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吹くと秘密がよみがえる3Dプリントの笛「CipherFlute」|スマホなしでも、耳だけで読み出せる

紹介した作品: CipherFluteProtoPedia での反響: 閲覧 460+ ・ ♥ 3

ProtoPedia の作品「CipherFlute」を2人のMCが初心者目線で紹介。3Dプリンタで作った小さな笛の音の高さに、暗証番号のような「いざという時の秘密」をしまっておく仕組みです。笛の長さで情報を覚える方法、基準の笛と穴埋めの仕掛け、ピアノや照合笛で耳だけで読み出せる理由、AIに話しかけるだけでペン立てや本立てに笛を埋め込む方法、かるた札やペアカードで秘密を分けて持つ遊び心まで。

チャプター

文字起こし(84行)
BANNO
ゆっくりばんのです。
HIGEDARUMA
ゆっくりひげだるまです。
BANNO
今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
HIGEDARUMA
今日紹介するのは、CipherFlute。
BANNO
サイファーフルート。フルートって、あの笛のことですか?
HIGEDARUMA
そうなんです。3Dプリンタで作った小さな笛に、暗証番号のような秘密をしまっておく仕組みなんですよ。
BANNO
笛に秘密を?吹いたら秘密が出てくるんですか?
HIGEDARUMA
まさにそれです。しかも読み出すのに、スマホすらいらないんです。
BANNO
ええっ。今日はその不思議な笛の話ですね。
BANNO
そもそも、どんな秘密をしまうためのものなんでしょうか?
HIGEDARUMA
たとえば、仮想通貨の財布を元に戻すための合言葉や、暗証番号です。
BANNO
ああ、めったに使わないけど、なくしたら取り返しがつかないやつですね。
HIGEDARUMA
そうなんです。紙に書いておくと、誰かに見られたり、なくしたりします。
HIGEDARUMA
スマホやクラウドに入れても、機械が壊れたりサービスが終わったりすると消えてしまうんですよね。
BANNO
たしかに。じゃあ、この作品はどこにしまうんですか?
HIGEDARUMA
笛の中の空洞の長さとして、ペン立てや本立てのような日用品の中にしまうんです。
BANNO
見た目はただの雑貨なのに、中に秘密が入っている。ちょっとスパイ映画みたいですね。
HIGEDARUMA
作者は、毎日使うのではなく、いざという時に1回だけ読み出す使い方を想定しています。
BANNO
でも、笛の長さで、どうやって秘密を覚えておけるんですか?
HIGEDARUMA
管が長い笛は低い音、短い笛は高い音が鳴りますよね。
HIGEDARUMA
この作品では、ピアノの高いほうの鍵盤12個ぶんの音から、笛1本ごとに1つを選んで作ってあるんです。
BANNO
12種類の音のどれか、ということは、笛1本で12通りですね。
HIGEDARUMA
はい。それを何本も並べると、組み合わせがどんどん増えます。ダイヤル錠の桁が増えるイメージなんです。
BANNO
どれくらい並べれば、大事な合言葉が入るんでしょうか?
HIGEDARUMA
クレジットカードの大きさの板に笛8本。財布に入る大きさの作例です。
HIGEDARUMA
仮想通貨の財布の合言葉くらいの大きさなら、笛49本で記録できるんですよ。
BANNO
49本!でも、笛ごとに形が違ったら、見ただけでバレちゃいませんか?
HIGEDARUMA
そこがうまいんです。外側の大きさは全部同じで、中の空洞の長さだけが違うんです。
BANNO
なるほど。でも私、絶対音感なんてないですよ。音を聞き分けられるか心配です。
HIGEDARUMA
大丈夫です。音の高さが分かっている基準の笛を、最初に1本吹くんです。
HIGEDARUMA
ほかの笛は、その基準から何段上かで読むので、気温が変わっても、絶対音感がなくても読めるんですよ。
BANNO
もし1本だけ、うまく鳴らなかったらどうなるんですか?
HIGEDARUMA
誤り訂正という仕掛けが入っていて、ほかの笛の情報から、鳴らなかった1本を穴埋めできるんです。
BANNO
いざという時に読めなかったら困りますもんね。そこまで考えてあるのは安心です。
BANNO
実際に読み出すときは、どうするんですか?
HIGEDARUMA
笛を順番に吹いて、スマホのウェブアプリに聞かせるだけです。アプリを入れておけば、ネットがなくても動きます。
BANNO
そこまでは、わかりやすいですね。でも、スマホすらいらないって言っていましたよね?
HIGEDARUMA
そうなんです。笛と同じ高さの音を、そのへんのピアノで探せば、耳だけで読めるんです。
HIGEDARUMA
ピアノがなければ、3Dプリントした照合笛を使います。12個の音が番号つきで並んだ、読み取り用の物差しなんです。
BANNO
物差しの笛と、秘密の笛を聞き比べるんですか?
HIGEDARUMA
はい。高さが近いと、ワンワンという音の揺れが出るんです。ぴったり同じになると、その揺れがすっと消える。消えた番号が答えです。
HIGEDARUMA
