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電卓みたいな古い機械で漢字のツイート「Twitter for PC-G850」|ポケコンでモテたい!

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紹介した作品: Twitter for PC-G850ProtoPedia での反響: 閲覧 3,800+ ・ ♥ 7

ProtoPedia の作品「Twitter for PC-G850」を2人のMCが紹介。漢字も出せずネットにもつながらない2009年のポケットコンピュータに、フリスクのケースほどのカートリッジを差すだけで、ツイートの検索・表示と漢字まじりの投稿ができるようになります。漢字だけを点の絵で送る「ソフトウェア漢字ROM」の工夫、メモリ不足の乗り越え方、落選から3冠、API終了での凍結まで、あしかけ8年の個人開発を紹介します。

チャプター

文字起こし(90行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、Twitter for PC-G850。
BANNO
写真には、電卓みたいな黒い機械と、白い小さな箱が並んでいますね。
HIGEDARUMA
その白い箱を差すと、この古い機械でTwitterができるようになるんです。
BANNO
えっ、この電卓みたいな機械で、ツイートまでできるんですか?
HIGEDARUMA
はい。しかも漢字まじりで読めて、漢字まじりで投稿できるんですよ。
HIGEDARUMA
作ったのは菅原政行さん。作り始めたときは学生で、1人で作った作品です。
BANNO
そもそも、この黒い機械は何なんでしょうか?
HIGEDARUMA
ポケットコンピュータ、略してポケコンです。シャープのPC-G850という機種なんです。
HIGEDARUMA
関数電卓を横に長くしたような形で、自分でプログラムを書いて動かせる、手のひらサイズのコンピュータなんですよ。
BANNO
電卓なのに、プログラムが書けるんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。写真の機種は2009年に発売されて、2015年に作られなくなりました。
BANNO
じゃあ、できないことも多いんでしょうか?
HIGEDARUMA
画面は横144個、縦48個の点だけ。出せる文字は、英数字と半角のカタカナだけなんです。
HIGEDARUMA
漢字もひらがなも出せませんし、インターネットにもつながりません。
BANNO
それでTwitterは、さすがに無理がありますよね。どうして作ろうと思ったんですか?
HIGEDARUMA
作者の解説記事のタイトルが、「ポケコンでモテたい話」なんです。
BANNO
モテたい!まさかの理由ですね。
HIGEDARUMA
発表のスライドには、「ポケコンは過去の遺物なのか?」「否!」「そうだ、Twitterができれば」と書いてあります。
BANNO
冗談っぽいけど、本気ですね。できない機械に、あえてやらせるのが挑戦なんですね。
BANNO
実際には、どんなふうに動くんでしょうか?
HIGEDARUMA
デモ動画で見てみましょう。まず白い箱、カートリッジをポケコンの横の差し込み口につなぎます。
HIGEDARUMA
そしてポケコンで、短いプログラムを動かします。打ち込む量は1.3キロバイト、半角の文字で約1300文字ぶんなんです。
BANNO
それなら手で打ち込めそうですね。
HIGEDARUMA
Sのキーを押すと検索の画面になります。言葉を入れてEnterを押すと、ツイートを15件取ってきてくれるんです。
BANNO
あっ、小さな画面に漢字が並んでいます。さっき、漢字は出せないって言ってましたよね?
HIGEDARUMA
そこがこの作品のいちばんの見どころなんです。仕組みはあとでじっくり話しますね。
HIGEDARUMA
次はツイートです。Nのキーを押して、半角のカタカナで文を打ちます。
HIGEDARUMA
Enterを押すと、カートリッジが漢字まじりの文に直して、投稿してくれるんですよ。
BANNO
スマホでも、ちゃんと届いているんでしょうか?
HIGEDARUMA
動画ではスマホで確かめていて、投稿元に「Twitter for PC-G850」と表示されているんです。
BANNO
電卓みたいな機械から、本当にツイートが届いているんですね。これは感動です。
BANNO
では、白い箱の中には何が入っているんでしょうか?
HIGEDARUMA
中身は、ESP32という、Wi-Fiがついた小さなコンピュータの基板です。それをフリスクのケースに収めています。
HIGEDARUMA
ポケコンは「検索して」「投稿して」と指示を出して、画面に表示するだけ。
HIGEDARUMA
ネットとのやり取りは、全部カートリッジが受け持つんです。
BANNO
途中に別のパソコンやサーバーは置いていないんですか?
HIGEDARUMA
置いていません。作者は、Wi-Fiと電源さえあれば単体で動くべき、と書いています。
BANNO
持ち歩けるのが、ポケコンのいいところですもんね。
BANNO
なるほど。それで、漢字はどうやって出しているんでしょうか?
HIGEDARUMA
ここで壁になったのが、ポケコンとカートリッジをつなぐ線の遅さです。1秒に送れるのは、約960文字ぶんなんです。
HIGEDARUMA
漢字を出すには、文字を点の絵に描いて送るしかありません。でも全部を絵で送ると、画面1枚を描き直すのに約3秒かかるんです。
BANNO
