太陽と星の動きを机の上で再現「動く渾天儀」|古代の天文機械をモーターとスマホで
ProtoPedia の作品「動く渾天儀」を2人のMCが紹介。空を輪っかで表した古代の模型・渾天儀を、2つのモーターで自動で動かし、指定した日時と場所の太陽と星座の動きを再現します。東京の夏至と冬至、北極点の白夜、赤道直下の太陽の違い、M5Stack と Web Bluetooth で動く仕組み、ずっと回る機械ならではの工夫まで紹介します。
チャプター
0:00オープニング0:20渾天儀=空を輪っかで表した模型1:12星座の輪は、1日で1回転3:04最古の記録は紀元前3世紀4:26モーター2つ=星座の輪と太陽6:59授業や展示で、季節の仕組みを見せる7:55今夜5分、空を見上げる8:51エンディング
文字起こし(76行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、動く渾天儀。
- BANNO
- こんてんぎ、ですか?正直、初めて聞く言葉です。
- HIGEDARUMA
- 渾天儀は、空を大きなボールに見立てて、輪っかを組み合わせて作った模型なんです。
- HIGEDARUMA
- この作品は、それをモーターで動かして、太陽と星の動きを再現するんですよ。
- BANNO
- 空の動きを、机の上の機械で見せてくれるんですね。
- BANNO
- 作者の西村さんは、作品ページをこんな問いかけで始めています。「最近、星を眺めましたか?」
- HIGEDARUMA
- ドキッとしますよね。僕も、空を見上げたのはいつだったか思い出せないです。
- BANNO
- では、この渾天儀で、どんなことが分かるんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- まず動き方です。星座が描かれた輪は、1日で1回転します。
- HIGEDARUMA
- そして太陽の役のライトが、星座の輪に沿った通り道を、1年かけて1周するんです。
- BANNO
- 1日の動きと、1年の動きを、1台で見せているんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。たとえば北緯35度、東京や大阪あたりの空に合わせてみます。
- HIGEDARUMA
- 夏至の日は、太陽が1年で一番高い道を通ります。だから昼が長くて、太陽が空高く昇るんです。
- HIGEDARUMA
- 反対に冬至の日は、一番低い道を通ります。昼が短くて、太陽は低いところを動くんですよ。
- BANNO
- 夏は昼が長くて、冬は短い。知ってはいましたけど、太陽の通り道が違うからなんですね。
- BANNO
- では、住んでいる場所が変わると、どうなるんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 外側の縦の輪を傾けると、観測する場所を変えられるんです。まず北極点にしてみます。
- HIGEDARUMA
- 北極点では、星も太陽も、地平線と平行にぐるぐる回ります。
- HIGEDARUMA
- だから夏は太陽が沈まない白夜、冬は太陽が昇らない極夜になるんですよ。
- BANNO
- 白夜って、そういう仕組みだったんですね。言葉は知っていましたが、初めて腹に落ちました。
- HIGEDARUMA
- 今度は赤道の真下です。ここでは星も太陽も、地平線からまっすぐ昇って、まっすぐ沈みます。
- HIGEDARUMA
- 春分と秋分の日には、太陽がちょうど頭の真上を通るんです。
- BANNO
- 同じ太陽なのに、場所によって、空の見え方がこんなに違うんですね。
- BANNO
- 学校で習ったはずなのに、動く模型で見ると、すっと分かります。
- BANNO
- そもそも、渾天儀って、いつごろからあるものなんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 作品ページによると、古代の中国と古代のギリシャで、それぞれ別々に発明されたそうです。
- HIGEDARUMA
- 記録に残る一番古いものは、紀元前3世紀、ギリシャのエラトステネスが作ったとされています。
- HIGEDARUMA
- 中国でも発展して、2世紀には張衡という人が、水の力で動く渾天儀を作ったと伝わっているんです。
- BANNO
- 1800年以上前に、もう自動で動く仕掛けがあったんですか!
