居場所を1タップで送る「今ここ。」|熊本地震で届かなかった悔しさから10年育てた位置情報共有アプリ
ProtoPedia の作品「今ここ。- 位置情報共有アプリ -」を2人のMCが初心者目線で紹介。待ち合わせや事故の現場、災害時の安否確認など、自分の居場所を誰かに伝えたい場面で、普通の地図アプリは「共有→アプリを選ぶ→送信」と手順が多くなりがちです。今ここ。は、地図の十字の印を居場所に合わせてLINEなどのボタンを押すだけ。受け取った人はリンクを開くだけで、地図の上に印が点滅します。東日本大震災をきっかけに作られ、熊本地震では発信が届かなかった悔しさから10年改良を続け、ヒーローズ・リーグ2023でOpenStreetMap賞を受賞するまでの物語も。
チャプター
文字起こし(71行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、今ここ。位置情報共有アプリです。
- BANNO
- 今ここ。って、名前がそのまま言いたいことになってますね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。地図で自分のいる場所に印を合わせて、ボタンを1回押すだけ。
- HIGEDARUMA
- それで、家族や友だちに、今ここにいるよ、と送れるアプリなんですよ。
- BANNO
- 作ったのは、齋藤仁志さん。10年前から、お1人で育ててきた作品だそうですよ。
- BANNO
- みなさん、駅で待ち合わせをして、どこにいるの?って何往復もしたこと、ありませんか?
- HIGEDARUMA
- ありますね。北口の階段の下です、と言っても、相手からはどこか分からないんですよね。
- BANNO
- 待ち合わせなら笑い話ですけど、事故の現場を知らせたいときや、災害のときの安否確認だと、困りますよね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。でも普通の地図アプリで居場所を送ろうとすると、意外と手順が多いんですよ。
- HIGEDARUMA
- 共有のボタンを押して、送るアプリを選んで、送信を押す。この3つを順番にやる必要があります。
- BANNO
- 慌てているときほど、その3つがつらいですね。手も震えていそうですし。
- HIGEDARUMA
- その位置の共有を、1タップでできるようにしたのが、今ここ。なんです。
- BANNO
- 1タップ!それは、いざというときに助かりますね。
- BANNO
- 実際には、どうやって使うんですか?
- HIGEDARUMA
- アプリを開くと、いきなり地図が出ます。その真ん中に、十字の印があるんです。
- HIGEDARUMA
- まずGPSのボタンを押します。GPSは、スマホが空の衛星の電波で、今いる場所を測る仕組みです。
- BANNO
- 押すと、地図が自分のいる場所まで動いてくれるんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。少しずれていたら、地図を指で動かして、十字の印を自分の場所に合わせます。
- HIGEDARUMA
- あとは画面の下にある、LINEのボタンを押すだけ。LINEが、居場所のリンクが入った状態で開くんですよ。
- BANNO
- 送る相手を選んで送信すれば、終わり。本当に一瞬ですね。
- HIGEDARUMA
- メールや、X、Facebook、それに二次元バーコードのボタンも並んでいます。
- BANNO
- 受け取った人のほうは、どう見えるんですか?
- HIGEDARUMA
- 届いたリンクを開くと、地図の上に印が立って、点滅して居場所を教えてくれるんです。
- BANNO
- 相手も、このアプリを入れておかないといけないんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- いえ、いらないんです。今ここ。はWebアプリといって、ブラウザで開くだけで動くアプリなんですよ。
- BANNO
- 家族みんなにインストールしてね、と頼まなくていい。それは大きいですね。
- BANNO
- でも、リンクを1つ送るだけで、どうして場所まで分かるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 地球の上の場所は、緯度と経度という、2つの数字で表せるんです。地図の上の住所みたいなものですね。
- HIGEDARUMA
- 実際、届いたリンクを開いた画面には、その2つの数字が出ているんです。
- HIGEDARUMA
- 作品ページに詳しい作りは書かれていませんが、その2つの数字をリンクに書き込んでいる仕組みだと思います。
- BANNO
- なるほど。リンクそのものが、居場所のメモになっているんですね。だから相手は開くだけでいいんだ。
- HIGEDARUMA
- 地図を出すのには、Leafletという、ウェブページに地図を表示する無料の部品を使っています。
- HIGEDARUMA
- 地図の絵そのものは、OpenStreetMap。世界中のボランティアが作っている、誰でも自由に使える地図なんです。
- BANNO
- みんなで作った地図の上で、自分の居場所を伝える。なんだか、いい組み合わせですね。
- HIGEDARUMA
- 最新の版では、deck.glという部品で、地図を立体で見られるようにもなっています。
- BANNO
- ほかにも、便利な使い方はありますか?
