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油の中を水玉が流れ続ける「無限オイルタイマー」|お酒を飲みながら静かに眺める、本物の物が動く合わせ鏡
ProtoPedia の作品「無限オイルタイマー」を2人のMCが初心者目線で紹介。ビー玉が転がるからくり「マーブルマシン」が大好きだけど、ずっと眺めるにはちょっとうるさい。そこで作者は、油の中を色水の玉が転がる砂時計の仲間「オイルタイマー」にして静かにし、下に溜まった水をポンプで上へ戻して、ひっくり返さなくても流れ続けるようにしました。坂の角度30〜35度でやっと玉になった話、モーター1個と静音ドライバでポンプの音を消した工夫、合わせ鏡で本物の水玉が奥へ無限に連なる見たことのない景色、接着剤で漏れまくった試行錯誤まで。
チャプター
0:00オープニング0:20静かに、ずっと、無限に1:07マーブルマシン=ビー玉が転がり続けるからくり2:29水は油より重く、混ざらない4:08静かにするのは必須5:39インフィニティミラー=合わせ鏡で奥がずっと続いて見える7:34接着剤は失敗しまくり、漏れまくり9:22今日できる最小の一歩10:16エンディング
文字起こし(92行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もプロトペディアから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、無限オイルタイマー。
- BANNO
- 写真を見ると、銀色の額縁みたいな箱の中を、青い粒がジグザグに並んでいますね。
- HIGEDARUMA
- その青い粒は、全部、水の玉なんです。油の中を、坂に沿ってころころ転がり落ちていくんですよ。
- BANNO
- 横にお酒のグラスが置いてあるのも、いい雰囲気ですね。
- HIGEDARUMA
- 実はそこが、この作品の出発点なんです。作者さんは、こう書いています。
- BANNO
- マーブルマシン的なものを、お酒を飲みながら、静かに楽しみたい。
- BANNO
- まず、マーブルマシンって何でしょうか?
- HIGEDARUMA
- ビー玉が、坂やレールの上をずっと転がり続けるからくりです。上まで運ばれては、また転がる。見ていると止まらないんですよ。
- BANNO
- ああ、ぼーっと眺めちゃうやつですね。いいじゃないですか。
- HIGEDARUMA
- ただ、ビー玉なので、カラカラ、コトコト、音がするんです。
- BANNO
- たしかに。夜に一杯やりながらだと、ちょっと気になりそうですね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんも、大好きだけど、ゆっくり楽しむにはちょっとうるさいよね、と書いています。
- BANNO
- 好きなのに、うるさい。じゃあ、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- 答えがすごくシンプルで。オイル漬けにして、静かにさせよう、なんです。
- BANNO
- オイル漬け!ビー玉を油に沈めちゃうんですか?
- HIGEDARUMA
- 近いです。ビー玉の代わりに水の玉を使う、オイルタイマーという置き物があるんですよ。
- HIGEDARUMA
- 砂時計の砂の代わりに、油の中を色の付いた水の玉が、ゆっくり落ちていく。砂時計の仲間なんです。
- BANNO
- 見たことあります。雑貨屋さんにありますよね。でも砂時計って、落ちきったら、ひっくり返さないといけないですよね?
- HIGEDARUMA
- そこなんです。この作品は、ひっくり返さなくても、ずっと流れ続けるんですよ。
- BANNO
- ずっと流れ続ける。いったい、どうなっているんですか?
- HIGEDARUMA
- 順番にいきますね。まず、水は油より重くて、しかも混ざらないんです。
- HIGEDARUMA
- だから、油の中に水を入れると、丸い玉になって、下へ沈んでいくんですよ。
- BANNO
- ドレッシングの、油と酢が分かれているのと同じですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。その水の玉を、透明な板で作った、ななめの坂に転がしているんです。
- HIGEDARUMA
- ただ、ここで一回、失敗しているんですよ。坂がゆるいと、水がベターっと広がって、玉にならなかったそうです。
- BANNO
- へえ、角度で変わるんですね。何度ならうまくいったんですか?
- HIGEDARUMA
- 作り直して、坂を30度から35度くらいにしたら、やっと玉になって転がったそうです。
- BANNO
- じゃあ、下まで落ちきった水は、どうなるんでしょう?
- HIGEDARUMA
- 下に溜まった水を、ポンプで吸い上げて、上へ戻しているんです。だから、ひっくり返さなくていいんですよ。
- BANNO
- なるほど。砂時計を、自分でひっくり返し続けてくれる仕組みなんですね。
- HIGEDARUMA
- 全体の構成図がこちらです。手前に青い水の層、奥に紫の水の層。その下にポンプとモーターがあります。
- BANNO
- 構成図に、Arduinoって書いてありますね。
- HIGEDARUMA
- Arduinoは、手のひらサイズの小さなコンピューターです。モーターをどれくらいの速さで回すか、光を何色にするかを指示する、指揮役なんです。
- BANNO
- リモコンで、流れる速さや色も変えられるんですね。
- BANNO
- でも、ポンプやモーターって、ウィーンって音がしそうですけど、大丈夫なんですか?
- HIGEDARUMA
- そこが、作者さんがいちばんこだわったところなんです。静かにするのは必須、と書いて、徹底的にやっています。
- HIGEDARUMA
- 音の出どころを、3つに分けて潰しているんですよ。
- BANNO
- 3つ。ひとつ目は何でしょう?
