ドローン用モーターをわざと遅く回す「ソフトクリームファン🍦」|はんだ不要、ネジを締めて作る甘い香りの扇風機
ProtoPedia の作品「ソフトクリームファン🍦」を2人のMCが初心者目線で紹介。ソフトクリームの形をした手のひらサイズの扇風機で、ボタンを押すと風が出て、オリジナルのテーマ曲が流れ、色に合わせた甘い香りが風にのります。小学校に入る前の子も参加するワークショップのために、はんだごてを使わずドライバーでネジを締めて組み立てられるよう設計。高速回転が得意なドローン用モーターを、約290円のマイコンで1ミリ秒だけON・15ミリ秒OFFという制御にして、わざとゆっくり回す「お菓子な回路」の仕組みや、AIで作った曲を耳コピでマイコンに載せた話、当日に間に合わせたチームの奮闘まで。
チャプター
0:00オープニング0:20甘くて涼しくて音が鳴る1:03ボタンを押すと…2:14親子で作るワークショップ3:51システム構成4:43お菓子な回路6:38AIの曲を人の耳で7:24当日に間に合うのか!?8:39設計データを公開中9:24エンディング
文字起こし(89行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、ソフトクリームファン。
- BANNO
- 見た目は、どう見てもソフトクリームですよね。でも、ファンなんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。手のひらに乗るくらいの、ソフトクリームの形をした扇風機なんですよ。
- HIGEDARUMA
- しかもこの中には、ドローン用のモーターが入っているんです。
- BANNO
- ドローン?ソフトクリームとドローン、ぜんぜん結びつかないですね。あとで詳しく聞かせてください。
- BANNO
- 作ったのは、CuteeWorksという3人組のチームですね。
- BANNO
- これ、どうやって使うんですか?
- HIGEDARUMA
- コーンのところのボタンを押している間だけ、羽根が回って、クリームのあたりから風が出るんです。
- HIGEDARUMA
- しかも同時に、スピーカーからオリジナルの曲が流れるんですよ。
- BANNO
- 曲まで!どんな曲なんですか?
- HIGEDARUMA
- 題名は、ソフトクリームファン行進曲。メンバーのYamada3さんが作詞したんです。
- BANNO
- 歌詞に、美味しそうな見た目だね、だけどコレは食べられない、という一節があるんですね。かわいい。
- BANNO
- 色は3色あるんですよね。
- HIGEDARUMA
- ストロベリーピンク、ペパーミントブルー、バニラホワイトの3色です。
- HIGEDARUMA
- そして色に合わせて、風に香りものせているんです。
- BANNO
- え、扇風機から香りが?どうやって出しているんですか?
- HIGEDARUMA
- 白いフェルトを吹き出し口の大きさに切って、そこに香りのオイルをつけるんです。風が通ると、ふわっと香るんですよ。
- BANNO
- このアイデアは、チームの会議でみんなに出してもらったそうですね。
- BANNO
- いちばん美味しそうだったのはストロベリー、だそうです。私も嗅いでみたいです。
- BANNO
- そもそも、どうしてソフトクリームの扇風機を作ったんでしょう?
- HIGEDARUMA
- つくると!10というイベントで開いた、電子工作のワークショップのために作ったんです。
- HIGEDARUMA
- 参加者には、小学校に入る前の小さなお子さんもいるんですよ。
- BANNO
- えっ、でも電子工作って、はんだごてを使いますよね。熱くて、小さな子には危なくないですか?
- HIGEDARUMA
- そこが工夫なんです。この作品は、はんだごてを一切使わずに組み立てられるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 電線は、ターミナルブロックという部品で留めます。ネジを回すと、電線をぎゅっとはさんで固定できる部品なんです。
- BANNO
- なるほど、ドライバーでネジを締めるだけでつながるんですね。
- HIGEDARUMA
- はい。普通のドライバー、精密ドライバー、調整ドライバーの3種類を使い分けるんです。
- BANNO
- 作者さんは、ネジを回して部品を固定する締結を楽しんでほしい、と書いているんですよね。
- BANNO
- 今はタッチやボタンで済むことが増えて、何かを回す機会が少ない。だからこそ、ネジが締まって形になる手応えを感じてほしい、と。
- HIGEDARUMA
- 分かります。カチッと締まる感覚、気持ちいいんですよね。
- BANNO
- 素材にも気を配っているんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。筐体の樹脂は、おもちゃの材料の安全基準に合ったものを選んでいます。思わず舐めちゃう子がいても安心なように、という配慮です。
- HIGEDARUMA
- ただ作者さんは、材料の認証であって、完成品を口に入れていいという意味ではない、ときちんと書き添えていますね。
- BANNO
- ひげだるまさん、中はどうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 電源は、四角い9ボルトの電池が1個だけなんです。その電池から、直接モーターに電気を送ります。
- HIGEDARUMA
- 一方で、頭脳のマイコンは9ボルトだと強すぎるので、降圧モジュールという部品で5ボルトに下げて使うんです。
- BANNO
- マイコンって、小さなコンピューターのことですよね。
- HIGEDARUMA
- そうです。UIAPduinoという、約290円の小さなマイコンボードなんですよ。
- BANNO
- 290円!お菓子みたいな値段ですね。
- HIGEDARUMA
- そして9ボルトを5ボルトに下げるつまみを、子どもたちが調整ドライバーで回すんです。そこも体験の一部なんですよ。
- BANNO
- ボタンを押すと、マイコンがモーターと音楽を動かす、という流れですね。
- HIGEDARUMA
- ここからが、この作品のいちばん面白いところなんです。
- HIGEDARUMA
- 使っているモーターは、ドローン用なんですよ。
- BANNO
- 出ました、ドローン用のモーター。空を飛ぶためのモーターを、どうしてまた扇風機に?
