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片目の前にカンペが浮かぶ「パワポ用カンペスカウター」|スマートグラスが買えないなら作る

紹介した作品: パワポ用カンペスカウターProtoPedia での反響: 閲覧 900+ ・ ♥ 26

ProtoPedia の作品「パワポ用カンペスカウター」を2人のMCが初心者目線で紹介。プレゼンでうつむいてしまう悩みから、PowerPoint のノート(カンペ)を片目の前に映すスカウターと、スライドを操作するリモコンを自作した作品です。パソコン・リモコン・スカウターの3つで情報をリレーする仕組み、会場のWi-Fiに頼らないBluetooth(BLE)、ハーフミラーで景色の上に文字が浮かぶ見え方、100円ショップのヘッドバンドまで。

チャプター

文字起こし(82行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、パワポ用カンペスカウター。
BANNO
うわっ、この写真の人、頭に変わった機械をつけて、手にはピストルみたいなものを持ってますね。
HIGEDARUMA
はい。頭につけているのがスカウター、手に持っているのがリモコンなんです。
BANNO
スカウターって、漫画のドラゴンボールで、片目にかけている小さな画面ですよね?
HIGEDARUMA
そうです。あの見た目で、発表のカンペを目の前に映す道具なんですよ。
BANNO
カンペ。発表のときに見る、話すことのメモですね。
HIGEDARUMA
しかも手元のリモコンで、スライドを進めることもできます。
BANNO
作者いわく、これで登壇すれば、つかみはOK。出オチとも言います、だそうです。
HIGEDARUMA
自分でオチまでつけているの、好きですねえ。
BANNO
でも、カンペを目の前に映したいって、どんな悩みから来ているんでしょう?
HIGEDARUMA
作者の西村備山さんは、プレゼンが苦手で、うつむいてしゃべりがちなんだそうです。
BANNO
あー、分かります。私もイベントの司会で、登壇する人をたくさん見てきました。
BANNO
原稿やパソコンの画面ばかり見て、ずっと下を向いて話す人、本当に多いんですよ。
HIGEDARUMA
聞いている側からすると、顔が見えないと、話が入ってきにくいんですよね。
BANNO
そうなんです。前を向いたままメモが見られたら、いいですよね。
HIGEDARUMA
そこで作者が考えたのが、スマートグラスです。レンズに文字や映像が映る、画面つきの眼鏡ですね。
BANNO
それなら前を向いたまま読めますね。買えばいいんじゃないですか?
HIGEDARUMA
それが、買うお金が無かったので、自分で作ったそうなんです。
BANNO
買えないなら作る! ものづくりの人らしいですね。
HIGEDARUMA
ちなみにカンペには、PowerPointのノート欄に書いたメモを使います。
BANNO
ノート欄って、スライドの下にある、発表者だけが見るメモの欄ですよね。
HIGEDARUMA
そうです。ついでにスライド送りの機能も欲しくなって、リモコンも作ったんですよ。
BANNO
実際には、どんなふうに動くんですか?
HIGEDARUMA
まず具体例からいきますね。手元のリモコンのボタンを押すと、スライドが次に進みます。
HIGEDARUMA
同時に、頭のスカウターの画面に、次のスライドのカンペが出るんです。
BANNO
ボタンひとつで、スライドとカンペが一緒に切り替わるんですね。
HIGEDARUMA
部品は3つです。パソコンのプログラム、手に持つリモコン、頭のスカウター。
HIGEDARUMA
パソコンがカンペの文字を取り出してリモコンに送り、リモコンがスカウターに渡す。リレーみたいな仕組みなんですよ。
BANNO
パソコンとリモコンは、どうやってつながっているんですか?
HIGEDARUMA
Bluetoothの省電力版、BLEという無線です。ワイヤレスイヤホンと同じ仲間ですね。
BANNO
Wi-Fiじゃないんですね。
HIGEDARUMA
発表会場のWi-Fiは、作者いわく、たいていアウェイ。当てにできないので、避けたんです。
BANNO
分かります! 本番だけネットがつながらないの、イベントあるあるです。
HIGEDARUMA
リモコンとスカウターのあいだは、ケーブル1本でつないでいます。
BANNO
そこは無線じゃないんですか?
HIGEDARUMA
頭をなるべく軽くするために、電池は手元のリモコンに入れて、ケーブルで電気も送っているんです。
HIGEDARUMA
作者の動画では、頭にケーブルを刺すのがサイバーパンクっぽくて良い、とも言っていますね。
BANNO
そこも楽しんでいるんですね。
