ProtoPedia Video Maker

6個の数字で日本語をしゃべる「イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジン」|AIもネットも使わない声

紹介した作品: イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジンProtoPedia での反響: 閲覧 1,100+ ・ ♥ 23

ProtoPedia の作品「イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジン」を2人のMCが初心者目線で紹介。AI の音声合成は大きな記憶場所と計算が必要で、切手ほどの小さなマイコンには入りきりません。作者は1980〜90年代に広く使われたフォルマント合成をイチから学び、録音も学習データも使わずに、6個の数字で母音や子音を作るエンジンを自作しました。声が「のどの音+口の形」でできている仕組み、漢字の代わりに印つきカタカナを読む割り切り、3種類のマイコンを差し替えて比べられる作りまで。

チャプター

文字起こし(87行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジン。
BANNO
写真を見ると、ポテトチップスの筒ですよね?これがしゃべるんですか?
HIGEDARUMA
そうなんです。ふたにスピーカーが付いていて、中の小さなコンピューターが日本語をしゃべるんですよ。
BANNO
音声合成って、文字を声にする技術ですよね。今はスマホでも当たり前な気がしますけど。
HIGEDARUMA
この作品のポイントは、ネットにもAIにも頼らず、指先ほどのコンピューターだけで声を作っているところなんです。
BANNO
AIを使わないって、わざわざですか?AIの方が上手そうですけど。
HIGEDARUMA
実は、今しゃべっている僕たち2人の声も合成音声なんです。AIに人の声を覚えさせて作る方式ですね。
BANNO
えっ、そうなんですか。たしかに、かなり自然に聞こえますよね。
HIGEDARUMA
その代わり、たくさんの声のお手本と、大きな記憶場所と、速い計算が必要なんです。
HIGEDARUMA
今回の作品が使うのは、家電やおもちゃに入っているような、マイコンと呼ばれる小さなコンピューターです。
BANNO
マイコンって、どれくらい小さいんですか?
HIGEDARUMA
この作品のマイコンは、切手くらいの大きさです。
HIGEDARUMA
作業用の記憶場所は数百キロバイト。スマホのおよそ数万分の1しかありません。
BANNO
数万分の1!それじゃあ、AIの声はとても入りきらないですね。
HIGEDARUMA
作者も、マイコンには荷が重い、と書いています。だから、ふつうはネットの向こうの大きなコンピューターに頼るんです。
BANNO
じゃあ作者は、どうしたんですか?
HIGEDARUMA
1980年代から90年代に広く使われた、フォルマント合成という昔ながらの方式を、イチから学んで作ったんです。
BANNO
あえて昔の方式を選んだんですね。なんだかロマンがあります。
HIGEDARUMA
ちなみに、作者のデモ動画のナレーションは、このエンジン自身の声なんですよ。
BANNO
自分で作った声に、自分の作品を紹介させているんですね。かわいいです。
BANNO
そもそもフォルマント合成って、どうやって声を作るんですか?
HIGEDARUMA
その前に、ばんのさん。ちょっと「あー」と言って、そのまま「いー」に変えてみてください。
BANNO
あー、いー。あれ?のどはそのままで、口の形だけが変わりましたね。
HIGEDARUMA
それなんです。声は、のどで作った音を、口の形で作り変えて出しているんですよ。
HIGEDARUMA
まず、のどの奥の声帯がふるえて、ブーという音のもとを作ります。これを音源と呼びます。
HIGEDARUMA
次に、のどや口の形が、ふるいのように、通りやすい音と通りにくい音を分けます。これがフィルタです。
BANNO
音のもとを、口の形のふるいに通すと声になる。それを計算でまねするんですね。
HIGEDARUMA
そうです。声の高さは、声帯が1秒に何回ふるえるかで決まります。
HIGEDARUMA
一方で、「あ」と「い」の違いは、口の形によって強く響く音の高さで決まるんです。これがフォルマントです。
BANNO
だからフォルマント合成、という名前なんですね。じゃあ、声の音のもとって、いつも同じブーなんですか?
HIGEDARUMA
いい質問です。母音は、声帯のふるえをまねて、トン、トン、トンと規則正しく並んだ音を使うんです。
BANNO
じゃあ、子音はどうなるんですか?
HIGEDARUMA
か行やさ行などの子音は、シャーという雑音を音のもとにするんですよ。
BANNO
ひそひそ話のシャーですね。音のもとも、2種類を使い分けるんですね。
HIGEDARUMA
ふるいの方は3枚重ねです。1枚ごとに、真ん中の音の高さと、通す幅の2つの数字で決まります。
HIGEDARUMA
つまり、たった6個の数字で、母音や子音を作り分けているんですよ。
BANNO
6個だけ!録音した声を使うわけでもないんですか?
HIGEDARUMA
使いません。録音した声も、AIに覚えさせるお手本もゼロなんです。だから超軽量なんですよ。
BANNO
