置くと光る、漆と貝殻の玉「電脳漆繭玉」|伝統工芸と電子工作でつくる灯り
ProtoPedia の作品「電脳漆繭玉」を2人のMCが初心者目線で紹介。お椀の塗りでおなじみの漆と、貝殻の虹色を貼る螺鈿で仕上げた手のひらサイズの玉が、台に置くと内側から呼吸するように光り、持ち上げると消えます。スマホの置くだけ充電と同じワイヤレス給電でコードを無くした仕組み、光を通さない漆を光らせる工夫、3Dプリントの形に漆を塗り重ねる全8段階の工程、そして『理系じゃない人にも電子工作の楽しさを』という作者の思いまで。
チャプター
0:00オープニング0:20伝統工芸と電子回路で作るアート1:19電脳 + 漆 + 繭玉2:46コードが1本も無いのに光る4:44形は3Dプリンタで5:58作者: 太田志保さん7:21一歩目: 置くだけ充電器をよく見る8:12エンディング
文字起こし(70行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり美しい作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、電脳漆繭玉です。
- BANNO
- わあ、黒くてつやつやした卵みたいな玉ですね。表面にハチの絵が、きらきら光ってます。
- HIGEDARUMA
- 大きさは、手のひらに乗るくらいなんです。下の黒いお皿みたいな台に、ちょこんと置いてあります。
- BANNO
- これ、置き物ですか?
- HIGEDARUMA
- 実は照明なんですよ。台に置くと、玉が内側からぽうっと光るんです。
- BANNO
- へえ、ランプなんですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、玉を持ち上げると灯りが消えます。スイッチは、どこにも無いんです。
- BANNO
- 置くだけで点いて、持てば消える。不思議ですね。今日はこの仕組みを、じっくりほどいていきましょう。
- BANNO
- まず名前が気になります。電脳、漆、繭玉。漢字がいっぱいですね。
- HIGEDARUMA
- 3つに分けると分かりやすいんです。電脳は電子回路、つまり電気で動く部分のことです。
- HIGEDARUMA
- 漆は、お椀やお箸の、あの黒くてつやつやした塗りですね。木の樹液から作る塗料なんです。
- BANNO
- あ、お正月の重箱の、あのつやですね。じゃあ繭玉は?
- HIGEDARUMA
- 蚕のまゆのような、ころんとした卵の形の玉のことです。形をそのまま名前にしてるんですね。
- BANNO
- 電子回路と、漆と、まゆの形。なるほど、名前がそのまま作品の説明なんですね。
- BANNO
- じゃあ、表面のきらきらした模様は何なんですか?
- HIGEDARUMA
- これは螺鈿という、昔からある飾りの技なんです。貝殻の内側の、虹色に光る部分を薄く削って、模様に切って貼るんですよ。
- BANNO
- 貝殻なんですか!確かに、虹みたいに色が変わって見えますね。
- HIGEDARUMA
- 作者はその中でも、割貝という技法を使っています。貝の薄い板をわざと細かく割って、モザイクのように並べるんです。
- BANNO
- だからトンボの羽が、小さなかけらの集まりに見えるんですね。
- HIGEDARUMA
- 絵柄は、トンボと、ハチと、くるくるした唐草模様の3種類があるんです。
- BANNO
- ここで素朴な疑問です。光る照明なのに、コードが1本も見えないですよね。
- HIGEDARUMA
- そこが一番の仕掛けなんです。スマホの、置くだけ充電ってありますよね。
- BANNO
- はい、台に乗せるだけで充電できる、あれですね。
- HIGEDARUMA
- あれと同じ仕組みを使っているんです。ワイヤレス給電といって、線をつながずに電気を送る技術なんですよ。
- BANNO
- 台から玉へ、電気が飛んでいるってことですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。台が電気を送る側で、玉の中に受け取る側の部品が入っています。
- HIGEDARUMA
- だから、近くに置いたときだけ電気が届いて光る。持ち上げて離すと、電気が届かなくなって消えるんです。
- BANNO
- なるほど!置くこと自体が、スイッチの代わりになってるんですね。
- HIGEDARUMA
- そのおかげで、玉には差し込み口も配線もいらないんです。工芸品の見た目を、まったく邪魔しないんですよ。
- BANNO
- 光り方にも、何か工夫があるんですか?
