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ボタン1つで背中に後光が差す「後光リュック」|マイコン0個で、かざした形が光になる
ProtoPedia の作品「後光リュック」を2人のMCが初心者目線で紹介。背負ってボタンを押すと、背中からアームが一気に伸びて広がり、かざした紙の形どおりに光の模様が空中に浮かびます。しかもマイコン(小さなコンピュータ)は1つも使っていません。憧れの作り手の「オーラ」を背負いたいという動機、マンガ『めかとろろ』から生まれたアイデアとナンセンス発想法、引き出しのレールと重さを使った上がる仕組み、光センサーをLEDに直結した光る仕組み、マンガの更新まで止まった行き詰まりと、締め切り当日に「V」が光るまで。
チャプター
0:00オープニング0:20背負うと、後光が差す1:27オーラを、背負ってしまえ3:41先行事例が、たくさん4:31上がる・広がる・光る7:50マンガの更新が、止まった10:22今朝さわった物を、1つ書く11:49エンディング
文字起こし(103行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、後光リュック。
- BANNO
- 後光、って、仏像の後ろにある、あの光の輪のことですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。あの後光を、リュックで背負えちゃうんですよ。
- HIGEDARUMA
- 背負ってボタンを押すと、背中からアームがウィーンと一気に伸びて、左右にパッと広がるんです。
- BANNO
- えっ、リュックから腕が飛び出すんですか!
- HIGEDARUMA
- しかも、アームに並んだ光が、空中に模様を描くんです。下にかざした紙の形どおりに、その場で光るんですよ。
- BANNO
- 紙の形どおりに?それ、中にコンピュータが入っているんですよね。
- HIGEDARUMA
- それが、小さなコンピュータ、マイコンを、一つも使っていないんです。
- BANNO
- ええ!それでどうやって動いているのか、気になりますね。
- HIGEDARUMA
- 作者は、パスコンパスさん。今日は、なぜ後光なのか、から順番に見ていきましょう。
- BANNO
- まず聞きたいんですけど、そもそも、なんで後光を背負おうと思ったんですか?
- HIGEDARUMA
- パスコンパスさんは、ものづくりのイベントに出るのが大好きな方なんです。
- HIGEDARUMA
- お面をかぶると、横から扇子がパッと飛び出すマスクを作って、いろんな人にかぶってもらっているんですよ。
- BANNO
- 楽しそう!見に来た人も、一緒に笑えますね。
- HIGEDARUMA
- そういうイベントに出ていると、憧れの作り手に出会うそうなんです。作品はもちろん、その人自身から、オーラを感じるんだとか。
- BANNO
- 分かります。イベントの現場でも、立っているだけで、なんだか光って見える人っていますよね。
- HIGEDARUMA
- そこで考えたのが、そのオーラをリュックにして背負ってしまえば、自分もそちら側の人間になれるんじゃないか、ということなんです。
- BANNO
- そちら側って、どちら側ですか?
- HIGEDARUMA
- 本人いわく、メーカーフェア東京に出られる側の人間、だそうです。
- BANNO
- あはは、正直!でも、その気持ち、すごく応援したくなりますね。
- BANNO
- アイデアは、どこから出てきたんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 実は、パスコンパスさんは、めかとろろ、というマンガを描いているんです。機械と電子回路を組み合わせた、メカトロ工作のマンガです。
- HIGEDARUMA
- いつもは、作った作品をマンガに登場させるんですが、後光リュックだけは逆。マンガの中のアイデア出しの場面から生まれたんです。
- BANNO
- マンガが先で、作品が後なんですね。珍しい順番ですね。
- HIGEDARUMA
- アイデアの出し方も面白くて、明和電機さんの、ナンセンス発想法を使ったそうなんです。
- BANNO
- ナンセンス発想法、ですか?
