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ロボットが自分でワニを叩く「AIワニワニパニック」|写真1枚で育てる物体検出と、人のお手本をまねる模倣学習
ProtoPedia の作品「AIワニワニパニック」を2人のMCが初心者目線で紹介。ゲームでおなじみのワニワニパニックを、AIを積んだロボットアームが自分で叩きます。ワニが速すぎる壁は、マイコン XIAO を組み込んでワニを遅くする改造で突破。ワニ1匹につき写真1枚から合成写真1000枚を作り、手作業の印付けなしでワニを見つけるAIを育てました。さらに人が20分お手本を見せる模倣学習でも、ロボットがワニを叩けるように。作者はからあげさんと matsujirushi さん。Maker Faire Tokyo 2025 出展。
チャプター
0:00オープニング0:20ロボットがワニワニパニック?1:14最初の壁:ワニが速すぎる2:45方法① 目で見て叩く6:02方法② お手本をまねて覚える8:152つの方法を比べると9:37開発素材10:55エンディング
文字起こし(95行)
- BANNO
- ゆっくりばんのです。
- HIGEDARUMA
- ゆっくりひげだるまです。
- BANNO
- 今日もProtoPediaから、とびきり面白い作品を紹介していきますよ。
- HIGEDARUMA
- 今日紹介するのは、AIワニワニパニック。
- BANNO
- ワニワニパニックって、ゲームセンターにある、あのワニを叩くゲームですよね?
- HIGEDARUMA
- そのワニワニパニックです。写真を見てください。おもちゃ版のワニワニパニックの前に、白いロボットの腕が立っていますよね。
- BANNO
- あ、本当だ。腕の先に、ハンマーみたいなものが付いてます。
- HIGEDARUMA
- このロボットが、カメラで自分でワニを見つけて、叩きにいくんです。人は操作しません。
- BANNO
- ロボットがゲームで遊ぶんですか!楽しそうですね。
- HIGEDARUMA
- 作ったのは、ソフト担当のからあげさんと、ハード担当のmatsujirushiさん。2人のチームです。
- BANNO
- でも、ロボットにワニを叩かせるのって、難しくないんですか?
- HIGEDARUMA
- 難しいんです。最初にぶつかった壁は、ワニが速すぎる、でした。
- HIGEDARUMA
- 作者さんが動画で測ったところ、ワニが穴から顔を出しているのは、だいたい1秒くらいなんです。
- BANNO
- 1秒!人間でも、けっこう焦りますよね。
- HIGEDARUMA
- はい。ロボットの腕は人の腕ほど素早く動けないので、そのままでは全然間に合わないんですよ。
- BANNO
- じゃあ、ロボットをもっと速くしたんですか?
- HIGEDARUMA
- それが逆なんです。ワニのほうを遅くしちゃいました。
- BANNO
- ワニを遅く!相手を変えちゃうんですね。
- HIGEDARUMA
- ハード担当のmatsujirushiさんが、おもちゃの中にマイコンを組み込んだんです。マイコンは、家電やおもちゃに入っている、手のひらより小さなコンピューターのことです。
- BANNO
- おもちゃの中身を、作り替えちゃったんですね。
- HIGEDARUMA
- 構成図を見ると、真ん中にSeeedのXIAOというマイコンがあります。ワニを動かすモーターも、叩かれたことを知るスイッチも、効果音のスピーカーも、全部ここにつながっています。
- HIGEDARUMA
- これで、ワニの速さを、プログラムを書き換えるだけで自由に変えられるようになりました。
- BANNO
- すごい。それ、時間がかかったんじゃないですか?
- HIGEDARUMA
- からあげさんの記事には、matsujirushiさんが一晩でやってくれました、と書いてあるんです。
- BANNO
- 一晩で!ソフトとハードで、得意なことを分け合っているのがいいですね。
- BANNO
- ワニが遅くなったら、次はロボットがワニを見つける番ですね。
- HIGEDARUMA
- はい。ここで使うのが、物体検出というAIです。写真や映像の中の、どこに何があるかを見つけてくれるんです。
- HIGEDARUMA
- この画像を見てください。顔を出したワニを、青い四角でぴったり囲んでいますよね。
- BANNO
- 本当だ。ワニの場所が分かれば、そこを叩けばいいわけですね。
- HIGEDARUMA
- そうなんです。ただ、ふつうはこのAIを育てるのが、すごく大変なんですよ。
- BANNO
- 何が大変なんですか?
