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のぞいても空っぽ、なのにネコはいる「ねこはいます。」|床下の磁石と割れ物シールで作る、ARの不思議な箱
ProtoPedia の作品「ねこはいます。 - A Cat Surely in the Box -」を2人のMCが初心者目線で紹介。段ボール箱がひとりでに動くのに、中をのぞくと空っぽ。でもタブレットのカメラ越しに見ると、箱の中でネコが歩いています。きっかけは、展示で箱の中をのぞいた子供をガッカリさせてしまった失敗でした。仕掛けをすべて床下に移し、電磁石で箱を引っぱり、「割れ物注意」シールをARの目印にし、持ち上げるとネコが消える。見る人のやりそうなことを先回りして受け止める、作り直しの工夫を種明かしします。
チャプター
0:00オープニング0:20気配はあるのに、何も居ない1:07タブレット越しに見ると…2:33きっかけは、子供のガッカリ3:44種明かし:全体のしくみ6:55見る人の行動を、先回りする7:48開発素材8:43エンディング
文字起こし(83行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきりふしぎな作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、ねこはいます。 - A Cat Surely in the Box -
- BANNO
- ねこはいます、って言い切ってますね。どんな作品なんですか?
- HIGEDARUMA
- テーブルの上の段ボール箱が、ひとりでにガタッと動いて、ニャーと鳴くんです。
- BANNO
- えっ、中にネコが入ってるんですか?
- HIGEDARUMA
- ところが、中をのぞくと空っぽなんです。何もいない。
- HIGEDARUMA
- でも、タブレットのカメラ越しに見ると、箱の中をネコが歩いているんですよ。
- BANNO
- なにそれ、手品みたい!作ったのは、shikky_labさんです。
- BANNO
- まずは、どんなふうに見えるのか教えてください。
- HIGEDARUMA
- 見た目は、割れ物注意のシールが貼られた、どこにでもある段ボール箱です。
- HIGEDARUMA
- そこにタブレットのカメラを向けると、箱の中に、ネコの姿が映るんです。
- BANNO
- カメラを通すと見える、っていうのは、どういう仕組みなんですか?
- HIGEDARUMA
- ARという技術です。カメラの映像に絵を重ねて、そこに無い物を見えるようにするんですよ。
- BANNO
- スマホの画面で、道ばたにキャラクターが立って見える、あれですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。ここが面白いところで、ネコは箱の中をうろうろ歩くんです。
- HIGEDARUMA
- そして画面のネコが箱の壁にぶつかると、本物の箱が、ガタッと動くんですよ。
- BANNO
- 画面の中のネコに合わせて、現実の箱が動くんですね。それは本当にいるみたい。
- HIGEDARUMA
- 箱の手前には小さな明かりも並んでいて、ネコのいる位置に合わせて光ります。
- BANNO
- じゃあ、気になって箱を持ち上げちゃったら、どうなるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- ネコが、消えるんです。画面からも、いなくなります。
- HIGEDARUMA
- そして箱を置き直すと、登場の動きと一緒に、ネコがまた現れるんですよ。
- BANNO
- 持ち上げると消えて、置くと戻ってくる。ちょっと神秘的ですね。
- HIGEDARUMA
- 作者も、このネコは箱の中でしか存在できないのです、と書いています。
- BANNO
- どうして、こんな作品を作ろうと思ったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 実は、これは作り直した二代目なんです。最初の試作品があったんですよ。
- HIGEDARUMA
- 立体的に見える特別な画面を、窓のように箱の前に置いて、のぞくと中にネコが見える、というものでした。
- BANNO
- やっていることは、今とだいたい同じなんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。ただその試作品は、箱を動かす仕掛けを、箱の中に直接入れていたんです。
- HIGEDARUMA
- それをメイカーフェア東京2023という、ものづくりの展示会に出したときのことです。
- HIGEDARUMA
- ある子供が、箱の中を本当にのぞき込んでしまって。ガッカリさせてしまったそうなんです。
- BANNO
- あー、種が見えちゃったんですね。それは子供も、作った人もつらい。
- HIGEDARUMA
- 作者は、これを教訓にしました。実際に中を見ても何も居ない、なのに居る。
- HIGEDARUMA
- それが作れたら面白い、と考えて、今の形になったんです。
- BANNO
- のぞかれても大丈夫なように、一から作り直したんですね。
- BANNO
- 失敗をそのまま、次の作品の芯にしたのが、いいですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、そろそろ種明かしをお願いします。
- HIGEDARUMA
- 登場するのは2つです。ネコを描くタブレットと、箱を動かす小さなコンピューター。
- HIGEDARUMA
- 小さなコンピューターは、M5StickCというマイコンです。2つは無線でやり取りしています。
- HIGEDARUMA
- 仕事は大きく3つ。ネコを描く、箱を動かす、箱があるかを調べる、です。
- BANNO
- まず一番気になるのは、空っぽの箱がどうやって動くのか、です。
- HIGEDARUMA
- 箱の中は本当に空っぽで、四つの角に磁石が付いているだけなんです。
- HIGEDARUMA
- 動かす仕掛けは、テーブルの布の下に隠してあります。
- HIGEDARUMA
- そこで電磁石をモーターで前後に動かして、上の箱の磁石を引っぱるんですよ。
- BANNO
- 下から磁石で引っぱってるんですか!だから中には何もいらないんですね。
- HIGEDARUMA
- 電磁石というのは、電気を流したときだけ磁石になる部品なんです。
- BANNO
- 普通の磁石じゃなくて、わざわざ電磁石にしたのは、なぜなんですか?
