手が不自由な子も「自分の力で」回せる『魔法のバリフリガチャ』|手をかざす・ダイヤル・スイッチ・分身ロボット
ProtoPedia の作品「魔法のバリフリガチャ ~すべての子供に、ワクワクのガチャガチャ体験を~」を2人のMCが初心者目線で紹介。ガチャのハンドルは硬く、手をうまく動かせない子は自分で回せません。親が代わりに回せばカプセルは出ますが、作者のおぎ-モトキさんが大事にしたのは「自分の力で回す事」。市販のガチャにモーターを1つ差し込んで電動化し、手をかざして宙でくるくる・無線ダイヤル・福祉スイッチ・分身ロボットOriHime の4つから回し方を選べるようにしました。現場で見つけた壁と、大きなレバーを付けた無線ダイヤルで寝転んだまま「自分でできた!」が生まれるまで。
チャプター
0:00オープニング0:20すべての子供に、ガチャ体験を1:01作者は、お父さんエンジニア2:10回し方は4種類4:35初めて、自分で出せた7:06すべての子供に9:19「できない」を「できた」に10:17エンディング
文字起こし(101行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、魔法のバリフリガチャ。すべての子供に、ワクワクのガチャガチャ体験を。
- BANNO
- ガチャガチャ!お店の前にあると、つい回したくなるやつですね。
- HIGEDARUMA
- ハンドルをガリガリ回して、何が出るかなってドキドキする。あれです。
- BANNO
- 大人になっても、あの瞬間はワクワクしますよね。
- HIGEDARUMA
- でも、あのハンドルを、自分で回せない子供たちがいるんです。
- BANNO
- え、どういうことですか?
- HIGEDARUMA
- 作ったのは、おぎ-モトキさん。手をうまく動かせない息子さんがいる、お父さんエンジニアなんです。
- HIGEDARUMA
- ガチャのハンドルって、意外と硬いんですよ。手や足を思うように動かせない、肢体不自由の子には、回すのが難しいんです。
- BANNO
- でも、お父さんやお母さんが手を添えて、一緒に回してあげれば、カプセルは出てきますよね?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。カプセルは手に入ります。でも、作者さんはこう書いているんです。
- HIGEDARUMA
- 大事なのは、自分の力で回すこと。あのワクワクは、自分でやっているからこそなんです、と。
- BANNO
- ああ。たしかに、ガチャの楽しさって、カプセルの中身だけじゃないですもんね。
- BANNO
- 自分の手で回して、ガタンと出てくる。その瞬間までまるごと、ガチャなんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんは、ショッピングモールで楽しそうにガチャを回す子供たちを見て、ずっと思っていたそうです。
- HIGEDARUMA
- どうして、ガチャはバリアフリーにできていないんだろう、って。
- BANNO
- バリアフリー、つまり、誰にとっても使いやすい形ですね。それで、ガチャを作り変えちゃったと。
- BANNO
- じゃあ、どうやって回すんですか?
- HIGEDARUMA
- 回し方を、4つの中から選べるんです。その子の得意な動きに合わせて。
- HIGEDARUMA
- 1つ目は、手をかざすだけ。ガチャの前で、空中にくるくると円を描くと、ガチャが回るんです。
- BANNO
- 触らなくていいんですか!まさに魔法ですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、手を近づけるだけでは動かなくて、ちゃんと回す動きをしたときだけ動くんですよ。
- BANNO
- あえて、回させるんですね。ボタンで出すんじゃなくて。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。作者さんも、回すという感覚を味わうための仕組み、と書いています。
- HIGEDARUMA
- 2つ目は、無線のダイヤル。手元の丸いダイヤルを回すと、離れたガチャが回ります。これは後で詳しく話しますね。
- HIGEDARUMA
- 3つ目は、福祉スイッチ。障害のある人が使いやすい、大きな押しボタンなどのことです。
- BANNO
- 大きなボタンなら、押すだけで済みますね。
- HIGEDARUMA
- しかも差し込み口の形が共通なので、その子がいつも使っているスイッチを、ガチャに差すだけで使えるんです。
- BANNO
- 使い慣れた自分のスイッチで遊べる。それは安心ですね。
- HIGEDARUMA
- 4つ目は、分身ロボットからの遠隔操作。これも後でお話ししますね。
- BANNO
- 気になる!でもその前に、中身はどうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 実は、ガチャ本体は市販のものなんです。ハンドルの裏の回す部分に、モーターを1つ差し込んで、電気で回るようにしたんです。
- HIGEDARUMA
- 使ったのは、360度回り続けられる、サーボモーターという小さなモーターです。
- BANNO
- 一から作るんじゃなくて、お店で売っているガチャを改造したんですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、全体の仕組みも見せてください。
- HIGEDARUMA
- 真ん中にいるのが、ESP32。手のひらに乗る、小さなコンピューターです。
- HIGEDARUMA
- ここに、手の動きを読み取るセンサー、無線のダイヤル、福祉スイッチの差し込み口がつながっています。
- BANNO
- 入り口が、いくつもあるんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。どこから合図が来ても、同じようにモーターを回す。だから、回し方を選べるんです。
- HIGEDARUMA
- さらに、光の輪と、大当たりの効果音も付けました。
- BANNO
- 電気で回るようになったからこそ、光や音でも盛り上げられるんですね。
- BANNO
- 実際に、子供たちに使ってもらったんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。メイカーイベントや、福祉のイベントに持って行ったそうです。
- HIGEDARUMA
- ある子が、スイッチを押し続けて、初めて自分の力でガチャを出せたんです。
- HIGEDARUMA
- そのとき、その子のお母さんが涙ぐんで、こう言ったそうです。
- BANNO
- うわー、自分で初めてできたね、すごいね、って。それは、泣いちゃいますね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんも、作ってよかったよ、ほんとに、と書いています。
- BANNO
- でも、ここで終わりじゃなかったんですよね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。使ってもらったからこそ、壁が見えてきたんです。
- HIGEDARUMA
- 1つは、手を上に上げられない子には、手をかざす操作が難しいこと。
- BANNO
- もう1つは、何だったんですか?
