見てみてください。180個の光が地球になる瞬間は、必見です。
HIGEDARUMA
作ってみたくなったら、光の粒をひとつ、小さなコンピュータにつないで、好きな色に光らせてみてください。そこから、180個への道が始まります。
BANNO
1個から始めて、いつか180個。夢がありますね。
BANNO
さて、今日紹介したのは、三角形の板180枚で作った光る地球儀、180面体球形LEDディスプレイでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
180面体球形LEDディスプレイ
作者: TakSan
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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