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置くと光る、漆と貝殻の玉「電脳漆繭玉」|伝統工芸と電子工作でつくる灯り

紹介した作品: 電脳漆繭玉ProtoPedia での反響: 閲覧 1,700+ ・ ♥ 15

ProtoPedia の作品「電脳漆繭玉」を2人のMCが初心者目線で紹介。お椀の塗りでおなじみの漆と、貝殻の虹色を貼る螺鈿で仕上げた手のひらサイズの玉が、台に置くと内側から呼吸するように光り、持ち上げると消えます。スマホの置くだけ充電と同じワイヤレス給電でコードを無くした仕組み、光を通さない漆を光らせる工夫、3Dプリントの形に漆を塗り重ねる全8段階の工程、そして『理系じゃない人にも電子工作の楽しさを』という作者の思いまで。

チャプター

文字起こし(70行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もプロトペディアから、とびきり美しい作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、電脳漆繭玉です。
BANNO
わあ、黒くてつやつやした卵みたいな玉ですね。表面にハチの絵が、きらきら光ってます。
HIGEDARUMA
大きさは、手のひらに乗るくらいなんです。下の黒いお皿みたいな台に、ちょこんと置いてあります。
BANNO
これ、置き物ですか?
HIGEDARUMA
実は照明なんですよ。台に置くと、玉が内側からぽうっと光るんです。
BANNO
へえ、ランプなんですね。
HIGEDARUMA
しかも、玉を持ち上げると灯りが消えます。スイッチは、どこにも無いんです。
BANNO
置くだけで点いて、持てば消える。不思議ですね。今日はこの仕組みを、じっくりほどいていきましょう。
BANNO
まず名前が気になります。電脳、漆、繭玉。漢字がいっぱいですね。
HIGEDARUMA
3つに分けると分かりやすいんです。電脳は電子回路、つまり電気で動く部分のことです。
HIGEDARUMA
漆は、お椀やお箸の、あの黒くてつやつやした塗りですね。木の樹液から作る塗料なんです。
BANNO
あ、お正月の重箱の、あのつやですね。じゃあ繭玉は?
HIGEDARUMA
蚕のまゆのような、ころんとした卵の形の玉のことです。形をそのまま名前にしてるんですね。
BANNO
電子回路と、漆と、まゆの形。なるほど、名前がそのまま作品の説明なんですね。
BANNO
じゃあ、表面のきらきらした模様は何なんですか?
HIGEDARUMA
これは螺鈿という、昔からある飾りの技なんです。貝殻の内側の、虹色に光る部分を薄く削って、模様に切って貼るんですよ。
BANNO
貝殻なんですか!確かに、虹みたいに色が変わって見えますね。
HIGEDARUMA
作者はその中でも、割貝という技法を使っています。貝の薄い板をわざと細かく割って、モザイクのように並べるんです。
BANNO
だからトンボの羽が、小さなかけらの集まりに見えるんですね。
HIGEDARUMA
絵柄は、トンボと、ハチと、くるくるした唐草模様の3種類があるんです。
BANNO
ここで素朴な疑問です。光る照明なのに、コードが1本も見えないですよね。
HIGEDARUMA
そこが一番の仕掛けなんです。スマホの、置くだけ充電ってありますよね。
BANNO
はい、台に乗せるだけで充電できる、あれですね。
HIGEDARUMA
あれと同じ仕組みを使っているんです。ワイヤレス給電といって、線をつながずに電気を送る技術なんですよ。
BANNO
台から玉へ、電気が飛んでいるってことですか?
HIGEDARUMA
そうなんです。台が電気を送る側で、玉の中に受け取る側の部品が入っています。
HIGEDARUMA
だから、近くに置いたときだけ電気が届いて光る。持ち上げて離すと、電気が届かなくなって消えるんです。
BANNO
なるほど!置くこと自体が、スイッチの代わりになってるんですね。
HIGEDARUMA
そのおかげで、玉には差し込み口も配線もいらないんです。工芸品の見た目を、まったく邪魔しないんですよ。
BANNO
光り方にも、何か工夫があるんですか?
HIGEDARUMA
中には小さな電球のLEDと、光を操る小さなコンピューターが入っています。
HIGEDARUMA
その光が、ろうそくの火みたいに、ゆらゆら揺れるんです。生き物が呼吸しているような灯り、と紹介されています。