- HIGEDARUMA
- ひとつ目は、こすれる音です。玉が液体の中を動くので、そもそも、ほとんど音が出ないんです。
- HIGEDARUMA
- ふたつ目は、モーターの回る音です。決まった角度ずつ回るモーターを、静音ドライバという部品で、滑らかに回しています。
- BANNO
- カクカク回すと、音が出ちゃうんですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。そして3つ目が、音を出す部品の数を減らすことなんですよ。
- HIGEDARUMA
- ポンプは、やわらかい管をローラーでしごいて水を押し出すタイプを自作して、2本の管を、モーター1個で動かしているんです。
- BANNO
- 歯みがき粉のチューブを、指でしごく感じですか?
- HIGEDARUMA
- まさにそのイメージです。さらに冷やすためのファンも用意したのに、温度が上がらないと分かって、外しちゃったんですよ。
- BANNO
- せっかく付けたファンまで外す。静かさへの本気が伝わりますね。
- BANNO
- 作者さん、静かなのって無限って感じしませんか、とも書いていますね。
- HIGEDARUMA
- そのあとに、こじつけですか、そうですか、と自分でつっこんでいるのが、いいんですよね。
- BANNO
- それで、作品名の無限。もうひとつの意味が、この奥行きですよね?
- HIGEDARUMA
- はい。インフィニティミラー、という仕掛けです。鏡を向かい合わせにすると、奥へ奥へと、ずっと続いて見えますよね。
- BANNO
- エレベーターの中の、鏡と鏡の間みたいなやつですね。
- HIGEDARUMA
- それです。ふつうは、並べた光を映して、動いているように見せるものが多いんです。
- HIGEDARUMA
- でもこの作品は、本物の水の玉が転がっていて、それが奥へ奥へと、いくつも連なって見えるんですよ。
- BANNO
- 本物が動いている合わせ鏡。たしかに、あまり見たことがないですね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんも、リアルな物が動くインフィニティミラーは、見たことないのでは、と書いています。
- BANNO
- これ、最初から思いついていたんですか?
- HIGEDARUMA
- 作っている途中で、透明でLEDも付いているし、インフィニティミラーにできるのでは、とひらめいたそうです。
- HIGEDARUMA
- ただ最初は、中身が自分で光らないと、奥まで映らないと思い込んでいたんですよ。
- BANNO
- じゃあ、光る水を作ったんですか?
- HIGEDARUMA
- そうなんです。蛍光塗料を入れた水に、紫外線のライトを当てて作りました。
- HIGEDARUMA
- ところが途中で、光らなくても、普通にずっと奥まで映ると分かったんです。それで、色を変えられる普通の光に作り直しています。
- BANNO
- やってみて分かること、ありますよね。夜の居間くらいの明るさでも、ちゃんと奥行きが出るそうですね。
- BANNO
- しかも本物の水なので、毎回ちょっとずつ、動きが違うんですよね。
- HIGEDARUMA
- 少しの揺れで動きが変わって、それが味になるんです。流す速さを変えると、水の玉どうしがくっついて、合体したりするんですよ。
- BANNO
- 作者さんは、水の玉をスライムたち、と呼んでいますね。かわいい。
- BANNO
- 見た目はシンプルですけど、作るのは大変だったんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- 大変だったみたいです。まず、水と油を閉じ込める透明な箱を、アクリルの板で手作りしているんですが、
- HIGEDARUMA
- 接着剤は失敗しまくり、漏れまくり、と書いています。
- BANNO
- 油が漏れるのは、きついですね。どうやって止めたんですか?
- HIGEDARUMA
- やすりで削って、紫外線で固まる樹脂、UVレジンで貼る方法に落ち着いたそうです。力を均等にかけて貼るコツもあるんだとか。
- HIGEDARUMA
- 油選びもそうです。ねばり気を選べる油だと、重すぎて水が沈みにくい。結局、ベビーオイルがいい、となったんですよ。
- BANNO
- ベビーオイル!ドラッグストアで買える、あれですよね。
- HIGEDARUMA
- 台の中には、もし漏れても大丈夫なように仕切りの壁があって、配線もわざとたるませて、液が伝ってこないようにしているんです。
- BANNO
- 漏れることまで考えて作ってあるんですね。
- HIGEDARUMA
- 作者さんの感想がこちらです。一つ一つがマイナー技術で、お手本となる方が見当たらず、めちゃくちゃ試行錯誤が大変でした。
- BANNO
- そして、見せられる形まで持ってこられてよかった、と。この一言、ぐっときますね。
- BANNO
- この作品、名前の無限には、4つの意味が込められているんですよね。
- HIGEDARUMA
- ずっと流れ続ける、時間の無限。合わせ鏡の、奥行きの無限。本物が動き続ける、連続の無限。
- BANNO
- そして最後が、静かさの無限ですね。
- BANNO
- 作ったのは、作者さんひとり。個人で作った作品です。
- HIGEDARUMA
- ヒーローズ・リーグ2024にも、エントリーしていました。
- BANNO
- 好きなものの、ちょっとした不満を、別の仕組みで解決する。発想がすてきですね。
- HIGEDARUMA
- うるさいなら、油に沈めればいい。言われてみれば、なるほどなんですよね。
- BANNO
- じゃあ今日できる、いちばん小さな一歩です。
- BANNO
- 透明なコップに、ベビーオイルかサラダ油を入れて、色を付けた水を、スプーンでひとしずく落としてみてください。
- HIGEDARUMA
- 水が丸い玉になって、ゆっくり沈んでいくはずです。それが、この作品のいちばん小さな部品なんですよ。
- HIGEDARUMA
- 動いている様子は、作品ページの動画で見られます。ぜひ、静かな夜に眺めてみてください。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、油の中を水の玉が静かに流れ続ける、無限オイルタイマーでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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