ラジカセに入れるとネットの音楽が流れるカセット「Cassettify」|もしスマホがなかったら?
ProtoPedia の作品「Cassettify」を2人のMCが紹介。見た目は普通のカセットテープなのに、ラジカセやカーステレオに入れて再生ボタンを押すと、インターネットの音楽配信が流れます。中に入っている小さなコンピューターと充電池、プレーヤーを改造せずに『テープのふり』をする仕組み、あえて音質を下げた『エモさアップ』の発想、試作を重ねた道のりと受賞まで紹介します。
チャプター
0:00オープニング0:20入れて再生すると、ネットの音楽が流れる1:06もしスマホがなかったら?1:51ラジカセは改造しない3:52音質ダウン=エモさアップ5:10ダブル受賞5:56スマホ以外の選択肢を考える7:09エンディング
文字起こし(66行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、Cassettify。
- BANNO
- 写真を見ると、普通のカセットテープですよね。緑のラベルがかわいいです。
- HIGEDARUMA
- 見た目はそうなんです。でもラジカセに入れて再生ボタンを押すと、ネットの音楽が流れてくるんですよ。
- BANNO
- えっ、テープに録音した曲じゃなくて、ネットの音楽ですか?
- HIGEDARUMA
- はい。スマホのアプリで聴くような音楽配信が、昔のラジカセから鳴るんです。
- HIGEDARUMA
- 作ったのは中田裕士さん。アイデアから部品づくりまで、1人で作った作品です。
- BANNO
- でも今は、音楽ってスマホで聴きますよね。どうしてカセットなんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- そこがこの作品の出発点なんです。作者はこう書いています。
- HIGEDARUMA
- 「もしこの世にスマホがなかったら、ぼくらは音楽をどのように楽しんでいるのだろう?」
- BANNO
- なるほど。たしかに音楽も写真もニュースも、いまは全部スマホですもんね。
- BANNO
- カセットを知らない方のために言うと、手のひらサイズのテープに音を記録するものなんです。
- HIGEDARUMA
- ラジカセは、ラジオとカセットの再生が1台になった機械ですね。今は押し入れで眠っている家も多いと思います。
- BANNO
- その眠っている機械が、もう一度ネットの音楽を鳴らせたら、ちょっとワクワクしますね。
- BANNO
- でも、どうやって鳴らすんですか?ラジカセのほうを改造するんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- それが、ラジカセは何も改造しないんです。仕掛けは全部、カセットの中にあるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 中身の写真を見てみましょう。元になっているのは、カセットテープアダプターという道具です。
- BANNO
- アダプター、ですか。初めて聞きました。
- HIGEDARUMA
- 昔、車のカーステでスマホの音楽を流すのに使った、コード付きのカセット型の道具なんです。
- HIGEDARUMA
- そこに、切手くらいの小さなコンピューターと、薄い充電池を詰めこんでいます。
- BANNO
- あの小さなケースの中に、コンピューターまで入っているんですか。
- HIGEDARUMA
- このコンピューターがWiFi、つまり無線のネット回線につながって、音楽を受け取ります。
- HIGEDARUMA
- 受け取った音は、カセットの磁気ヘッドから、ラジカセに渡すんです。
- BANNO
- 磁気ヘッドって、何でしょうか?
- HIGEDARUMA
- ラジカセが、テープの音を読み取る部分です。
- HIGEDARUMA
- そこに磁気で音を伝えるので、ラジカセはテープを再生していると思って、そのまま鳴らすんですよ。
- BANNO
- つまり、カセットが「テープのふり」をして、ラジカセをだましているんですね。
- HIGEDARUMA
- その通りです。だから古いラジカセでも、車のカーステでも、学校の放送室のデッキでも使えるんです。
- BANNO
- ネットの音楽を流すプログラムも、作者が一から書いたんですか?