- HIGEDARUMA
- まず、朝さわった物を書きます。次に、それのおかしなイメージを書いて、最後に、二つを足して思いついたおかしな物を描くんです。
- HIGEDARUMA
- そこで出てきたのが、透けていて、無数に枝分かれする、というイメージなんです。
- HIGEDARUMA
- そこから、光を通す細い線、光ファイバーが、リュックからたくさん伸びて、後光になる、というアイデアにつながったんですよ。
- BANNO
- 紙とペンだけで、変なアイデアが出せる方法なんですね。これはやってみたくなります。
- BANNO
- でも、後光を出す作品って、他にもありそうな気がします。
- HIGEDARUMA
- 鋭いです。調べてみたら、後ろからスポットライトで照らすものなど、先にやった人がたくさんいたんです。
- HIGEDARUMA
- 本人も、これじゃまずいぞ、全然オリジナリティがあるって言えないぞ、と必死に考えたそうです。
- BANNO
- そこから、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- たどり着いたのが、アームが広がる速さを、とにかく速くする、ということなんです。
- HIGEDARUMA
- ここまで速く広がるものは、私調べでは私のものしかありませんでした、と言っていました。
- BANNO
- 似たものがあっても、自分ならではの足し算で勝負すればいいんですね。勇気が出ます。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そこに、かざした形で光る仕組みも足して、二段構えにしたんですよ。
- BANNO
- では、いよいよ仕組みです。マイコンなしで、どうやって動いているんですか?
- HIGEDARUMA
- 大きく分けると、上がる、広がる、光る、の三つです。
- HIGEDARUMA
- まずは、上がる部分。家具の引き出しに使う、スライドするレールに、歯がまっすぐ並んだ部品をつけて、歯車をかみ合わせます。
- HIGEDARUMA
- その歯車を、模型でよく使う、強めのモーターで回して、アームをぐいっと押し上げるんです。
- BANNO
- 引き出しのレールなんですね。身近な部品で、ぐっと親しみがわきます。
- BANNO
- ボタンを押している間だけ、モーターが回るんですか?
- HIGEDARUMA
- いえ、一回押すだけで回り続けるんです。リレーという、電気で動くスイッチが、押されたことを覚えておく回路になっていて。
- HIGEDARUMA
- アームが伸び切ると、端にある小さなスイッチが押されて、そこでピタッと止まるんですよ。
- BANNO
- なるほど。押したら最後まで行って、勝手に止まってくれるんですね。
- BANNO
- じゃあ、下げるときは、モーターを逆に回すんですか?
- HIGEDARUMA
- そこが上手いところで、電磁クラッチという、電気でつないだり外したりできる継ぎ手を外して、アームの重さで落とすんです。
- HIGEDARUMA
- だから、モーターは一つの向きに回るだけでいい。逆に回す回路がいらなくて、仕組みがぐっと簡単になるんですよ。
- BANNO
- 重さを味方につけるんですね。頭いいなあ。
- HIGEDARUMA
- リレーを選んだ理由もいいんです。カチッと動くのが目で見えるので、扱いやすいと考えたそうなんです。
- BANNO
- 動きが見えると、どこで止まったかも分かりやすいですね。
- HIGEDARUMA
- 次に、広がる部分。上がる動きに合わせて、Xの字に組んだ棒が動いて、アームが左右に開くんです。
- BANNO
- 上がると同時に、勝手に開くんですね。
- HIGEDARUMA
- そして最後が、光る部分。ここが一番の見どころなんです。
- HIGEDARUMA
- バーサライタという仕組みを使っています。ライトを並べた棒を素早く振ると、目に残る残像で、空中に絵や文字が浮かんで見えるんです。
- BANNO
- 暗い所でペンライトを振ると、光の線が見える、あれですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。ただ、ふつうは、前もって覚えさせた、決まった模様しか出せないんです。
- HIGEDARUMA
- 後光リュックは、アームの下のほうに、光センサーを並べています。光を当てて、跳ね返ってくるかどうかで、そこに物があるかを見るセンサーです。
- HIGEDARUMA
- そのセンサーを、上のライトにそのままつないでいるんです。だから、Vの字の紙をかざすと、ライトもVの字に光るんですよ。
- BANNO
- かざす物を変えれば、光る模様もその場で変わるんですね!