BANNO
画面には、どれくらいの文字が出るんですか?
HIGEDARUMA
画面は1.69インチ、対角線で4センチちょっとです。日本語で10行かける11列、110文字くらいですね。
BANNO
110文字。ちょっと少なくないですか?
HIGEDARUMA
作者の動画では、カンペはそれくらいでいい、原稿を読んでちゃだめ、と言っているんです。
BANNO
たしかに! 全部読むんじゃなくて、話す順番のメモでいいんですね。
BANNO
でも、目の前に画面があったら、前が見えなくなりませんか?
HIGEDARUMA
そこが光の工夫なんです。半分透けて、半分映る鏡、ハーフミラーを使っています。
HIGEDARUMA
画面の光を、鏡と、薄い板の形をした虫眼鏡、フレネルレンズに通して、ハーフミラーに映すんです。
HIGEDARUMA
すると、前の景色の上に、カンペの文字が重なって見えます。目の前20数センチのところに浮かんで見えるそうです。
BANNO
景色が透けて、文字だけ浮かんでいるんですね。それなら聞いている人の顔も見えますね。
BANNO
でも市販のスマートグラスと比べると、だいぶごついですよね。
HIGEDARUMA
市販品は、レンズの中に光を通す、とても薄くて特殊な部品を使っていて、個人で作るのは難しいんです。
HIGEDARUMA
そこで作者は、ふつうのレンズと鏡を組み合わせる、現実的な道を選んだんです。
BANNO
その結果、ごつくなったと。
HIGEDARUMA
はい。でも作者は、そのごつさも味として楽しんでいるんですよ。
BANNO
材料は、どんなものを使っているんですか?
HIGEDARUMA
指先サイズの小さなコンピューター、マイコンを2個使っています。リモコン用とスカウター用ですね。
HIGEDARUMA
リモコン用は電池が長持ちする省電力のもの、スカウター用は安いもの。役割で選び分けているんです。
BANNO
外側のケースは?
HIGEDARUMA
3Dプリンタで作って、リモコンには金属の板も使っています。これはデザインへのこだわりだそうです。
HIGEDARUMA
そしてスカウターのヘッドバンドは、100円ショップで買ったものなんですよ。
BANNO
えっ、ヘッドバンドは100円ショップ! 急に親近感がわきますね。
HIGEDARUMA
リモコンにはレーザーポインタまで付いています。動画では、衛星レーザー兵器の照準みたいでかっこいい、と。
BANNO
作るのは、大変じゃなかったですか?
HIGEDARUMA
パソコン側で、無線を扱う部品と、PowerPointを動かす部品の相性が悪くて、エラーが出たそうです。
HIGEDARUMA
そこで設定を少し変えて、2つの仕事を別々の流れに分けて動かし、解決しています。
BANNO
うまくいかないところを、一つずつ乗り越えたんですね。
HIGEDARUMA
その過程は、作者のブログに、部品ごとの試作として残っているんです。
BANNO
しかも作者は正直で、実用性を求めるなら、ふつうにスマートグラスを買ったほうがいい、とも書いているんです。
HIGEDARUMA
でも、それはそれとして、この見た目なら、つかみはOKなんですよね。
BANNO
そこが評価されて、ヒーローズ・リーグ2025で、エンプレイ賞を受賞しています。
HIGEDARUMA
講評は、スライドよりも登壇者に釘付けになること間違い無し、だそうです。
BANNO
うつむきがちだった人が、会場で一番注目される人になる。いい話ですね。
BANNO
弱点を道具で補って、ついでに笑いも取る。苦手との付き合い方として、すごく素敵だと思います。
HIGEDARUMA
ソースコードや、3Dプリント用のデータは、GitHubで公開されています。
BANNO
作品ページや作者のブログのリンクは、概要欄に置いておきますね。
BANNO
では、今日の一歩。次に発表するとき、スライドのノート欄に、話す順番を3行だけ書いてみてください。
HIGEDARUMA
PowerPointの発表者ツールを使えば、ノートは手元の画面に出ます。それを見ながら、顔を上げて話す練習をしてみましょう。
BANNO
電子工作が好きな人は、公開されているデータを眺めて、自分ならどう作るか考えてみるのも楽しいですよ。
BANNO
さて、今日紹介したのは、前を向いたままカンペが読める、パワポ用カンペスカウターでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
パワポ用カンペスカウター
作者: 西村備山
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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