- HIGEDARUMA
- ここにも子供への気づかいがあって。普通の磁石だと、持ち上げようとしたとき、箱が床にくっついてしまうんです。
- BANNO
- 持ち上げたのに動かなかったら、あれ、何か仕掛けがあるな、ってバレちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。電磁石なら電気を切れば磁力が消えるので、すっと持ち上がるんですよ。
- BANNO
- 次は、ネコの描き方です。カメラは、どうやって箱の場所が分かるんですか?
- HIGEDARUMA
- ARでは、カメラが、ここに絵を出す、と覚える目印を使います。ARマーカーと言います。
- HIGEDARUMA
- ふつうは白黒の四角い模様を貼るんですが、それだと箱が急に機械っぽく見えてしまう。
- HIGEDARUMA
- そこで、段ボールによく貼ってある割れ物注意のシールを、いくつか集めて目印にしたんです。
- BANNO
- 見慣れたシールだから、誰も目印だなんて思わない。うまいですね!
- HIGEDARUMA
- 目印を登録するのにはVuforia、ネコを動かすアプリにはUnityという、ゲーム作りの道具を使っています。
- HIGEDARUMA
- ガムテープで細かいところを隠したりして、普通の箱が動いている感じに、とことんこだわったそうです。
- BANNO
- 持ち上げたとき、ネコが消えるのは、どうやって見分けているんですか?
- HIGEDARUMA
- 箱には、もう一つ別の磁石が付いていて、床下のリードスイッチが、それを見張っているんです。
- HIGEDARUMA
- リードスイッチは、磁石が近いとオンになるスイッチです。箱が持ち上がると、オフになる。
- BANNO
- スイッチが切れたら、ネコもいなくなる。そういう約束になってるんですね。
- HIGEDARUMA
- 作るうえで一番やっかいだったのは、箱が本当に動くことだったそうです。
- HIGEDARUMA
- 箱が動くと、貼ってある目印も一緒にずれる。すると、画面のネコまで一緒にずれてしまうんです。
- BANNO
- 箱が動いた分だけ、画面のネコまで一緒に動いちゃう、ってことですか?
- HIGEDARUMA
- そうです。なので壁に当たったときは、アプリの中で、ネコと目印の位置関係をずらして合わせているんですよ。
- BANNO
- こうして聞くと、見る人がやりそうなことを、全部先回りしてるんですね。
- BANNO
- のぞいても空っぽ。持ち上げてもくっつかない。それでも、ネコはいる。
- HIGEDARUMA
- 作り手として刺さるのは、技術を、見せるためじゃなく、隠すために使っているところなんです。
- HIGEDARUMA
- さっきの手前の明かりも、本当は、ネコが神々しく現れる演出のために足したもの。位置を光らせるのはオマケなんだそうです。
- BANNO
- 登場を盛り上げるための明かりだったんですね。こだわりが、かわいいです。
- HIGEDARUMA
- この作品は、コンテストでも評価されているんです。
- HIGEDARUMA
- M5Stack Japan Creativity Contest 2024で斬新アイデア賞。Mouser Make Awards 2024ではファイナリストに選ばれました。
- BANNO
- 斬新アイデア賞、まさにぴったりですね。
- HIGEDARUMA
- 使われている道具は、この5つです。
- HIGEDARUMA
- どれも個人で手に入る道具ばかり。特別な部品より、組み合わせ方と見せ方の工夫が光る作品なんです。
- BANNO
- 作者は、shikky_labさん。
- BANNO
- では、今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 身の回りの物をひとつ選んで、それを初めて見た人が、最初に何をしそうか、ひとつ書き出してみてください。
- HIGEDARUMA
- のぞく、持ち上げる、押してみる。その一つを驚きに変えるにはどうするか。そこから作品が始まります。
- BANNO
- 子供のガッカリから、ここまで来たんですもんね。私も、何かの箱をじっと見たくなりました。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、のぞいても空っぽなのにネコがいる箱、「ねこはいます。」でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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