3秒も待つのは、ちょっと長いですね。
HIGEDARUMA
作者も、「全画面の書き換えに3秒かかるのは、現代人には耐えられません」と書いているんですよ。
HIGEDARUMA
そこで文字の種類ごとに、送り方を変えました。点の絵で送るのは漢字だけです。
HIGEDARUMA
ひらがなは、同じ読みの半角カタカナの番号で送って、ポケコン側のプログラムがひらがなの形に描き直すんです。
HIGEDARUMA
英数字は、ポケコンがもともと持っている文字をそのまま使います。作者はこの仕組みを、ソフトウェア漢字ROMと呼んでいます。
BANNO
時間のかかる漢字だけに手間をかけて、ほかは軽く送るんですね。うまい分け方です。
BANNO
投稿するときは、カタカナから漢字にどうやって直すんですか?
HIGEDARUMA
Google日本語入力という、ネットの漢字変換サービスに問い合わせているんです。
HIGEDARUMA
辞書を自分で持たなくても、変換の結果が返ってくるんですよ。
HIGEDARUMA
作品ページには、「たまに変換が残念なのはご愛嬌」とも書いてあります。
BANNO
正直でいいですね。ほかに、苦労したところはありましたか?
HIGEDARUMA
Twitterから返ってくるデータが大きすぎて、カートリッジのメモリからあふれ、突然再起動してしまったそうです。
HIGEDARUMA
そこで、名前や本文など、表示に必要な部分だけを拾って、残りは読みながら捨てる仕組みを自分で書いたんです。
BANNO
全部を覚えようとしないで、要るところだけメモするんですね。人間の勉強と同じです。
BANNO
この作品は、すぐに完成したんでしょうか?
HIGEDARUMA
思いついたのは2018年、広島のハッカソンの懇親会だったそうです。ハッカソンは、短い期間で作品を作るイベントですね。
HIGEDARUMA
その年の秋に応募したコンテストでは、落選しています。
BANNO
落選しても、やめなかったんですね。
HIGEDARUMA
はい。審査のコメントによると、1年間、授業が終わるとすぐ開発に打ち込んだそうなんです。
HIGEDARUMA
そして2019年のヒーローズ・リーグで、MAヒーロー、オレトクヒーロー、学生ヒーローの3つの賞を受けました。
BANNO
落選から3冠ですか。すごい逆転ですね。偉い!
HIGEDARUMA
2022年には、フレッシュITあわ〜どというITのコンテストの作品部門で、3位にも入っています。
BANNO
今もこのポケコンで、ツイートできるんでしょうか?
HIGEDARUMA
実は、できないんです。2023年ごろ、TwitterのAPIの提供が終わって、開発を止めました。
HIGEDARUMA
APIというのは、外のプログラムがサービスを使うための窓口のことなんです。
BANNO
そうだったんですね。それは少し寂しいです。
HIGEDARUMA
でも日本語の表示と入力の部分は、ほかの作品にも使えるように切り分けているそうです。
HIGEDARUMA
そして2025年、デブサミというエンジニアの大きな集まりで、この作品について発表しました。
HIGEDARUMA
題は「Sunrise to Sunset」。日の出から日の入りまで、という意味なんです。
BANNO
思いついてから、もう何年になるんでしょうか?
HIGEDARUMA
作者はスライドに、「あしかけ8年」と書いています。そして最後に、こんな言葉を残しているんです。
HIGEDARUMA
「誰にも使われないかもしれない。誰も幸せにしないかもしれない。でもそれでいい、それが個人開発」
BANNO
かっこいいですね。好きだから作る、それだけで十分なんですね。
HIGEDARUMA
「制約が厳しいからこそ、研ぎ澄まされた表現ができる」とも書いています。漢字の送り分けは、まさにその例なんです。
BANNO
こうして見ると、古い機械に新しい役目をあげる作品なんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。できないことが多い機械ほど、工夫のしがいがあるんですよ。
BANNO
自分でも作ってみたくなった人は、どこから始めればいいでしょうか?
HIGEDARUMA
入口は、この作品の頭脳と同じESP32です。電子工作のお店や通販で、手ごろな値段で手に入りますよ。
HIGEDARUMA
まずはWi-Fiにつないで、天気予報を取ってきて表示する。ネットから情報を取ってくるところは、この作品と同じ仕組みなんです。
BANNO
作るのはまだ先、という人にも、今日できる一歩がありますよ。
BANNO
引き出しや押し入れの古い電卓やゲーム機を1つ出して、ネットにつながったら何をさせたいか、考えてみてください。
HIGEDARUMA
いい一歩ですね。思いついたら、ProtoPediaで似た作品を探してみるのもおすすめです。
BANNO
作ったのは、菅原政行さんです。
HIGEDARUMA
作品ページのほか、解説記事やソースコード、発表スライドも公開されています。ぜひのぞいてみてください。
BANNO
さて、今日紹介したのは、古いポケコンでTwitterができるカートリッジ、Twitter for PC-G850でした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
Twitter for PC-G850
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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