組んだサイコロが画面に現れる「Real -> Virtual 変換システムその1」|29年越しのテレポーテーション研究
ProtoPedia の作品「Real -> Virtual 変換システムその1」を2人のMCが初心者目線で紹介。赤外線で会話するサイコロを組み立てると、その形がそのままパソコンの中の3D空間に現れます。3Dスキャナのように外から測るのではなく、物が自分の形を知っているという発想の転換。LEDを1つずつ光らせて向きを知る仕組み、1995年のTESLA計画から2024年夏のテレポーテーション成功までの物語、今日できる最小の一歩まで。
チャプター
0:00オープニング0:20組み立てた物が、画面の中に現れる1:07① 形を情報として取り出す2:00カメラ・レーザー=表面だけ2:48Mbed=小さなコンピューター5:00あら不思議6:021995年6月 TESLA計画スタート7:28ブロックで小さな形を組む8:30エンディング
文字起こし(77行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、Real -> Virtual 変換システムその1。
- BANNO
- 写真を見ると、カラフルなサイコロが3つ、くっついていますね。
- HIGEDARUMA
- はい。このサイコロを手で組んで、パソコンにおまじない、つまり短い命令を入力して、少し待つんです。
- HIGEDARUMA
- すると、パソコンの画面の中に、組んだのと同じ形が現れるんですよ。
- BANNO
- えっ、カメラで撮っているわけでもないのに、ですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。作者のタカシ ヤマノウエさんが目指しているのは、なんと、テレポーテーションなんですよ。
- BANNO
- テレポーテーションって、物がぱっと消えて、遠くに現れる、あれですか?
- HIGEDARUMA
- 作者の考えは、少し違うんです。物を飛ばすのではなく、物の情報を送るんですよ。
- HIGEDARUMA
- まず、手元の物の形を、全部、情報として取り出します。
- HIGEDARUMA
- その情報を遠くへ送って、向こうにある同じ材料で、同じ物を組み立てるんです。
- BANNO
- あ、それって、レゴの組み立て説明書だけを送って、向こうで同じ物を作ってもらう感じですか?
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。作者は、ファックスやテレビも、一種のテレポーテーションだと書いているんですよ。
- BANNO
- なるほど。紙そのものじゃなくて、書いてある中身が届きますもんね。
- HIGEDARUMA
- 今日の作品は、そのうち、実物の形をパソコンの中に取り込む、送る側の前半なんです。
- BANNO
- でも、形を取り込むだけなら、3Dスキャナーでよくないですか?
- HIGEDARUMA
- いい質問です。カメラやレーザーで測る方法は、表面の形と色しか分からないんです。
- HIGEDARUMA
- 病院のCTやMRIなら中まで見えますが、装置が物よりずっと大きくて、X線や強い磁気の危険もあります。
- BANNO
- たしかに、おもちゃの形を測るのに、病院の機械は大げさですね。
- HIGEDARUMA
- そこで作者は、発想を逆にしたんです。物を、賢い部品で組み立てることにしちゃう。
- HIGEDARUMA
- 部品どうしが、誰と、どうつながっているかを自分で知っていれば、物が自分の形を教えてくれるんですよ。
- BANNO
- 外から測るんじゃなくて、物に聞けばいい、ということですね。
- BANNO
- その賢い部品が、さっきのサイコロなんですね。中はどうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 全部のサイコロに、Mbedという、手のひらより小さなコンピューターが入っているんです。
- HIGEDARUMA
- さらに、6つの面それぞれに、光を出すLEDが4つと、光を受け取るセンサーが一つあります。
- HIGEDARUMA
- サイコロ1つで、LEDが24個、センサーが6個です。
- BANNO
- えっ、サイコロが光るんですか?光ったら、目立っちゃいそうですけど。
- HIGEDARUMA
- 使っているのは赤外線、テレビのリモコンから出ている、目に見えない光なんです。
- HIGEDARUMA
- しかも面は色のシートで覆ってあって、赤外線だけがシートを通り抜けるので、仕組みは外から見えないんですよ。
- BANNO
- 見た目はただのサイコロなのに、中でこっそり会話しているんですね。
- BANNO
- でも、どの面が、どっち向きでくっついたかまで、分かるものなんですか?
