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時刻の数字が、水に溶けて消える時計「X(r/n)os」|秒針のかわりに水面の波紋

戸田 光紀 (Revetronique) の連続再生 1/1 一覧へ

紹介した作品: X(r/n)osProtoPedia での反響: 閲覧 1,400+ ・ ♥ 14

ProtoPedia の作品「X(r/n)os」を2人のMCが初心者目線で紹介。水槽の上に吊った透明なアクリルの棒を上げ下げして空中に時刻を描き、いらなくなった線は水に沈んで消える。秒は、振動モーターとライトで作る水面の波紋で表す電気仕掛けの時計です。途切れず流れる時間と、数字でしか時をつかめない私たち。そんな作者の問いを、時計専用の部品・ステッピングモーター・振動モーター・Arduino という定番部品の組み合わせで形にした仕組みと、東京大学制作展からアジアデジタルアート大賞展 FUKUOKA 入賞までの歩みまで。

チャプター

文字起こし(72行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、X(r/n)os。
BANNO
時刻の数字が、水に溶けて消える時計?どういうことでしょう。
HIGEDARUMA
透明な棒を吊って、空中に時刻の数字を描くんです。
HIGEDARUMA
その数字が、下の水に沈むと消える。そういう、アートの時計なんですよ。
BANNO
まずは写真を見てみましょう。これ、どこを見ればいいんですか?
HIGEDARUMA
上から順に見ていきますね。いちばん上の棚に、黄色い滑車とモーターがずらっと並んでいます。
HIGEDARUMA
その下の空中に、15:35という時刻が浮かんでいますよね。そして、いちばん下が水槽です。
BANNO
ほんとだ。数字が、宙に浮いているように見えますね。
HIGEDARUMA
この数字の線は、透明なアクリルの棒なんです。ひもで吊って、上げたり下げたりしています。
HIGEDARUMA
電卓の数字と同じで、7本の線を組み合わせて、1つの数字を作っているんですよ。
BANNO
じゃあ、時刻が変わったら、どうなるんですか?
HIGEDARUMA
いらなくなった線の棒が、するすると下りて、水槽の水に入るんです。水に浸かった棒は、すっと見えなくなる。
BANNO
数字が水に溶けていくように見えるわけですね。
BANNO
あれ、でも時計なのに、秒針が見当たらないですね。
HIGEDARUMA
いいところに気づきましたね。秒は、水面の波紋で表しているんです。
BANNO
針でも数字でもなく、波紋で秒。なんだか詩みたいですね。
HIGEDARUMA
大きさは、幅85センチ、高さ80センチ。机に置く大きめの水槽くらいです。
BANNO
でも、どうして数字を水に沈めようと思ったんでしょう?
HIGEDARUMA
作者は、作品のストーリーにこう書いています。
HIGEDARUMA
時は、途切れずに流れている。なのに人は、時刻という区切られた数字でしか、時をつかめない。
HIGEDARUMA
時計は、流れている時から、数字を取り出す装置だ、と。
BANNO
流れと、数字。うーん、もう少しかみ砕くと?
HIGEDARUMA
この作品では、途切れない流れが水、区切られた数字がアクリルの棒です。
BANNO
あ、分かってきました。楽しい1時間はあっという間で、待ち合わせの5分は長く感じますよね。
BANNO
でも時計の数字は、どちらも同じ。本当の時間の感じ方は、数字に入りきらないんですね。
HIGEDARUMA
まさにそれです。だから数字の棒が水に浸かって、すっと消える瞬間がある。
HIGEDARUMA
作者はその現象に、時の一部しかつかめない、人間のさがを感じる、と書いています。
BANNO
時計なのに、時計を疑っている作品なんですね。じっと見ていたくなります。
BANNO
ひげだるまさん、裏側はどうなっているんですか?
HIGEDARUMA
作品ページには、3つの段階が書かれています。順番に見ていきますね。
HIGEDARUMA
1つ目は、時刻を知る部品です。リアルタイムクロックICという、時計専用の小さな部品なんです。
HIGEDARUMA