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そこで西村さんは、それならモーターで動く渾天儀を作ろう、と思い立ったそうです。
- BANNO
- でも今なら、スマホのアプリでも星の位置は分かりますよね。あえて機械にするのは、なぜでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 作品ページには、機械で表すことで、天体の動きの仕組みがよりよく理解できる、と書かれています。
- BANNO
- 画面で答えを見るのと、目の前で回るのを見るのとでは、分かり方が違うということですね。
- HIGEDARUMA
- 作者のブログには、年を取って冬の寒さがつらくなり、季節の変化を意識するようになった、という話もあるんですよ。
- BANNO
- 季節を気にするようになって、その元にある太陽の動きを知りたくなった。なんだか共感できます。
- BANNO
- では、どうやって動いているんでしょうか?中身が気になります。
- HIGEDARUMA
- 仕組みの中心は、2つのモーターです。1つは星座の輪を回して、もう1つは太陽を動かします。
- HIGEDARUMA
- 使っているのはステッピングモーターです。決まった角度ずつ、カチッ、カチッと正確に回るモーターなんですよ。
- BANNO
- 正確に止まれるから、太陽の位置もぴたっと合わせられるんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。日時と、経度、つまり東西のどのあたりにいるかを入れると、2つのモーターをどれだけ回せばいいかを計算します。
- HIGEDARUMA
- 緯度、つまり赤道からどれだけ北かは、さっきの外側の輪を、手で傾けて合わせるんです。
- BANNO
- 日時はどうやって入れるんでしょうか?本体にボタンがあるんですか?
- HIGEDARUMA
- 頭脳はM5Stackという、画面とボタンが付いた手のひらサイズの小さなコンピューターです。本体だけでも操作できます。
- HIGEDARUMA
- さらに、パソコンやスマホのブラウザで専用のページを開いて、ブルートゥースで日時を送ることもできるんですよ。
- BANNO
- アプリを入れなくても、ブラウザから動かせるのは手軽ですね。
- HIGEDARUMA
- ただ、iPhoneのブラウザはこの仕組みに対応していないので、使えるのはパソコンやアンドロイドのスマホなんです。
- BANNO
- 作るうえで、苦労したところはあったんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- ずっと回り続ける機械なので、配線がだんだんねじれてしまう、という問題があるんです。
- HIGEDARUMA
- そこで、回転式の接点、スリップリングを使っています。回りながらでも、配線をねじらずに電気を送れる部品です。
- HIGEDARUMA
- しかも、太陽のライトに電気を送る分は、小さくするために、バネ入りのピンを使って自作しているんですよ。
- BANNO
- 部品まで自分で作ってしまうんですね。さすがです。
- HIGEDARUMA
- もう1つ、ステッピングモーターは、電源を入れた直後、自分が今どの向きにいるか分からないんです。
- BANNO
- それだと、太陽が今どこにいるか、ずれてしまいますね。
- HIGEDARUMA
- なので、磁石と、磁石に反応するセンサーを付けて、最初の位置を見つける仕組みにしています。
- HIGEDARUMA
- 形は、パソコンで立体を設計して、ベニヤ板をレーザーで切り出して組み立てています。一部は3Dプリンターです。
- HIGEDARUMA
- イベントで見せられるように、分解して持ち運べる作りにもしたそうです。
- BANNO
- ずっと回る、正しい位置に戻る、持ち運べる。見せる道具として、よく考えられていますね。
- BANNO
- これ、どんな場面で活躍しそうでしょうか。
- BANNO
- 私なら、理科の授業や、科学館の展示で見たいです。季節の話が、一気に身近になりますよね。
- HIGEDARUMA
- 親子で、自分の誕生日の空を再現してみるのも楽しそうです。日時を送るだけですからね。
- BANNO
- いいですね。私が生まれた日に太陽がどこにいたか、見てみたいです。
- HIGEDARUMA
- 作ったのは、西村備山さんです。ブログでは、自分のことを組込み系、つまり機械の中に入るプログラムを作る技術者だと書いています。
- HIGEDARUMA
- 2021年には、別の小さなコンピューターと、100円ショップの材料で作った渾天儀を、コンテストで発表していたんですよ。
- BANNO
- 何年も同じテーマを育ててきたんですね。好きなことを形にし続けるのは、すてきです。
- HIGEDARUMA
- この作品は、ヒーローズ・リーグ2026に出展されています。
- BANNO
- 今日の話を聞いて、空や工作が気になってきた人もいると思います。
- BANNO
- まずは、今夜5分だけ、空を見上げてみてください。月や明るい星が、どの方角にあるかを見るだけで大丈夫です。
- HIGEDARUMA
- 作る側の一歩なら、作者のギットハブに、設計や組み立ての手順が公開されています。
- HIGEDARUMA
- いきなり全部じゃなくていいんです。モーターを1つ、1日で1回転させるところから始めてみてください。
- BANNO
- 作品ページには、季節ごとの太陽の道の写真もたくさんあります。ぜひのぞいてみてください。
- HIGEDARUMA
- 西村さんは作品ページを、たまにはゆっくり星空を眺めてみるのも良いかもしれません、と結んでいます。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、太陽と星の動きをモーターで再現する、動く渾天儀でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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