- HIGEDARUMA
- ここが一番面白いところです。サイコロは磁石で、90度ずつ、どの向きでもくっつくんです。
- HIGEDARUMA
- くっついたら、相手の面の4つのLEDを、一つずつ順番に光らせてもらいます。
- HIGEDARUMA
- 自分のセンサーに、何番目の光が届いたか。それで、どの面が、どの向きでつながったかが分かるんですよ。
- BANNO
- 暗い部屋で、懐中電灯を一つずつ点けて、どれが見えたかで向きを当てる感じですね。
- HIGEDARUMA
- そうそう、まさにそんな感じです。仕組みが分かると、自分でも作ってみたくなりますよね。
- BANNO
- じゃあ、その情報は、どうやってパソコンまで行くんですか?
- HIGEDARUMA
- 全体の流れは、この図のとおりです。サイコロどうしが赤外線で、バケツリレーのように情報を渡していきます。
- HIGEDARUMA
- そして、一つのサイコロにだけ入っている、M5Atomという無線の部品が、まとめてパソコンへ送るんです。
- HIGEDARUMA
- パソコンは、文章の並びから意味を読み解くのと同じやり方で、つながりの並びから形を組み立てて、立体の絵で表示します。
- BANNO
- サイコロが自分たちの並び方を報告して、パソコンがそれを図面に直してくれるんですね。
- BANNO
- 実際のデモ動画、どんな感じなんですか?
- HIGEDARUMA
- 作者がサイコロを組んで、パソコンにおまじないを入力して、しばらく待ちます。
- HIGEDARUMA
- すると、作者の言葉で、あら不思議。同じ形が、パソコンの中の世界に現れるんです。
- HIGEDARUMA
- 動画では、形を組み替えて、4回続けて試しているんですよ。
- BANNO
- 全部うまくいったんですか?
- HIGEDARUMA
- 3回目は、画面の表示が少し乱れたんです。でも作者は、中身はちゃんと入っています、と正直に説明していました。
- BANNO
- うまくいかないところも隠さないのが、いいですね。
- BANNO
- 展示会でも、人気だったんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- はい。展示を見た人が、20分かかるデモを、40秒に縮めてSNSに投稿していたそうです。
- HIGEDARUMA
- 物理の先生方の集まりでも、たくさんの先生に熱心に説明を聞いてもらえたと、作者は書いています。
- BANNO
- 思わず人に見せたくなる仕掛けなんですね。
- BANNO
- そもそも、作者のヤマノウエさんは、いつからこれを作っているんですか?
- HIGEDARUMA
- 驚かないでくださいね。テスラ計画という名前で始まったのが、1995年の6月なんです。
- BANNO
- えっ、30年近く前じゃないですか。
- HIGEDARUMA
- 北九州の、大学や企業や役所の人が集まるサロンでの議論が始まりだそうです。
- HIGEDARUMA
- サイコロを小さくするために、20年以上、色々なマイコンを試して、ようやく今の形にたどり着いたんですよ。
- BANNO
- 途中で、困ったことはなかったんですか?
- HIGEDARUMA
- たくさんあります。昼間に試したら全く動かず、夜にやったら動いた、なんてことも。
- HIGEDARUMA
- 作者は、強い日差しに含まれる赤外線で、センサーが混乱したのでは、と考えています。
- HIGEDARUMA
- 展示会の最後に、配線のはんだが外れて壊れて、見に来てくれた皆さんに謝ったこともあるんです。
- BANNO
- うわあ、それは悔しいですね。でも、そこでやめなかったんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。そして2024年の夏、受け取る側の装置を加えて、簡単なものですが、テレポーテーションに成功したんです。
- BANNO
- 計画が始まってから、29年。ひとつの夢を、ずっと形にし続けてきたんですね。
- HIGEDARUMA
- ヒーローズ・リーグや、Maker Faireなど、たくさんのイベントにも出展しています。
- HIGEDARUMA
- 使っている素材は、Mbed、M5 Atom Matrix、M5Stamp、それにArduino IDEです。
- BANNO
- 作者は、タカシ ヤマノウエさんです。
- BANNO
- では、今日できる最小の一歩です。
- BANNO
- 家にあるブロックで、小さな形を一つ組んでみてください。
- BANNO
- そして、どのブロックが、どの面で、どっち向きにつながっているかだけを、紙にメモしてみましょう。
- HIGEDARUMA
- そのメモを家族に渡して、同じ形を組んでもらえたら、それが、情報で物を送る、最初の一歩なんです。
- BANNO
- やってみると、どこを書けば伝わるのか、意外と難しくて面白いですよ。
- HIGEDARUMA
- 作品ページと、受け取る側の作品のリンクは、画面に出しておきますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、組み立てたサイコロの形が、そのままパソコンの中に現れる、Real -> Virtual 変換システムその1でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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