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見ても手は動いていないのに、言葉が選べる「ヨミトリ君4号機 指筆談(指談)のデバイス化技術による意思疎通支援装置」|数グラムの力で気持ちを伝える
ProtoPedia の作品「ヨミトリ君4号機 指筆談(指談)のデバイス化技術による意思疎通支援装置」を2人のMCが初心者目線で紹介。体を動かせず声も出せない方が、介助者の手の感覚で指先の小さな動きを読み取ってもらう「指筆談(指談)」。その難しさと「本当に本人の言葉?」という不安に応えるため、透明な板に手を乗せて数グラムの力を込めるだけで、パソコンやタブレットの項目を選べる装置にしました。どの向きにも傾く台と重さを量るセンサー2つで力の向きを読む仕組み、360度見分けられるのにあえて4方向・2方向に絞った設計、音楽の先生とのセッションやゲームまで広がる使い方、1号機から号機を重ねてきた歩みまで。ヒーローズ・リーグ 2024 トライアルアンドエラー賞。
チャプター
0:00オープニング0:20手を乗せるだけで、気持ちを伝える1:12誰のための道具?3:20使い方は、手を乗せるだけ5:54専用ソフトでできること7:251号機 → 3号機 → 4号機9:14今日できる最小の一歩10:04エンディング
文字起こし(84行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、ヨミトリ君4号機 指筆談(指談)のデバイス化技術による意思疎通支援装置。
- BANNO
- ひげだるまさん、これ、パソコンの横にある黒い小さな箱が主役なんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。上の透明な板に手を乗せて、ほんの少し力を込めるだけで、画面の言葉を選べるんですよ。
- BANNO
- え、手を動かすんじゃなくて、力を込めるだけなんですか?
- HIGEDARUMA
- はい。紹介動画では、見ても手は動いていないのに、画面の項目がちゃんと選ばれていくんです。
- BANNO
- 今日は、その見えない動きの正体と、作った人の思いを追っていきますね。
- BANNO
- まず、誰のための道具なのか、からお話ししますね。
- BANNO
- 重い病気やけがで、体がほとんど動かせず、声も出せない方がいます。
- HIGEDARUMA
- 意識ははっきりしていて、考えることもできる。でも、それを外に出す手段がない状態なんです。
- HIGEDARUMA
- 閉じ込め症候群、とも呼ばれます。体の中に、気持ちが閉じ込められてしまう、というイメージですね。
- BANNO
- 想像すると、本当にもどかしいですね。そういう方は、どうやって気持ちを伝えているんですか?
- HIGEDARUMA
- そのひとつが、指筆談です。指談とも呼ばれます。
- BANNO
- 指で、筆談?紙に書くわけではないんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。介助する人が、ご本人の指先に、そっと手を添えるんです。
- HIGEDARUMA
- ご本人は、ひらがなを書くつもりで、指先に力を込めます。でも見た目には、ほとんど動いていません。
- BANNO
- えっ、見えないくらいの動きなんですか。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。介助する人は、その小さな動きを自分の手の感覚で受け取って、一画ずつ、どの文字かを読み取るんですよ。
- BANNO
- すごい技ですね。でも、それって誰にでもできることなんでしょうか?
- HIGEDARUMA
- そこが課題なんです。読み取るには訓練が必要で、ご家族でもできる方は少ないそうです。
- BANNO
- しかも、間に介助者さんが入るわけですよね。
- BANNO
- ご家族からすると、これは本当に本人の言葉なのかな、って不安になることもありそうです。
- HIGEDARUMA
- まさに、作者さんもその声をよく聞いたそうです。作品の紹介ページには、こんな言葉があります。
- BANNO
- 「当事者は話したいのに話せない、家族は聞きたいのに読み取れない、第三者を挟む会話は信用できない。」
- HIGEDARUMA
- この三つが重なると、ご本人は気持ちを伝える手段を失ってしまう。だから、指筆談を機械にしよう、と考えたんです。
- BANNO
- 介助者さんの手の感覚を、機械に置きかえる。そうすれば、ご本人の操作として残るんですね。
- BANNO
- ひげだるまさん、使うときは、どうするんですか?
- HIGEDARUMA
- 透明な板に、手のひらを乗せるだけです。乗せた手を、ずらす必要もありません。
- HIGEDARUMA
- あとは、前後左右のどれかに、ぐっと力を込める。指筆談で文字を書くときと同じ動きなんです。
- BANNO
- でも、手が動かないのに、どうやって向きが分かるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 板の下には、自由雲台という部品があります。カメラの三脚の首のように、どの向きにも傾ける台なんです。
- HIGEDARUMA
- その台には、はかりの中身と同じ、重さを量るセンサーが2つつながっています。
- BANNO
- はかりが、2つ。
- HIGEDARUMA
- 力を込めた向きによって、2つのはかりの数字の変わり方が違うんです。
- HIGEDARUMA
- その変わり方を比べて、前後左右のどちらに力を込めたのかを判断しているんですよ。
- BANNO
- 板が目に見えるほど傾かなくても、はかりの数字にはちゃんと出る、ということですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。必要な力の変化は、最小で数グラム。1円玉が1グラムなので、1円玉数枚ぶんなんです。
- BANNO
- 1円玉数枚!ほとんど何も乗せていないくらいですね。
- HIGEDARUMA
- 指筆談をしているとき、指先にかかる力の変化は5グラムくらいだそうです。だから、指筆談ができる方なら、この装置も使えるんです。
- BANNO
- 指筆談の力に合わせて、感度を作っているんですね。
- HIGEDARUMA
- もうひとつ、面白い設計があるんです。この装置、本当は360度、どの向きでも見分けられるんですよ。
- BANNO
- でも、使うのは前後左右の4方向なんですよね?