さらに、紙の早見表を使えば、さっきの穴埋めの計算まで手でできるんです。
BANNO
スマホもパソコンも使わずに。でも、なぜそこまで機械に頼らないようにしたんでしょうか?
HIGEDARUMA
作者は、冲方丁さんのSF小説がきっかけの一つだと書いています。
HIGEDARUMA
電子のデータは、誰かがコピーを続けないと消えてしまう。でもプラスチックは、千年単位で残り続ける、という話なんです。
BANNO
プラスチックが残り続けるって、ふつうは環境問題の話ですよね。
HIGEDARUMA
そうなんです。作者は、その「朽ちない」という短所が、子孫への贈り物としては長所にひっくり返る、と見たんです。
HIGEDARUMA
AIやインターネット、計算機さえ今ほど使えない未来が来る可能性も、ゼロではない。その備えでもあるそうです。
BANNO
秘密を、何百年先にも届く形にしておく。ロマンがありますね。
HIGEDARUMA
しかも秘密は笛の長さ、つまり寸法なので、印刷の文字と違って、表面が傷んでも消えないんですよ。
BANNO
日用品の中に隠すという話でしたけど、どんなものがあるんですか?
HIGEDARUMA
たとえば、ペン立ての箱。中のペンを出して窓を開けて、初めて笛が吹けるんです。
HIGEDARUMA
本立ての作例では、底の板に笛が36本並んでいます。
BANNO
言われなければ、ただの本立てにしか見えないですね。
BANNO
でも、自分の好きな形に笛を入れるのは、難しそうです。
HIGEDARUMA
そこはAIの出番なんです。作者は、AIに渡すための手順書を公開しています。
HIGEDARUMA
「CipherFluteのスキルを使って、この3Dモデルに笛を埋め込んで」と頼むだけで、手持ちのモデルに笛が入るんです。
BANNO
今日の作例も、そうやって作ったんですか?
HIGEDARUMA
はい。全部、手で設計図をいじらずに、文章の指示だけで作ったそうです。
HIGEDARUMA
ただ、笛の形のくぼみを先に彫っておかないと、周りの材料が空洞を埋めて鳴らなくなるんです。
HIGEDARUMA
そこで、印刷する前に2つの検査をかけて、鳴らない物を作る失敗をほぼ防いでいるんですよ。
BANNO
失敗しやすいところを、先に道具にしてあるんですね。さすがです。
BANNO
ほかに、印象に残った作例はありますか?
HIGEDARUMA
ハートを抜いたペアカードです。2枚を並べるとハートが現れて、秘密も2枚そろって初めて戻るんです。
BANNO
割符みたいですね。1枚だけ拾われても、秘密は分からないと。
HIGEDARUMA
まさに割符です。秘密分散という方法で、1枚からは何も分からないんですよ。
HIGEDARUMA
かるたの札もあります。百人一首の「瀬をはやみ」を、上の句と下の句の2枚に分けたキーホルダーです。
BANNO
あの歌、最後は「われても末に逢はむとぞ思ふ」ですよね。別れても、いつかまた会おう、という。
HIGEDARUMA
そうなんです。歌の中身が、そのまま秘密分散なんですよ。
BANNO
うわあ、遊び心がすごい。北斎の絵のタイルもあるんですよね。
HIGEDARUMA
はい。神奈川沖浪裏を9枚のタイルに分けて、どの2枚がそろっても秘密が戻るようになっています。
BANNO
これ、本物の大事な合言葉にも、すぐ使っていいんでしょうか?
HIGEDARUMA
そこは正直に伝えておきたいです。吹いた音は周りに聞こえるので、録音されたら秘密が漏れます。
HIGEDARUMA
今日の作例はデモ用で、仮想通貨の財布もテスト用の実験です。作者も、本番では合言葉と組み合わせるよう勧めています。
BANNO
だから、いざという時に1回だけ読み出す使い方なんですね。
BANNO
作ったのは、栗原一貴さん。ずっと笛づくりを続けてきた作り手なんですよね。
HIGEDARUMA
はい。AIと一緒に曲を吹ける笛を作り、カードの形の笛を作り、今度はそれを秘密の入れ物にしたんです。
HIGEDARUMA
作者は、個々人が未来に伝えるためのものづくりを切り拓きたい、と書いています。
BANNO
造形データやアプリ、AIの手順書のリンクは、概要欄に置いておきますね。
BANNO
では、今日の一歩。3Dプリンタを持っている人は、公開されている笛を数本、印刷してみてください。
HIGEDARUMA
読み出し用のウェブページを開いて吹くだけで、音が記号に変わるのを試せます。作者いわく、5分で試せるそうです。
BANNO
3Dプリンタがない人は、未来の誰かに形で残したいものを、ひとつ思い浮かべてみてください。
BANNO
さて、今日紹介したのは、吹くと秘密がよみがえる笛、CipherFluteでした。
HIGEDARUMA
次回の作品でも、ゆっくりしていってね。

クレジット

紹介した作品
CipherFlute
作者: 栗原 一貴
ライセンス: CC BY 4.0
※作品の画像・動画は、紹介のために切り抜き・編集して使用しています。
声
BANNO さんと HIGEDARUMA さんの録音をもとにした合成音声です。

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