光る泡で立体を描く水槽「Glowing Air-Bubble 3D display」|1994年のアイデアを構想29年目に形に
ProtoPedia の作品「Glowing Air-Bubble 3D display」を2人のMCが初心者目線で紹介。透明な水槽の底に並んだ64個の穴から、電気で開け閉めする弁で泡を出し分け、光る泡の粒で立体の形を描くディスプレイです。電光掲示板の点を泡に置き換える発想、時間をずらして泡の段を重ねる仕組み、小さなコンピューター1つと通販の部品で作れること、揺らぎを魅力に変えた考え方、そして1994年のスケッチから構想29年目にたどり着くまでの物語まで。
チャプター
0:00オープニング0:20光る泡で、立体を描く1:08幅19cm × 高さ29cmの水槽2:24電光掲示板の、点々と同じ4:11頭脳は、小さなコンピューター1つ5:04泡の揺らぎは、完璧には止められない5:551994年、アイデアシートに描いた7:21ヒーローズ・リーグ 2022 で3つの賞7:55一歩目: 眠っているアイデアを1つ8:41エンディング
文字起こし(85行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、Glowing Air-Bubble 3D display。
- BANNO
- グローイング・エアバブル。光る、空気の泡、ですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。透明な水槽の中を昇っていく泡の粒で、立体の形を描くディスプレイなんですよ。
- BANNO
- 泡で形を描く?画面じゃなくて、泡で?
- HIGEDARUMA
- はい。しかも1994年に描いたアイデアを、構想29年目に、作者が一人で形にした作品なんです。
- BANNO
- 29年!今日はその泡の話、じっくり聞かせてください。
- BANNO
- まず、どんな見た目なのか教えてください。
- HIGEDARUMA
- 大きさは幅19センチ、高さ29センチくらい。両手で抱えられるほどの、透明な水槽です。
- HIGEDARUMA
- その底から、小さな泡がぽこぽこと昇ってくるんです。
- BANNO
- 水槽の泡なら、熱帯魚の水槽でも見ますけど。
- HIGEDARUMA
- そこが違うんです。泡の粒が光りながら並んで、ボールのような丸い形が、水の中に浮かぶんですよ。
- BANNO
- えっ、泡がまとまって、形のまま昇っていくんですか?
- HIGEDARUMA
- そうです。形を保ったまま上へ昇って、てっぺんで消えていきます。
- HIGEDARUMA
- 光の色も、青や赤、紫に変わるんです。
- BANNO
- 幻想的ですね。見せられる形は、何種類くらいあるんですか?
- HIGEDARUMA
- 作者が入れた表示は、41種類です。文字や、らせんのような形もあるんですよ。
- BANNO
- 実物を見た人の反応も気になります。
- HIGEDARUMA
- 名古屋の科学館などで、ほぼ1か月展示されたんです。写真では、大人も子どもも足を止めて見入っていますね。
- BANNO
- わかります。泡がふわっと昇っていたら、ずっと見ちゃいますよね。
- BANNO
- でも、ここが一番の謎です。泡で、どうやって形を作るんですか?
- HIGEDARUMA
- 駅の電光掲示板を思い出してください。小さな光の点がたくさん並んで、文字になっていますよね。
- BANNO
- はい、点々の集まりで文字になっていますね。
- HIGEDARUMA
- あの点の1つ1つを、泡にしたのがこの作品なんです。
- HIGEDARUMA
- 水槽の底に、縦8個、横8個。全部で64個の、小さな穴が並んでいます。
- BANNO
- 64個の穴から、全部いっぺんに泡が出るんですか?
- HIGEDARUMA
- いいえ。穴ごとに、電気で開け閉めできる小さな弁が付いているんです。空気の蛇口だと思ってください。
- HIGEDARUMA
- どの蛇口を開けるかで、泡の点が出る場所が決まります。
- BANNO
- なるほど、上から見て、どこに点を打つかを選ぶんですね。
- BANNO
- でも、それだと平らな絵になりませんか?立体になるのは、どうしてですか?
- HIGEDARUMA
- ここがうまいところで、時間をずらして泡を出すんです。
- HIGEDARUMA
- 先に出した泡はもう上にいて、あとから出した泡はまだ下にいる。それで泡の段が、何段にも重なるんですよ。
- BANNO
- あっ、1段ずつ絵を重ねて、立体にするんですね!