- HIGEDARUMA
- はい。パソコンのアプリで、わざと4方向に絞っているんです。向きを絞ったほうが、操作しやすくなるからなんですね。
- HIGEDARUMA
- さらに、左右だけ、前後だけの、2方向に絞ったアプリもあります。ご本人の体の状態に合わせて選べるんです。
- BANNO
- できることを全部見せるより、使う人に合わせて引き算する。やさしい作りですね。
- HIGEDARUMA
- 部品は、M5Stackという手のひらサイズの小さなコンピューターと、重さユニット。パソコンのアプリは、C#というプログラミング言語で作っています。
- BANNO
- 特別な機械じゃなくて、市販の部品なんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。初代のヨミトリ君のページにも、M5Stackを使うことで安く組めた、と書かれているんですよ。
- BANNO
- 実際には、画面でどんなことができるんですか?
- HIGEDARUMA
- たとえば、ボタンを選ぶと、登録した音や動画が流れるソフトがあります。この画面には、虫の名前のボタンが並んでいますね。
- BANNO
- アオマツムシ、ヒグラシ。聞きたい音を、自分で選べるんですね。
- HIGEDARUMA
- こちらは、言葉を組み立てるソフトです。まず、からだ、のような大きな分類を選んで、次に、指、のような言葉を選びます。
- BANNO
- 画面に、さむい、指、と出ていますね。たった2つの言葉でも、ちゃんと伝わりますね。
- HIGEDARUMA
- ほかにも、ひらがなを選んで自由に文章を書くソフトや、楽器の演奏、ゲームもあります。iPadやAndroidのタブレットも操作できるんですよ。
- BANNO
- そして、実際に使っている場面も、動画に映っているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。動画の字幕には、目視では手は動いていませんが、項目の選択を行うことができています、とあります。
- BANNO
- 見えないほどの力が、ちゃんと画面に届いている。最初に言った見えない動きは、これだったんですね。
- HIGEDARUMA
- 楽しい場面もあるんです。楽器演奏のアプリで、音楽の先生とコラボレーションしたり。
- HIGEDARUMA
- 市販のパソコンゲームを操作して、ウォータースライダーのレースを楽しんだりもしています。
- BANNO
- 伝えるだけじゃなくて、遊ぶ、奏でる。毎日の楽しみまで広がっているのが、うれしいですね。
- BANNO
- これを作ったのは、どんな方なんですか?
- HIGEDARUMA
- 愛知情報教育支援協会の、ヨミトリ君プロジェクトです。お金もうけではない、非営利の活動として続けているんですよ。
- BANNO
- 4号機、ということは、前にも作っていたんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。初代は、決まった重さを超えたらスイッチが入る、という仕組みでした。10グラムほどの力で動いたそうです。
- HIGEDARUMA
- 3号機で、指筆談の書く動きを読み取れるようになって、4号機ではそれを4方向に絞り、小さく、軽く、置きやすくしたんです。
- BANNO
- 一度で完成ではなく、少しずつ良くしていったんですね。
- HIGEDARUMA
- しかも作者さんは、自分でも指筆談を練習して、介助者の方に教わり、ご本人やご家族に試してもらいながら、改良してきたそうです。
- BANNO
- 使う人のそばで、一緒に作ってきたんですね。
- HIGEDARUMA
- 作品の紹介ページには、一緒に取り組みできていることに感謝の思いで一杯です、という言葉もあるんですよ。
- BANNO
- この作品は、ヒーローズ・リーグ2024で、トライアルアンドエラー賞を受賞しています。
- HIGEDARUMA
- 審査のコメントは、4号機まで続けて開発している時点で、この賞にぴったり。まさに試行錯誤の積み重ねですね。
- BANNO
- そして今は、機材の貸し出しや、出張しての支援もしているそうです。
- HIGEDARUMA
- 協会のサイトによると、シリーズ全体で、合計60カ所以上、延べ250回以上も訪問しているんです。
- BANNO
- 250回!それだけ多くの場所に、足を運んでいるんですね。
- HIGEDARUMA
- その後も、5号機、6号機、7号機と、使う人の体に合わせた新しい形が生まれています。
- BANNO
- では最後に、今日できる最小の一歩です。
- BANNO
- 机に手のひらを置いて、動かさないまま、右にぐっと力を込めてみてください。
- HIGEDARUMA
- 手は動いていないのに、力の向きは自分で分かりますよね。その数グラムを読み取っているのが、ヨミトリ君なんです。
- BANNO
- そのあとで、プロトペディアのヨミトリ君のページを、初代から順に見てみてください。
- HIGEDARUMA
- 作ってみたい人は、M5Stackと重さユニットで、まずははかりを作ってみるのがおすすめです。少しの力で数字が動くのを見ると、きっとアイデアが湧いてきますよ。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、手を乗せるだけで、見えないほどの力を言葉に変える、ヨミトリ君4号機でした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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