片目の前にカンペが浮かぶ「パワポ用カンペスカウター」|スマートグラスが買えないなら作る
ProtoPedia の作品「パワポ用カンペスカウター」を2人のMCが初心者目線で紹介。プレゼンでうつむいてしまう悩みから、PowerPoint のノート(カンペ)を片目の前に映すスカウターと、スライドを操作するリモコンを自作した作品です。パソコン・リモコン・スカウターの3つで情報をリレーする仕組み、会場のWi-Fiに頼らないBluetooth(BLE)、ハーフミラーで景色の上に文字が浮かぶ見え方、100円ショップのヘッドバンドまで。
チャプター
0:00オープニング0:20片目の前に、カンペが浮かぶ1:21悩み: うつむいてしゃべってしまう2:35ボタン1つで、スライドとカンペが一緒に進む5:14自作できる部品で、現実的に7:35苦手を、道具と笑いで乗り越える8:31エンディング
文字起こし(82行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、パワポ用カンペスカウター。
- BANNO
- うわっ、この写真の人、頭に変わった機械をつけて、手にはピストルみたいなものを持ってますね。
- HIGEDARUMA
- はい。頭につけているのがスカウター、手に持っているのがリモコンなんです。
- BANNO
- スカウターって、漫画のドラゴンボールで、片目にかけている小さな画面ですよね?
- HIGEDARUMA
- そうです。あの見た目で、発表のカンペを目の前に映す道具なんですよ。
- BANNO
- カンペ。発表のときに見る、話すことのメモですね。
- HIGEDARUMA
- しかも手元のリモコンで、スライドを進めることもできます。
- BANNO
- 作者いわく、これで登壇すれば、つかみはOK。出オチとも言います、だそうです。
- HIGEDARUMA
- 自分でオチまでつけているの、好きですねえ。
- BANNO
- でも、カンペを目の前に映したいって、どんな悩みから来ているんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 作者の西村備山さんは、プレゼンが苦手で、うつむいてしゃべりがちなんだそうです。
- BANNO
- あー、分かります。私もイベントの司会で、登壇する人をたくさん見てきました。
- BANNO
- 原稿やパソコンの画面ばかり見て、ずっと下を向いて話す人、本当に多いんですよ。
- HIGEDARUMA
- 聞いている側からすると、顔が見えないと、話が入ってきにくいんですよね。
- BANNO
- そうなんです。前を向いたままメモが見られたら、いいですよね。
- HIGEDARUMA
- そこで作者が考えたのが、スマートグラスです。レンズに文字や映像が映る、画面つきの眼鏡ですね。
- BANNO
- それなら前を向いたまま読めますね。買えばいいんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- それが、買うお金が無かったので、自分で作ったそうなんです。
- BANNO
- 買えないなら作る! ものづくりの人らしいですね。
- HIGEDARUMA
- ちなみにカンペには、PowerPointのノート欄に書いたメモを使います。
- BANNO
- ノート欄って、スライドの下にある、発表者だけが見るメモの欄ですよね。
- HIGEDARUMA
- そうです。ついでにスライド送りの機能も欲しくなって、リモコンも作ったんですよ。
- BANNO
- 実際には、どんなふうに動くんですか?
- HIGEDARUMA
- まず具体例からいきますね。手元のリモコンのボタンを押すと、スライドが次に進みます。
- HIGEDARUMA
- 同時に、頭のスカウターの画面に、次のスライドのカンペが出るんです。
- BANNO
- ボタンひとつで、スライドとカンペが一緒に切り替わるんですね。
- HIGEDARUMA
- 部品は3つです。パソコンのプログラム、手に持つリモコン、頭のスカウター。
- HIGEDARUMA
- パソコンがカンペの文字を取り出してリモコンに送り、リモコンがスカウターに渡す。リレーみたいな仕組みなんですよ。
- BANNO
- パソコンとリモコンは、どうやってつながっているんですか?
- HIGEDARUMA
- Bluetoothの省電力版、BLEという無線です。ワイヤレスイヤホンと同じ仲間ですね。
- BANNO
- Wi-Fiじゃないんですね。
- HIGEDARUMA
- 発表会場のWi-Fiは、作者いわく、たいていアウェイ。当てにできないので、避けたんです。
- BANNO
- 分かります! 本番だけネットがつながらないの、イベントあるあるです。
- HIGEDARUMA
- リモコンとスカウターのあいだは、ケーブル1本でつないでいます。
- BANNO
- そこは無線じゃないんですか?