- HIGEDARUMA
- そのとおりです。段ごとの絵を、タイミングで積み上げているんです。
- BANNO
- でも泡って、すぐ上まで行っちゃいそうです。
- HIGEDARUMA
- そこで、中の液は水ではなく、グリセリンなんです。水よりとろっとした液で、泡がゆっくり昇るんですよ。
- HIGEDARUMA
- それを下から、64個の色つきのLEDで照らして、泡をきらきら光らせています。
- BANNO
- ゆっくり昇るから、形として目で追えるんですね。
- BANNO
- それだけの数を動かすのって、大がかりな機械なんでしょうか。
- HIGEDARUMA
- 頭脳は、ESP32という、Wi-Fi付きの小さなコンピューター1つだけなんです。
- HIGEDARUMA
- これが、64個の蛇口と64個のLEDを、まとめて動かしています。
- BANNO
- 1つで、合わせて128個も!
- HIGEDARUMA
- しかも、スマホのブラウザから、表示する文字や動きの設定を変えられるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 蛇口が何回動いたかと気温も記録していて、手入れの目安に使っているんです。
- BANNO
- 部品は、特別に作ってもらったものですか?
- HIGEDARUMA
- それが、電子部品も、蛇口も、空気の管も、通販で買える普通の部品なんです。
- HIGEDARUMA
- 箱は、レーザーで切った板を組み立てています。
- BANNO
- 特別な工場がなくても、ここまで作れるんですね。
- BANNO
- とはいえ、相手は泡ですよね。思いどおりに動いてくれるんでしょうか。
- HIGEDARUMA
- 作者もそこは正直に書いています。泡には自然の揺らぎがあって、完璧にそろえるのは難しい、と。
- BANNO
- やっぱり、形が崩れちゃうんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。でも作者は、そこで発想を変えたんです。
- HIGEDARUMA
- 昇りながら毎回ちがう崩れ方をする。季節や気温で、ゆったり感も変わる。
- HIGEDARUMA
- それこそ、デジタルの画面には無い、この作品の本質だと気づいたんですよ。
- BANNO
- 欠点だと思っていたところが、いちばんの魅力になったんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。同じ作り手として、ぐっとくる考え方なんですよ。
- BANNO
- 画面の表示は何度見ても同じですけど、この泡は、今この瞬間だけの景色なんですね。
- BANNO
- それにしても、29年って、どういうことなんですか?
- HIGEDARUMA
- 1994年に作者が、こんなモノがあったら、とアイデアシートにイラストを描いたのが始まりなんです。
- HIGEDARUMA
- でも当時は、作るだけの技術も時間も無かった。それで、長いあいだ頭の片隅にしまっていたそうです。
- BANNO
- わかります。思いついたまま、しまってあるアイデアって、ありますよね。
- HIGEDARUMA
- 転機は、通販で、簡単で安い電気の弁が買えると知ったことでした。
- HIGEDARUMA
- そこから作り始めて、構想26年目の2019年に、泡で時刻を見せる時計、ver.1が完成したんです。
- BANNO
- そこから、さらに作り直していったんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。ver.2で表示をきれいにして、ver.3で4文字を同時に出せるようにしました。
- HIGEDARUMA
- そして今回のver.4で、ついに立体です。穴の数はver.2の8倍になりました。
- BANNO
- 構想29年目で、昔の自分が描いたアイデアを、全部形にしたんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者は、回路もソフトもプロではない個人だそうです。
- HIGEDARUMA
- ここまで作れたのは、誰でも使える作り方の情報と、安くて品ぞろえの多い通販のおかげだ、と書いています。
- BANNO
- 道具がそろった今だから、昔の夢に手が届いたんですね。
- BANNO
- この作品、賞もたくさんもらっているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。ヒーローズ・リーグ2022という作品コンテストで、3つの賞を受けています。
- HIGEDARUMA
- 審査会では、30年越しのプロジェクトに生き様を感じた、という言葉もあったそうです。
- BANNO
- 作者ご本人は、なんと言っていたんですか?
- HIGEDARUMA
- 3年目の正直となりました、と。何度も挑戦を重ねての受賞だったんですよ。
- BANNO
- あきらめずに作り続けた人の言葉は、重みが違いますね。
- BANNO
- さて、今日の一歩です。昔思いついて、しまったままのアイデアを、1つ思い出してみてください。
- HIGEDARUMA
- それから、今なら通販でどんな部品が買えるか、調べてみてください。作者も、そこが転機でした。
- BANNO
- 作ってみたい人は、どこから始めればいいでしょう?
- HIGEDARUMA
- まずは小さなコンピューターで、LEDを1個光らせるところから。この作品も、その積み重ねなんですよ。
- BANNO
- 作品ページと、作者のYouTubeチャンネルは、概要欄に置いておきますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、光る泡で立体を描く、Glowing Air-Bubble 3D displayでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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