- HIGEDARUMA
- ワニが写った写真を、数百枚から数千枚用意して、1枚ずつここにワニがいる、と印を付けていくんです。アノテーションと呼ばれる作業です。
- BANNO
- 数千枚に、手で印を!考えただけで、気が遠くなりますね。
- HIGEDARUMA
- からあげさんも記事で、魂を削る孤独な作業、地獄ですね、と書いています。
- BANNO
- 地獄って言っちゃってる。じゃあ今回は、どうしたんですか?
- HIGEDARUMA
- ここが一つ目の見どころです。ワニ1匹につき、写真を1枚だけ撮ったんです。
- HIGEDARUMA
- ピンセットでワニを引っぱり出して、1匹ずつ撮影します。
- BANNO
- 1枚だけ?それで足りるんですか?
- HIGEDARUMA
- そのままでは足りません。そこで、撮ったワニを切り抜いて、いろんな背景に貼り付けた写真を、コンピューターに自動で作らせるんです。
- HIGEDARUMA
- どこに貼ったかはコンピューター自身が分かっているので、ここにワニがいる、という印も自動で付きます。
- BANNO
- なるほど!貼った本人だから、場所を知っているわけですね。
- HIGEDARUMA
- そうです。こうして作った練習用の写真は1000枚。人が印を付ける作業は、ゼロです。
- BANNO
- 写真1枚から1000枚。手作業の地獄が、まるごと消えたんですね。
- HIGEDARUMA
- ただ、すんなりとはいきませんでした。古いAIのモデルで試すと、ワニの位置がずれたり、見つけられなかったりしたんです。
- HIGEDARUMA
- そこで新しいモデルに替えたら、実際の写真でも十分使えると感じるくらい、正しく見つけられるようになりました。
- BANNO
- AIの中身を替えただけで、そんなに変わるんですね。
- HIGEDARUMA
- からあげさんは数年前にも同じやり方を試して、全く性能が出なかったそうです。それが今はできる。記事でも、AIの進化には目を見張るばかり、と驚いています。
- BANNO
- スピードは間に合うんですか?ワニは1秒しか出ていないんですよね。
- HIGEDARUMA
- いい質問です。腕が動く時間を考えると、0.2秒以内にワニを見つけたい。そこで、AIが得意な小さなコンピューター、Jetsonで動かしました。
- HIGEDARUMA
- 結果、カメラの映像から1回ワニを見つけるのにかかる時間は、0.1秒ほど。目標の半分です。
- BANNO
- 0.1秒!まばたきくらいの速さですね。
- HIGEDARUMA
- ワニが出てくる穴は5か所あるので、穴ごとに叩く動きを5パターン用意しておきます。見つけた穴に合わせて、その動きを再生するんです。
- BANNO
- 見つける目と、決めておいた動き。この組み合わせで叩くんですね。
- BANNO
- 作品ページには、方法が2つあると書いてありましたよね。もう1つは何ですか?
- HIGEDARUMA
- もう1つは、模倣学習です。人がロボットを動かして見せたお手本を、AIがまねして覚えるやり方なんです。
- BANNO
- お手本を、まねる?
- HIGEDARUMA
- はい。ロボットの腕がもう1本あって、人がそれを手で動かすと、ロボットが同じように動くんです。人が操り人形を動かす感じですね。
- HIGEDARUMA
- そうやって人がワニを叩いて見せた動きと、そのときのカメラの映像を、セットで記録します。
- BANNO
- 子どもに、こうやるんだよ、と手を添えて教える感じですね。
- HIGEDARUMA
- まさにそれです。お手本は1回30秒を30回。合わせて20分くらい、ひたすら人がワニを叩きました。
- BANNO
- 20分も、ずっとワニワニパニック!