腕時計の中身のようなもので、電源を切っても、時刻を数え続けてくれるんですよ。
BANNO
2つ目は、あの棒を動かすところですね。
HIGEDARUMA
はい。ステッピングモーターという、決まった角度ずつ、カチッ、カチッと正確に回るモーターを使います。
HIGEDARUMA
モーターが滑車を回すと、ひもが巻き取られて、棒が上がる。逆に回すと、下がるんです。
BANNO
写真の黄色い輪っかが、その滑車なんですね。こんなにたくさん並んでいるんだ。
HIGEDARUMA
1つの数字に7本、それが4桁分。たくさんの棒を、ずらりと並んだ滑車とモーターで動かしているんです。
HIGEDARUMA
棒を1本ずつ、狙った高さでぴたっと止める。ここが腕の見せどころなんですよ。
BANNO
3つ目が、秒の波紋ですね。どうやって水を揺らすんですか?
HIGEDARUMA
スマホのブルブルと同じ、振動モーターです。それで水面を揺らして、上からスポットライトを当てる。
HIGEDARUMA
すると、光った波紋が、静かに広がって見えるんです。
BANNO
スマホの部品で、秒針が作れちゃうんですね。
HIGEDARUMA
全体のまとめ役は、Arduinoです。電子工作の入門で定番の、小さなコンピューターの基板ですね。
BANNO
うわ、裏側は配線がびっしり。表の静けさとのギャップがすごいですね。
BANNO
見た人の反応も、プロトペディアのコメントに残っていますよ。
BANNO
ずっと見ちゃう。時が溶けていくような、不思議な感覚。駅前とかに置いて欲しい。
HIGEDARUMA
子どものころ、パタパタ時計の中身の動きを、何時間も眺めていたのを思い出した、という声もありました。
BANNO
分かります。動く仕掛けって、ずっと見ていられますよね。
BANNO
この作品は、どこで発表されたんですか?
HIGEDARUMA
最初は2017年、東京大学の制作展です。作者の一人は、当時、大学院の研究室にいたそうです。
HIGEDARUMA
そのあと、アジアデジタルアート大賞展 FUKUOKAの、インタラクティブアート部門で入賞しました。
HIGEDARUMA
2019年には、福岡アジア美術館に並んでいます。
BANNO
美術館ですか!電子工作が、そのままアートとして飾られたんですね。
HIGEDARUMA
作家のページによると、海外のアートの賞でも、2つでファイナリストに選ばれているんです。
BANNO
作者は、戸田光紀さん。ユニットの名前で、作品を発表しています。
HIGEDARUMA
プロトペディアには2020年に登録されて、ヒーローズ・リーグ オンライン2020にも参加しています。
BANNO
プロトペディアの配信番組でも、2回取り上げられているんですね。
BANNO
ひげだるまさん、エンジニアとして、この作品のどこにぐっときました?
HIGEDARUMA
使っている部品は、時計の部品、モーター、スマホのブルブル、ライト、そしてArduino。
HIGEDARUMA
どれも、電子工作ではおなじみの定番部品なんです。
HIGEDARUMA
すごいのは、それを水と組み合わせて、問いのある作品にしたこと。発想しだいで、ここまで行けるんですよ。
BANNO
特別な部品じゃなくても、美術館に届くんですね。勇気が出ます。
BANNO
では、今日できる、いちばん小さな一歩です。
BANNO
まずは作品ページのデモ動画で、数字が水に溶ける瞬間を見てみてください。
HIGEDARUMA
作ってみたくなったら、Arduinoとモーターを1個ずつ用意してみてください。
HIGEDARUMA
ひもを巻いて、消しゴムを上げ下げする。それだけでも、この作品の第一歩なんですよ。
BANNO
部屋の時計も、今日はちょっと違って見えそうです。
BANNO
さて、今日紹介したのは、時刻の数字が水に溶けて消える時計、X(r/n)osでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
X(r/n)os
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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