お手本なしで、数字だけで声を組み立てる。理科の実験みたいで、わくわくしますね。
BANNO
でも日本語って、漢字もありますよね。マイコンは漢字も読めるんですか?
HIGEDARUMA
そこが日本語の難しいところです。漢字まじりの文を読むには、単語に分けて、読み方とアクセントを当てる必要があるんです。
HIGEDARUMA
そのための辞書が大きすぎて、マイコンには入らないんですよ。
BANNO
じゃあ、文章は読めないんですか?
HIGEDARUMA
そこで作者は割り切りました。読み方の印をつけたカタカナを、パソコンから送ってもらう仕組みにしたんです。
BANNO
なるほど、苦手なところは外に任せたんですね。印って、どんな印ですか?
HIGEDARUMA
日本語のアクセントは、音の高い低いなんです。たとえば「ねこ」は、「ね」が高くて「こ」で下がりますよね。
HIGEDARUMA
どこで下がるかさえ分かれば、高い低いは全部決まります。だから、下がる場所に印を1つ付けるだけでいいんです。
BANNO
印ひとつで済むんですね。それなら送る文も簡単に作れそうです。
HIGEDARUMA
実は、ゆっくりボイスの読み方の指定と同じ書き方なんです。作者は、ゆっくりボイスも似た方式ではないか、と推測しています。
BANNO
あのおなじみの声と、親戚かもしれないんですね。急に身近に感じます。
BANNO
実際の作品は、どうつながっているんですか?
HIGEDARUMA
まず、パソコンのブラウザで印つきのカタカナを打って、USBかBluetoothでマイコンに送ります。
HIGEDARUMA
マイコンが声の波を計算して、アンプという部品で大きくして、スピーカーから鳴らすんです。
BANNO
電源はどうしているんですか?
HIGEDARUMA
単三電池2本です。電池から必要な電圧を作る小さな基板も、ついでに自作しています。
BANNO
ついでに基板まで!手づくりの量がすごいですね。
HIGEDARUMA
しかも、シードスタジオのXIAOという、切手くらいのマイコン3種類に対応しているんです。
HIGEDARUMA
ピンの並びが同じなので、基板に差し替えるだけで3種類を比べられるんですよ。
BANNO
同じ声を、違うマイコンで鳴らし比べられるんですね。値段はどれくらいなんですか?
HIGEDARUMA
作者が公開している部品のリストでは、マイコン1枚がおよそ800円から1700円です。
BANNO
お小遣いで買える値段ですね!
HIGEDARUMA
声を作る中心の部分は、特別な道具に頼らずに書いているので、ほかのマイコンにも移しやすいんです。
HIGEDARUMA
ただ、音を送り出す部分はマイコンごとに作りが違うので、3種類ぶん書き分けているんですよ。
BANNO
見えないところで、地道な作業をしているんですね。
BANNO
作ったのは、西村備山さんです。
HIGEDARUMA
DigiKeyのものづくりコンテストで、ファイナリストに選ばれています。
BANNO
西村さんは、どうしてこれを作ろうと思ったんですか?
HIGEDARUMA
AIの声は自然だけど、小さなマイコンには荷が重い。だから昔ながらの方式を、イチから学んで作ってみた、と書いています。
HIGEDARUMA
日本語のアクセントの仕組みや、日本語の音の分け方も、ブログで1つずつ整理してから作っているんですよ。
BANNO
声を作るために、まず日本語そのものを勉強したんですね。
HIGEDARUMA
しかも正直なんです。「イチから」と名前に付けたけれど、
HIGEDARUMA
先に公開されていたプロジェクトの数字を借りた、と感謝つきで書いています。
BANNO
そういう正直さ、いいですね。応援したくなります。
HIGEDARUMA
人の声そっくりではない。でも、録音も学習もいらない軽さは、ほかに代えがたい、とも書いています。
HIGEDARUMA
昔の技術を自分で作ってみると、仕組みの理解が深まって、とても面白い体験だったそうです。
BANNO
これで完成、というわけではないんですか?
HIGEDARUMA
作者は、ゆっくりボイスの質にはまだ近づけないけれど、これからも改良を続けたい、と書いています。
BANNO
では、今日の一歩です。鏡の前で、「あー」から「いー」と、ゆっくり言ってみてください。
BANNO
のどはそのまま、口の形だけで声が変わる。それが、この作品の仕組みそのものです。
HIGEDARUMA
もう一歩いくなら、GitHubのMiniVoxJをのぞいてみてください。
HIGEDARUMA
マイコン1枚と、アンプとスピーカーから始められます。
HIGEDARUMA
AIの時代だからこそ、仕組みを自分の手で作ってみる。そこがいちばん面白いところですよ。
BANNO
さて、今日紹介したのは、6個の数字で日本語をしゃべる、イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジンでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
イチから作る超軽量ローカル音声合成エンジン
作者: 西村備山
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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