- HIGEDARUMA
- 本当は50回から100回くらいあったほうがいいらしいんです。でもからあげさんは、1時間とかロボットでワニワニパニックするのは辛過ぎるので、と書いています。
- BANNO
- 正直ですね。その気持ち、すごく分かります。
- BANNO
- それで、20分のお手本で、ちゃんと覚えられたんですか?
- HIGEDARUMA
- 学習というのは、お手本と自分の動きを比べて、少しずつ直す答え合わせの繰り返しなんです。
- HIGEDARUMA
- 最初にお試しで、この答え合わせを2000回だけ繰り返したら、ワニを全く叩こうとしなかったそうです。
- BANNO
- 全く!やる気ゼロじゃないですか。
- HIGEDARUMA
- そこで本番は、答え合わせを4万回。計算の速いコンピューターを借りて、3時間ちょっとかかりました。
- HIGEDARUMA
- すると今度は、なんとかワニを叩いてくれたんです。
- BANNO
- やった!ロボットが、人の動きを覚えたんですね。
- HIGEDARUMA
- からあげさんは、動きが人間が悩んでいるような温かみがあってよい、と書いています。
- BANNO
- 悩みながら叩くロボット。なんだか、かわいいですね。
- HIGEDARUMA
- しかも、カメラの位置を細かく合わせなくても、それっぽく動く。からあげさんは、未来を感じました、と言っています。
- BANNO
- 2つの方法を比べると、どうなんですか?
- HIGEDARUMA
- 目で見て決めた動きで叩く方法は、キビキビと正確です。お手本をまねる方法は、人みたいに迷いながら叩きます。
- HIGEDARUMA
- 速さと正確さだけなら、決めた動きのほうが実用的だ、と記事にあります。
- BANNO
- そもそも、ロボットがワニワニパニックをする実用性って、あるんですか?
- HIGEDARUMA
- そこは作者さん自身が、どこに実用性があるのかは置いておくとして、とツッコんでいます。
- BANNO
- 自分で言っちゃうんですね。でも、ビジネス目線だと、写真1枚でAIの目が育つのは大きいと思うんです。
- BANNO
- たとえばお店や工場で、何かを見分けるAIを使いたいとき、写真集めと印付けが一番の手間ですから。
- HIGEDARUMA
- そうなんですよ。ワニで試したやり方は、ほかの物にも使えます。遊びで試したことが、そのまま役に立つ知恵になるんです。
- HIGEDARUMA
- からあげさんも、数年前にはできなかったことがAIの進化でできるようになる、そこがAI開発の恐ろしさでもあり、面白さですね、と書いています。
- BANNO
- この作品は、Maker Faire Tokyo 2025にも出展されたんですよね。
- HIGEDARUMA
- はい。からあげさんのブログでは、Seeedさんのブースで実機を動かす、と告知されていました。
- HIGEDARUMA
- 使った主な素材は3つ。AIを作る道具のPyTorch、AIを動かすJetson、そしてワニを遅くしたマイコンのXIAOです。
- BANNO
- 作ったのは、からあげさんとmatsujirushiさんの2人です。
- HIGEDARUMA
- 作品ページのストーリー欄には、ひとこと、気づいてたらできてた、とだけ書いてあるんです。
- BANNO
- かっこいい!でも中身は、壁を1つずつ越えた攻略記でしたね。
- BANNO
- 今日できる、いちばん小さな一歩です。
- HIGEDARUMA
- 身の回りの物を、スマホで1枚撮ってみてください。そして写真アプリで切り抜いて、別の写真に貼り付けてみるんです。
- HIGEDARUMA
- それが、今日のワニと同じ、AIの練習用写真づくりの第一歩なんですよ。
- BANNO
- 続きが気になったら、からあげさんの2つの記事を開いてみてください。作り方が順番に書いてあって、コードも公開されています。
- BANNO
- 身近なおもちゃが、AIを学ぶ一番の教材になるんですね。私も何か試したくなってきました。
- BANNO
- さて、今日紹介したのは、写真1枚で育てた目と、人のお手本で、ロボットがワニを叩く、AIワニワニパニックでした。
- HIGEDARUMA
- 次回の作品でも、ゆっくりしていってね。
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