- HIGEDARUMA
- 頭をなるべく軽くするために、電池は手元のリモコンに入れて、ケーブルで電気も送っているんです。
- HIGEDARUMA
- 作者の動画では、頭にケーブルを刺すのがサイバーパンクっぽくて良い、とも言っていますね。
- BANNO
- そこも楽しんでいるんですね。
- BANNO
- 画面には、どれくらいの文字が出るんですか?
- HIGEDARUMA
- 画面は1.69インチ、対角線で4センチちょっとです。日本語で10行かける11列、110文字くらいですね。
- BANNO
- 110文字。ちょっと少なくないですか?
- HIGEDARUMA
- 作者の動画では、カンペはそれくらいでいい、原稿を読んでちゃだめ、と言っているんです。
- BANNO
- たしかに! 全部読むんじゃなくて、話す順番のメモでいいんですね。
- BANNO
- でも、目の前に画面があったら、前が見えなくなりませんか?
- HIGEDARUMA
- そこが光の工夫なんです。半分透けて、半分映る鏡、ハーフミラーを使っています。
- HIGEDARUMA
- 画面の光を、鏡と、薄い板の形をした虫眼鏡、フレネルレンズに通して、ハーフミラーに映すんです。
- HIGEDARUMA
- すると、前の景色の上に、カンペの文字が重なって見えます。目の前20数センチのところに浮かんで見えるそうです。
- BANNO
- 景色が透けて、文字だけ浮かんでいるんですね。それなら聞いている人の顔も見えますね。
- BANNO
- でも市販のスマートグラスと比べると、だいぶごついですよね。
- HIGEDARUMA
- 市販品は、レンズの中に光を通す、とても薄くて特殊な部品を使っていて、個人で作るのは難しいんです。
- HIGEDARUMA
- そこで作者は、ふつうのレンズと鏡を組み合わせる、現実的な道を選んだんです。
- BANNO
- その結果、ごつくなったと。
- HIGEDARUMA
- はい。でも作者は、そのごつさも味として楽しんでいるんですよ。
- BANNO
- 材料は、どんなものを使っているんですか?
- HIGEDARUMA
- 指先サイズの小さなコンピューター、マイコンを2個使っています。リモコン用とスカウター用ですね。
- HIGEDARUMA
- リモコン用は電池が長持ちする省電力のもの、スカウター用は安いもの。役割で選び分けているんです。
- BANNO
- 外側のケースは?
- HIGEDARUMA
- 3Dプリンタで作って、リモコンには金属の板も使っています。これはデザインへのこだわりだそうです。
- HIGEDARUMA
- そしてスカウターのヘッドバンドは、100円ショップで買ったものなんですよ。
- BANNO
- えっ、ヘッドバンドは100円ショップ! 急に親近感がわきますね。
- HIGEDARUMA
- リモコンにはレーザーポインタまで付いています。動画では、衛星レーザー兵器の照準みたいでかっこいい、と。
- BANNO
- 作るのは、大変じゃなかったですか?
- HIGEDARUMA
- パソコン側で、無線を扱う部品と、PowerPointを動かす部品の相性が悪くて、エラーが出たそうです。
- HIGEDARUMA
- そこで設定を少し変えて、2つの仕事を別々の流れに分けて動かし、解決しています。
- BANNO
- うまくいかないところを、一つずつ乗り越えたんですね。
- HIGEDARUMA
- その過程は、作者のブログに、部品ごとの試作として残っているんです。
- BANNO
- しかも作者は正直で、実用性を求めるなら、ふつうにスマートグラスを買ったほうがいい、とも書いているんです。
- HIGEDARUMA
- でも、それはそれとして、この見た目なら、つかみはOKなんですよね。
- BANNO
- そこが評価されて、ヒーローズ・リーグ2025で、エンプレイ賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 講評は、スライドよりも登壇者に釘付けになること間違い無し、だそうです。
- BANNO
- うつむきがちだった人が、会場で一番注目される人になる。いい話ですね。
- BANNO
- 弱点を道具で補って、ついでに笑いも取る。苦手との付き合い方として、すごく素敵だと思います。
- HIGEDARUMA
- ソースコードや、3Dプリント用のデータは、GitHubで公開されています。
- BANNO
- 作品ページや作者のブログのリンクは、概要欄に置いておきますね。
- BANNO
- では、今日の一歩。次に発表するとき、スライドのノート欄に、話す順番を3行だけ書いてみてください。
- HIGEDARUMA
- PowerPointの発表者ツールを使えば、ノートは手元の画面に出ます。それを見ながら、顔を上げて話す練習をしてみましょう。
- BANNO
- 電子工作が好きな人は、公開されているデータを眺めて、自分ならどう作るか考えてみるのも楽しいですよ。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、前を向いたままカンペが読める、パワポ用カンペスカウターでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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