- HIGEDARUMA
- そうなんです。センサーとライトの部品は、片側だけで48個。それが左右両側にあるので、迫力があるんです。
- BANNO
- プログラムを書かずに、つなぎ方だけでやっているんですね。でも、なんでそこまでマイコンを使わないことに、こだわったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 本人は、作品の完成度は、動作の安定性とつながっている、と考えたそうなんです。だから、できるだけシンプルにしたんですね。
- BANNO
- 仕組みがシンプルなほど、イベントの本番で止まりにくい。展示する人ならではの考え方ですね。
- BANNO
- でも、ここまで作るのは、大変だったんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- はい。実は一度、かなり行き詰まったんです。光る物をあまり作ったことがなくて、自分でハードルを上げてしまったそうで。
- HIGEDARUMA
- テープ状のライトは幅が目立つ、光るワイヤーは暗いと見えにくい、光ファイバーはたくさん並べると高い。なかなか決まらなかったんです。
- BANNO
- 理想があるほど、迷っちゃいますよね。
- HIGEDARUMA
- しかも、後光リュックが完成しないと、マンガの続きが描けない。それで、マンガの更新まで止まってしまったんです。
- BANNO
- えっ、マンガまで!現実が追いつかないと、マンガも進まないんですね。
- HIGEDARUMA
- そこで、なぜうまくいかないのかを考えたら、動きがないと気持ちが乗らない、と気づいたそうなんです。
- HIGEDARUMA
- さらに、メーカーフェア京都で大きく動くロボットを見て、そのあと横浜で、動くガンダムを見たんです。
- HIGEDARUMA
- そのときの感想が、何でこのサイズで動くんだろう、脳がバグりました、だそうです。
- BANNO
- あはは、分かります!それで、大きく動く仕組みにしたんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そこからは、ひたすら作る日々。配線で混乱したり、モーターの軸が滑って、最後は接着剤で止めたり。
- HIGEDARUMA
- アームが重くて持ち上がらないので、補助のゴムを足したりもしたそうです。
- BANNO
- 一つずつ、手で解決していったんですね。
- HIGEDARUMA
- 僕が好きなのは、配線の工夫です。下のセンサーから上のライトまで、線が50本も、両側に通っているんです。
- HIGEDARUMA
- しかも全体が上下に動くので、絡まりそうで危ない。そこで、パイプの中に電源の線を通して、絡まないようにしたんですよ。
- HIGEDARUMA
- これは締め切りの二日前くらいに思いついた、本人のお気に入りポイントだそうです。
- BANNO
- 締め切り直前のひらめき、ありますよね!それで、完成したんですか?
- HIGEDARUMA
- 2023年7月17日に、ついに一連の動きができるようになって。そして、締め切り当日の7月18日。
- HIGEDARUMA
- 念願のVの文字を読み取って、光らせることに、初めて成功したんです。向きは、なぜか逆さだったそうですけど。
- BANNO
- ギリギリ!でも、その瞬間はうれしかったでしょうね。
- HIGEDARUMA
- 本人も、めっちゃ喜んでいる私のリアクションと一緒にお届けします、と投稿していました。
- BANNO
- この作品は、Mouser Make Awards 2023で、ProtoPedia賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 審査員の、のびすけさんは、プロトタイピング、つまり試しに作ってみるものづくりの、真髄を表現している、と評価していました。
- HIGEDARUMA
- 勢いよく試している制作過程がとてもよく、楽しんで作っている姿が形になっている、とも。
- BANNO
- 楽しんでいる姿が形になる。まさに、笑顔で後光を背負っている、あの写真そのものですね。
- HIGEDARUMA
- 使っている主な部品は、モーター、電磁クラッチ、リレー、端のスイッチ、それに光センサーとライトです。
- BANNO
- 作者は、パスコンパスさん。マンガのめかとろろも、ぜひ読んでみてください。
- BANNO
- では、今日できる最小の一歩です。
- BANNO
- 紙とペンを用意して、今朝さわった物を、一つ書いてみてください。
- HIGEDARUMA
- そこに、おかしなイメージを足して、思いついたおかしな物を、一つだけ絵に描いてみましょう。上手じゃなくて大丈夫です。
- BANNO
- くだらないアイデアほど、後光リュックみたいに、本気で作ると輝きますからね。
- HIGEDARUMA
- 作品ページと、デモ動画のリンクは、画面に出しておきますね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、ボタン一つで背中に後光が差す、後光リュックでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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