- HIGEDARUMA
- そこは、KaRadio32という、誰でも無料で使える公開のプログラムを使っています。
- HIGEDARUMA
- あるものは上手に借りて、カセットに収めるところに力を注いだんですね。
- BANNO
- 電池は、どのくらいもつんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 小さな充電池をいっぱいに充電して、約30分鳴らせます。充電はスマホと同じように、USBのケーブルでするんです。
- BANNO
- 30分。ちょうどカセットの片面くらいですね。ラベルにも「30min」と書いてあります。
- BANNO
- 作るのは、一回でうまくいったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- いえ、何度も作り直しています。中でも面白いのが、2号機での変更なんです。
- HIGEDARUMA
- 1号機では、音を大きくする専用の部品を入れていました。2号機ではそれを外したんです。
- BANNO
- 部品を外して、大丈夫だったんですか?
- HIGEDARUMA
- 実はコンピューターの中に、デジタルの音を、スピーカーで鳴らせる電気の波に直す機能が元からあったんです。
- HIGEDARUMA
- それを使ったぶん、電池が少し長もちして、費用も下がりました。
- HIGEDARUMA
- ただ、音質は下がりました。作者はそれを「音質ダウン、イコール、エモさアップ」と書いているんですよ。
- BANNO
- エモさアップ!性能が下がったことを、味わいに言いかえちゃったんですね。
- BANNO
- カセットの少しこもった音って、むしろそこがいいんですよね。弱点を価値に変える、うまい発想です。
- HIGEDARUMA
- そのあとも試作をくり返して、第5世代では配線を手でつなぐのをやめ、専用の基板を作りました。
- BANNO
- 基板というのは、部品を並べて載せる板のことですね。
- HIGEDARUMA
- はい。むき出しの線でつなぐより、きれいに小さく収まって、同じものを作りやすくなるんです。
- BANNO
- この作品、コンテストでも評価されているんですよね。
- HIGEDARUMA
- 2018年の、ものづくりのコンテスト、ヒーローズ・リーグで、みんなで選ぶヒーロー賞の第3位と、IoTヒーロー賞の2つを受賞しました。
- BANNO
- 審査のコメントには、「仕組みをアップグレードして、音質がダウングレードしていくこだわりに、まさにWowでした」とあります。
- HIGEDARUMA
- 作品ページには、「失われていく温かさを取り戻したような、でも今時のことができる」という声もありました。
- BANNO
- 懐かしさと新しさのバランス。まさにこの作品の魅力ですね。
- HIGEDARUMA
- ProtoPediaの配信番組でも、2020年と、100回記念の2022年に紹介されているんですよ。
- BANNO
- こうして見ると、便利グッズというより、「問いかけ」の作品なんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。スマホ以外の選択肢を考えるために作った、と作者は書いています。
- BANNO
- 自分で作ってみたくなった人は、どこから始めればいいでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 入口は、この作品の頭脳と同じESP32です。電子工作のお店や通販で手に入りますよ。
- HIGEDARUMA
- そこに今日のKaRadio32を入れると、まずはネットラジオが作れるんです。
- BANNO
- 作るのはまだ先、という人にも、今日できる一歩がありますよ。
- BANNO
- スマホでしていることを1つ選んで、スマホがなかったらどうするか、考えてみてください。
- HIGEDARUMA
- 家や実家にラジカセが眠っていたら、電源を入れてみるのもいいですね。そこから何か思いつくかもしれません。
- BANNO
- 作ったのは、中田裕士さんです。
- HIGEDARUMA
- 作品ページと公式サイトには、中の構造の写真もあります。ぜひのぞいてみてください。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、ラジカセからネットの音楽が流れるカセットテープ、Cassettifyでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
クレジット
紹介した作品声
あなたの作品も、動画で紹介します
ProtoPedia の作品ページの URL を送るだけで、夜のうちに紹介動画に仕上げます。対象は CC BY 4.0 の作品です。
動画をリクエストする