- HIGEDARUMA
- 中には小さな電球のLEDと、光を操る小さなコンピューターが入っています。
- HIGEDARUMA
- その光が、ろうそくの火みたいに、ゆらゆら揺れるんです。生き物が呼吸しているような灯り、と紹介されています。
- BANNO
- いいですね。寝る前に、ずっと眺めていたくなりそうです。
- BANNO
- でも、漆ってお椀の塗りですよね。光を通すんですか?
- HIGEDARUMA
- 鋭いですね。本来、漆は光を通さない塗料なんです。
- HIGEDARUMA
- 作者はこの灯りについて、光を通さないはずの漆で、どう光を通しつつ、漆の作品としても美しく見せるかを考えた、と話しています。
- HIGEDARUMA
- 写真を見ると、貝のかけらの模様のところから、光がにじんで見えますよね。
- BANNO
- 本当だ。消えているときは黒い漆器で、点けると模様が浮かび上がる。ひとつで二度おいしいですね。
- BANNO
- これ、作るのはすごく大変そうですね。どうやって作っているんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- 形は、パソコンで立体の設計図を描いて、3Dプリンタで出しているんです。
- BANNO
- えっ、中身は3Dプリンタなんですか。てっきり木を削ってるのかと思いました。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。その上に、本物の漆を何度も塗り重ねていきます。作者がコメントで工程を教えてくれていて、全部で8段階あるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 3Dプリントのあと、表面を研いで、漆の下塗り。それから貝を貼って、研いで中塗り、研いで上塗りです。
- BANNO
- 貝を貼ったあとも、まだ何回も塗るんですね。
- HIGEDARUMA
- 最後に、研いでは漆を薄く塗って布で拭き取る、拭き漆という作業を3回繰り返して、磨いて完成なんです。
- BANNO
- 研いで、塗って、また研いで。気が遠くなりますね。
- HIGEDARUMA
- 作品ページでも、見た人から、ガラス細工のようにも見える繊細な仕上がり、という声が寄せられていました。
- BANNO
- 最新の3Dプリンタと、昔ながらの手仕事。両方そろって、はじめてこの艶が出るんですね。
- BANNO
- 作ったのは、太田志保さん。チーム名は、ずばり電子工作と漆です。
- HIGEDARUMA
- 太田さんは、もともとプログラマーで、電子工作のキットを作る作家さんでもあったんです。
- BANNO
- あれ、工芸の人じゃなかったんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。金沢に移り住んで、漆と出会ったのがきっかけなんですよ。
- HIGEDARUMA
- 漆と組み合わせれば、理系に限らない人にも、プログラミングや電子工作の楽しさを伝えられる。そう思い立ったと紹介されています。
- BANNO
- わあ、すてきな理由ですね。回路って聞くと身構えちゃう人も、きれいな灯りなら手に取りたくなりますもんね。
- HIGEDARUMA
- そのために漆職人さんのもとで漆を学んで、立体の設計ソフトも独学で覚えたそうです。
- BANNO
- ヒーローズ・リーグ オンライン2020では、2つの賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 審査員のコメントには、伝統工芸と電子工作という二つの高い山を、同時に登ろうとする作者の貪欲さに敬意を、という言葉がありました。
- BANNO
- 二つの山を同時に登る。まさにそうですね。
- HIGEDARUMA
- その後、電脳漆繭玉は、石川県が選ぶおすすめの商品にも選ばれて、照明のシリーズにも育っているんです。
- BANNO
- コンテストの作品が、ちゃんと商品になったんですね。夢があります。
- BANNO
- 今日の作品を見て、何かやってみたくなった人へ。最初の一歩は何がいいでしょう?
- HIGEDARUMA
- まずは、家にあるスマホの置くだけ充電器を見てみてください。線がつながっていないのに、電気が届いていますよね。
- HIGEDARUMA
- あの中に入っている仕組みが、電脳漆繭玉の灯りと同じなんです。
- BANNO
- そして、お気に入りのお椀や小物を手に取って、これが光ったらどんなだろう、と想像してみる。それだけでも立派な一歩ですね。
- HIGEDARUMA
- 作品ページには、トンボやハチの写真もあるので、ぜひ見比べてみてください。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、漆と貝殻と置くだけ充電で、手のひらの玉をやさしく光らせる、電脳漆繭玉でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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