- HIGEDARUMA
- テーブル付きの車椅子や、寝たまま乗るストレッチャーの子は、ガチャまで手が届かないことです。
- BANNO
- スイッチなら、押せる子もいますよね?
- HIGEDARUMA
- それが、作者さんの答えは、ガチャガチャは回すもの、だったんです。押すだけでは、足りなかった。
- BANNO
- どこまでも、回す、にこだわるんですね。
- HIGEDARUMA
- そこで作ったのが、無線のぐるぐるコントローラです。
- HIGEDARUMA
- M5Dialという、丸い画面の付いたダイヤル型の小さなコンピューターを、ガチャと無線でつなぎました。
- HIGEDARUMA
- だから、車椅子の上でも、ストレッチャーの上でも、楽な姿勢のまま回せるんです。
- BANNO
- 手が届かないなら、ガチャの方を手元に呼んじゃえばいいんだ。
- HIGEDARUMA
- まさに。ただ、もう1つ問題があって。このダイヤル、そのままだと手首をひねって回す必要があるんです。
- BANNO
- 手首をひねる。それも難しい子がいるんですね。
- HIGEDARUMA
- そこで、ダイヤルに大きなレバーを取り付けました。腕を振り下ろすくらいの軽い動きで、回せるようにしたんです。
- BANNO
- 次のイベントでは、どうなったんですか?
- HIGEDARUMA
- 多くの子供たちが、この無線ダイヤルを選んで遊んでくれたそうです。
- HIGEDARUMA
- ストレッチャーの子も、寝転んだまま、ゆっくりだけど確実にダイヤルを回して、ガチャを出せたんです。
- BANNO
- そして、自分でできた!って喜んでくれた。
- HIGEDARUMA
- はい。手の力が弱い子からは、これなら自分でできたよ、自分でできるってうれしい、楽しい、という声もあったそうです。
- BANNO
- 自分でできるって、うれしい。この一言に、全部詰まってますね。
- BANNO
- ちなみに、普通にガチャを回せる子にとっては、どうなんですか?
- HIGEDARUMA
- それが、大人気なんですよ。試しにイベントに置いたら、一気に人だかりができたそうです。
- HIGEDARUMA
- もう一回やる、って、だだをこねる子までいたとか。
- BANNO
- 障害のある子のための道具が、みんなの楽しい遊びにもなる。だから、すべての子供に、なんですね。
- BANNO
- さっき後回しにした、分身ロボットの話も聞かせてください。
- HIGEDARUMA
- OriHimeという、遠くの人が自宅から操作して、その場にいるように話せるロボットがあるんです。外出が難しい人が使っています。
- HIGEDARUMA
- このガチャは、OriHimeとケーブルでつないで、遠くからでも動かせるんです。
- HIGEDARUMA
- 東京の、分身ロボットカフェDAWNでも、2023年から使われているそうです。
- BANNO
- ロボットの向こうの店員さんと、一緒にガチャを回すんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。もうちょっと前、さっと手を回してみて、やったー大当たり、と、一緒に回す体験ができるんです。
- BANNO
- 楽しそう!離れていても、一緒にワクワクできるんですね。
- HIGEDARUMA
- もう1つ、いい話があって。イラストレーターを目指している、作者さんの娘さんのお話です。
- HIGEDARUMA
- 娘さんが描いたイラストの缶バッジを、このガチャで売ったんです。
- HIGEDARUMA
- Maker Faire Tokyo 2023では、用意した100個がほぼ売り切れたそうです。
- BANNO
- すごい!娘さんも喜んだでしょうね。
- HIGEDARUMA
- 娘さんは、私のイラストで喜んでくれたの、すごく嬉しい、と話していたそうです。
- BANNO
- 息子さんのために作ったガチャが、娘さんの夢も応援している。家族みんなのガチャですね。
- HIGEDARUMA
- 数字でいうと、10日ほどのイベントに参加して、合計500個近くのガチャ体験を届けたそうです。
- BANNO
- 500個近く。それだけ、誰かがワクワクしながら回したんですね。
- BANNO
- 受賞も、3つあります。
- HIGEDARUMA
- M5Stackのコンテストで改造アイデア賞、ヒーローズ・リーグでProtoPedia賞、そしてアバナードのHuman Impact ヒーローです。
- BANNO
- 作者は、おぎ-モトキさんです。
- BANNO
- 今日いちばん心に残ったのは、作者さんが、回す、を諦めなかったところです。
- HIGEDARUMA
- 技術としては、特別なことはしていないんですよ。市販のガチャに、モーターと小さなコンピューターを足しただけ。
- HIGEDARUMA
- 大事だったのは、使う子を見て、その子に合わせて、作り直し続けたことなんです。
- BANNO
- 今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 身の回りで、これ、あの人には使いにくいかも、というものを、1つだけ探してみてください。
- HIGEDARUMA
- それから、作品ページのデモ動画も見てみてください。子供たちが、自分でガチャを回す瞬間が見られますよ。
- BANNO
- ちょっとした工夫で、誰かの、自分でできた、が増えるかもしれません。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、手をかざしても、ダイヤルでも、スイッチでも回せる、魔法のバリフリガチャでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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