- HIGEDARUMA
- iPhoneなら、ショートカットというアプリに手順を登録して、Siriに覚えさせられるんです。
- HIGEDARUMA
- すると、Siriに話しかけるだけで、今いる場所から、このアプリが開くんですよ。
- BANNO
- 両手がふさがっていても、声だけでいいんですね。
- BANNO
- 齋藤さんは、どうしてこのアプリを作ろうと思ったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- きっかけは、東日本大震災だそうです。家族や友人との安否確認に役立つ道具を作れないか、と考えたんです。
- BANNO
- あのとき、家族と連絡がつかなくて不安だった人は、たくさんいましたよね。
- HIGEDARUMA
- そして2015年の9月に、最初の版を公開しました。
- HIGEDARUMA
- その半年あまり後、2016年の4月に、熊本地震が起きたんです。
- BANNO
- まさに、このアプリが役に立つ場面ですね。
- HIGEDARUMA
- 齋藤さんも、安否確認に使ってほしいと、SNSで発信したんです。でも、ついたいいねは、1つくらいだったそうです。
- HIGEDARUMA
- 齋藤さんは、必要な方々に届けることができませんでした、と書いています。
- BANNO
- 作ったのに、いちばん必要なときに届かない。それは、悔しかったでしょうね。
- BANNO
- そこで、やめてしまわなかったんですか?
- HIGEDARUMA
- やめなかったんです。どうしたら使ってもらえるかを考えて、より良いアプリに進化させていこう、と決めたんです。
- HIGEDARUMA
- そこから改良を重ねて、2025年には、10番目の版、バージョン10を出しています。
- BANNO
- 10年で10回の大きな改良。ずっと手を入れ続けてきたんですね。
- HIGEDARUMA
- そして公開から6年がたったころ、更新のお知らせに、初めていいねが100以上ついたんです。
- BANNO
- 1つから、100以上に!
- HIGEDARUMA
- 齋藤さんにとって大切な投稿の1つで、今も大事に保管しているそうです。
- BANNO
- さらに、ヒーローズ・リーグ 2023という作品コンテストで、OpenStreetMap賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 賞を贈った、OpenStreetMapの日本の団体は、根底にある考えに共感した、と理由を話しています。
- HIGEDARUMA
- この地図の仲間たちも、東日本大震災をきっかけに活動が盛んになった。伝えたい気持ちが同じだったんですね。
- BANNO
- 齋藤さんも、考えの共感も、とても嬉しかったです、とコメントしています。届いたんですね、想いが。
- HIGEDARUMA
- 個人開発で、1つの作品を10年育てるのは、本当に大変なことなんです。僕も見習いたいです。
- HIGEDARUMA
- 使われている道具は、この3つです。
- HIGEDARUMA
- 地図の部品も、地図の絵も、無料で借りられるものを上手に組み合わせているんですよ。
- BANNO
- 作ったのは、齋藤仁志さん。デザインもプログラムも、お1人で手がけています。
- BANNO
- では、今日できる最小の一歩です。
- BANNO
- 今ここ。を開いて、家族か友だちに、自分の居場所を1回だけ送ってみてください。
- HIGEDARUMA
- 1回送っておけば、いざというときにも迷いません。作ってみたい人は、Leafletで地図を1枚、表示するところから始めてみてください。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、1タップで居場所を伝える、今ここ。位置情報共有アプリでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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