BANNO
いいですね。寝る前に、ずっと眺めていたくなりそうです。
BANNO
でも、漆ってお椀の塗りですよね。光を通すんですか?
HIGEDARUMA
鋭いですね。本来、漆は光を通さない塗料なんです。
HIGEDARUMA
作者はこの灯りについて、光を通さないはずの漆で、どう光を通しつつ、漆の作品としても美しく見せるかを考えた、と話しています。
HIGEDARUMA
写真を見ると、貝のかけらの模様のところから、光がにじんで見えますよね。
BANNO
本当だ。消えているときは黒い漆器で、点けると模様が浮かび上がる。ひとつで二度おいしいですね。
BANNO
これ、作るのはすごく大変そうですね。どうやって作っているんでしょうか?
HIGEDARUMA
形は、パソコンで立体の設計図を描いて、3Dプリンタで出しているんです。
BANNO
えっ、中身は3Dプリンタなんですか。てっきり木を削ってるのかと思いました。
HIGEDARUMA
そうなんです。その上に、本物の漆を何度も塗り重ねていきます。作者がコメントで工程を教えてくれていて、全部で8段階あるんですよ。
HIGEDARUMA
3Dプリントのあと、表面を研いで、漆の下塗り。それから貝を貼って、研いで中塗り、研いで上塗りです。
BANNO
貝を貼ったあとも、まだ何回も塗るんですね。
HIGEDARUMA
最後に、研いでは漆を薄く塗って布で拭き取る、拭き漆という作業を3回繰り返して、磨いて完成なんです。
BANNO
研いで、塗って、また研いで。気が遠くなりますね。
HIGEDARUMA
作品ページでも、見た人から、ガラス細工のようにも見える繊細な仕上がり、という声が寄せられていました。
BANNO
最新の3Dプリンタと、昔ながらの手仕事。両方そろって、はじめてこの艶が出るんですね。
BANNO
作ったのは、太田志保さん。チーム名は、ずばり電子工作と漆です。
HIGEDARUMA
太田さんは、もともとプログラマーで、電子工作のキットを作る作家さんでもあったんです。
BANNO
あれ、工芸の人じゃなかったんですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。金沢に移り住んで、漆と出会ったのがきっかけなんですよ。
HIGEDARUMA
漆と組み合わせれば、理系に限らない人にも、プログラミングや電子工作の楽しさを伝えられる。そう思い立ったと紹介されています。
BANNO
わあ、すてきな理由ですね。回路って聞くと身構えちゃう人も、きれいな灯りなら手に取りたくなりますもんね。
HIGEDARUMA
そのために漆職人さんのもとで漆を学んで、立体の設計ソフトも独学で覚えたそうです。
BANNO
ヒーローズ・リーグ オンライン2020では、2つの賞を受賞しています。
HIGEDARUMA
審査員のコメントには、伝統工芸と電子工作という二つの高い山を、同時に登ろうとする作者の貪欲さに敬意を、という言葉がありました。
BANNO
二つの山を同時に登る。まさにそうですね。
HIGEDARUMA
その後、電脳漆繭玉は、石川県が選ぶおすすめの商品にも選ばれて、照明のシリーズにも育っているんです。
BANNO
コンテストの作品が、ちゃんと商品になったんですね。夢があります。
BANNO
今日の作品を見て、何かやってみたくなった人へ。最初の一歩は何がいいでしょう?
HIGEDARUMA
まずは、家にあるスマホの置くだけ充電器を見てみてください。線がつながっていないのに、電気が届いていますよね。
HIGEDARUMA
あの中に入っている仕組みが、電脳漆繭玉の灯りと同じなんです。
BANNO
そして、お気に入りのお椀や小物を手に取って、これが光ったらどんなだろう、と想像してみる。それだけでも立派な一歩ですね。
HIGEDARUMA
作品ページには、トンボやハチの写真もあるので、ぜひ見比べてみてください。
BANNO
さて、今日紹介したのは、漆と貝殻と置くだけ充電で、手のひらの玉をやさしく光らせる、電脳漆繭玉でした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
電脳漆繭玉
作者: 太田志保
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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