- HIGEDARUMA
- 作者さんいわく、そこに可愛いモーターがあったから、だそうです。
- BANNO
- 理由が、かわいい!
- HIGEDARUMA
- でもドローン用は、高速で回るのが得意なモーターなんです。扇風機にするには速すぎるんですよ。
- HIGEDARUMA
- しかも回るか止まるか、になりやすくて。速さを落とそうとすると、途中で止まってしまったそうなんです。
- BANNO
- じゃあ、どうやってゆっくり回したんですか?
- HIGEDARUMA
- PWMという方法を使います。電気のスイッチを、目にも止まらない速さでつけたり消したりするやり方なんです。
- HIGEDARUMA
- この作品では、1000分の1秒だけ電気を流して、そのあと1000分の15秒止める。これをずっと繰り返すんです。
- BANNO
- 流すのは、ほんの一瞬なんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。電気を流しているのは、全体の16分の1だけ。だから力は、およそ6パーセントになります。
- BANNO
- 水道の蛇口を、ちょっと開けてはすぐ閉める。それを繰り返して、水をちょろちょろ出す感じでしょうか。
- HIGEDARUMA
- まさにそのイメージです。これで、止まらずに弱く回し続けられるようになったんです。
- BANNO
- 速く回るのが得意なモーターを、わざわざゆっくり回す。ちょっとおかしな回路ですね。
- HIGEDARUMA
- そこで作者さんは、おかしな回路ではなく、ソフトクリームだからお菓子な回路、と呼んでいるんです。
- BANNO
- うまい!
- HIGEDARUMA
- モーターとスピーカーが同じ電池なので、モーターの雑音が音楽に混ざることもあるそうです。そのクセも見どころだそうですよ。
- BANNO
- 行進曲は、どうやって作ったんですか?
- HIGEDARUMA
- 歌詞はYamada3さんで、曲はSuno AIという、歌を作ってくれるAIで作ったんです。
- HIGEDARUMA
- ただ、小さなマイコンで鳴らせるのは、メロディの一本の線だけなんです。
- HIGEDARUMA
- 最初はそのメロディの抜き出しもAIにやらせようとしたんですが、難しかったそうなんですよ。
- BANNO
- そこで、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- メンバーのとり子さんが、曲を耳で聞いて書き起こしたんです。耳コピですね。
- HIGEDARUMA
- それを、マイコンが鳴らせる音の並びに変えて、プログラムに入れています。
- BANNO
- AIが作った曲を、最後は人の耳が仕上げたんですね。いい話です。
- BANNO
- ワークショップの当日までは、かなりドタバタだったみたいですね。
- HIGEDARUMA
- 筐体は3Dプリンターで作るんですが、9個プリントするのに12時間かかったそうです。
- BANNO
- 12時間!ひと晩かかっても終わらないくらいですね。
- HIGEDARUMA
- コーンの中にターミナルブロックを収めるのにも苦戦して、ボタンの部品は、ほぼ当日まで作り直していたそうです。
- BANNO
- 作者さん自身も、よく間に合ったなー、と書いていますね。
- BANNO
- Xに、一度でも失敗したら間に合わないかも、と投稿したら、3Dプリンターを貸してくれる人が現れたんですよね。
- HIGEDARUMA
- しかもUIAPduinoを作った方も、前から相談に乗って、当日も来てくれたそうです。
- BANNO
- ものづくりの仲間って、あたたかいですね。
- BANNO
- メンバーは、MEMETANさん、Yamada3さん、とり子さんの3人です。
- HIGEDARUMA
- 回転の制御がMEMETANさん、メロディがとり子さん。それぞれの得意を持ち寄ったチームなんです。
- BANNO
- ヒーローズ・リーグ2026にもエントリーしています。
- BANNO
- 作者さんの言葉で好きなのが、それでも祭りじゃー、という感じで夢中になれるのは本当に楽しい、というところです。
- HIGEDARUMA
- プログラムも、ソフトクリームの形のデータも、基板のデータも、GitHubで公開されているんです。
- BANNO
- じゃあ今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 家にあるドライバーで、ゆるんだネジを1本、締めてみてください。カチッと止まる手応えが、電子工作の入り口です。
- HIGEDARUMA
- そのあとで、GitHubのページをのぞいて、ソフトクリームの中身を見てみてください。部品の名前が、今日の話とつながるはずです。
- BANNO
- かわいいから作ってみたい。それで十分なきっかけなんですね。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、お菓子な回路で甘い香りの風を届ける、ソフトクリームファンでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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